病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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お茶会3

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「光栄でございます。お望みに添うよう努力いたします」

 モリーはエリーに向かって、大袈裟にならない程度に頭を下げた。

 正直、ケリーが本当に自分で作ったのか疑っている可能性も考え、今後のためにも一度、作っておくのもいいだろうと考えた。

「本当?嬉しい!でも、お母様の言った通り、無理は駄目よ」
「はい、学業に影響がないようにいたします」
「わあ!本当に嬉しい!」

 エリーは今日一番の笑顔を見せて、横揺れしながらはしゃいでいた。ケリーはまるで子どものようにと呆れはしたが、嬉しそうなので叱ることはなかった。

「どのようなドレスがご希望か、お伺いしてもよろしいですか?」
「似合うドレスと言ったら、困るかしら?」

 エリーはペイリーのドレスを、モリーが似合うように作っていることも、羨ましいと思っていた。

「いいえ、そのようなことはありませんが、恐れながら、好みや色などは聞かせていただけますか?」
「ええ、もちろんよ」

 その後はどのようなドレスが好きか、柄が好きか、何色が好きかなどを聞き、モリーは頭の中でどのようなドレスがいいか、既に考え始めていた。

「モリー嬢から何か希望はあるかしら?」
「はい、期間は三ヶ月はいただけますか?」

 通常ドレスは三ヶ月から半年とされており、無茶な期間ではない。

「では、四ヶ月にしましょう」
「ありがとうございます。王女殿下の採寸表はございますか?」
「ええ、それならこちらに」

 ケリーは自身の侍女にエリーの採寸表を渡し、モリーは侍女から受け取った。

「一週間前にしたものだから」
「ありがとうございます。完成までにデザインの確認と、仮縫いもお願いできますか?」
「ええ、もちろんよ」
「はい!楽しみにしてます」
「予定は私がやり取りをさせていただいてもよろしいですか?」

 モリーは最低でも、デザインの確認と仮縫いはさせてもらわないといけないために、連絡をするために通常はブレフォスを通じてになるのだろうが、手間と面倒なので、自身で行う方がいい。

「ええ、私に連絡をして頂戴」
「承知いたしました」

 モリーとペイリーは、ようやく王宮から帰ることになった。美味しかったお菓子の味がすっかり吹っ飛ぶほど、疲れていた。

「まさかの展開になったわね……」

 モリーは自分の肩を揉みながら、馬車でペイリーに語り掛けた。

「お嫌ですか?」
「そんなことはないのだけど、お相手がね……」
「難しそうな王女殿下ではなさそうでしたけども」
「ええ、それは私も思ったわ。でも荷が重いわ。王女殿下はどのような方か、聞いたことはある?」

 情報通のペイリーならエリーについて聞けるかと思ったが、ケリーのように色眼鏡で見るのも嫌だったために事前には聞かなかった。

「恋愛小説を好んでいることと、使用人を下に見るようなこともされない。見た目よりしっかりされているとは聞いたことがありました。今日、近くでお会いして、12歳らしいところもありますが、しっかりしていると私も思いました」
「ええ、私もそう感じたわ。受けたのだから、しっかり作らないとね」
「私も何でもサポートいたしますので、任せてください」
「ありがとう」

 モリーは布を探しに行くところから始めようと思ったが、王女殿下ということから高級な物にはしなければならないなと思った。

 オブレオサジュール公爵邸に戻ると、ブレフォスが戻り次第、どうだったか聞きたいと言われ、渋々向かうことになった。

「どうだった?」
「はい、楽しかったです」
「何も問題なかったか?」
「問題ではありませんが、エリー王女殿下にドレスを作ることになりました」
「ドレ、スを?」

 ブレフォスも、モリーのドレスに興味を持ってくれたのだろうとは考えていたが、まさか作ることになるとは思わなかった。
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