パパ活始めました!

ももがぶ

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第一章 初めてのパパ活

第6話 欲しがりません。出るまでは!

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「お……おはようございます」
「あら、もういいの?」
「はい……ありがとうございました。それでトイレは……」
「トイレなら……介助しましょうか?」

 エミリアが台所で朝食の準備をしているとようやっとベッドから起き上がることが出来たアルが挨拶する。アルに気付いたエミリアは体調を気にするが、問題ないと返される。

 そんなアルが、エミリアにトイレの場所を確認し「それなら」と案内しようとしたところで、エミリアがイタズラを思いついた様な顔でアルに手伝いを申し出るが、アルはそれを全力で断り、それよりも早くと股間を押さえながらエミリアに懇願する。

「あまりからかうなよ。おい、便所ならこっちだ」
「は、はい。ありがとうございます」

 台所に現れたジンはエミリアに注意するとアルにトイレの場所を教える。アルはジンにトイレの場所を聞くと股間を押さえつつ早足でトイレへと向かう。

「ジンさん、おはようございます」
「ああ、おはよう。あまりからかうなよ。アイツが漏らしたらどうすんだ。面倒くせぇ」
「ふふふ、ちょっとした可愛いイタズラじゃないですか」
「まあ、ほどほどにな」
「はい。もう少し待って下さいね」
「おう」

 ジンがテーブルに着くと安堵した表情のアルが戻って来た。そして、ジンに向かい改めて挨拶をしようとしたところで後ろから「アル!」と大声で呼ばれ振り向けば、走り寄ってきたオフィーリアがアルにガバッと抱き着く。

「アル! アル!」
「フィー……ごめん。心配かけたね。でも、もう大丈夫だから」
「アル……」
「コホン」
「「あ!」」

 エミリアの態とらしい咳払いに抱き合っていたオフィーリアとアルがパッと離れる。

「邪魔しちゃったみたいね。でも、そういうのは小さい子の目の前では少し控えて欲しいかな」
「「……ごめんなさい」」

 エミリアが言うようにいつの間にか二人の回りにはリルルとノエルの幼女二人、それにギル、ビル、ジルの三人の男の子とティア、レナの二人の計七人がジッと見ていた。

「おにいちゃん、だいじょぶ?」
「……へいき?」
「リルル、ノエル、心配かけたね。もう大丈夫だよ。さぁ、お兄ちゃんだよ!」
「おとしゃん!」
「……パパ」
「え?」

 アルは幼女二人に向かい腰を落とし両腕を広げ、さぁおいでと呼ぶが幼女二人はアルを避けジンに向かい走り出すのを見てアルは戸惑う。

「フィー、これって……」
「うん、アルじゃなくてジンさん……あ、あのお兄さんのことね。あの二人はジンさんをお父さんだと思い込んじゃっているの。で、二人にはお兄ちゃんよりお父さんがいいみたい」
「え、そんな……」

 ジンは自分の胸に頭をグリグリ押し付けてくる幼女二人を床に下ろすと「顔を洗って着替えろ」と言う。

「あらって」
「……ほしい」
「あぁ?」

 幼女二人はジンに向かい腕を伸ばし、抱っこをせがむと同時に顔を洗うのを手伝えと要求するが、ジンの面倒臭そうな顔を見たオフィーリアとエミリアが察し、それぞれ幼女を抱えると洗面所へと連れて行く。

「おとしゃんがいい」
「……いい」
「いいの? あまりお父さんに頼ってばかりいると嫌われちゃうかもよ」
「「……!」」

 エミリア達に抱っこされ連行されるリルルがエミリアよりジンに手伝って欲しいと要求するとエミリアからあまりジンに頼りすぎると嫌われちゃうかもよと言われ、幼女二人の顔は急に強ばり、エミリアの腕から飛び降りるとジンの元へと駆け出す。

「おとしゃん!」
「……パパ!」
「もう、済ん……ではないな。どうした?」
「おとしゃん、りるるきらい?」
「……きらい?」
「あ? なんのことだ?」
「すみません」

 急に自分の所へ掛けて来た幼女二人に事態が飲み込めずにいると、エミリアがジンに頭を下げ、ことのいきさつを説明する。

「あ~そういうことか」
「つい……すみません」
「まあいい」

 ジンは涙目で自分を見上げる幼女二人の頭を撫でながら「キライにはならない」と言えば、幼女二人の顔がパァッと明るくなる。

「でも、お姉さん達の言うことを聞かなかったり、顔も洗わないような子はキライになるかもなぁ」
「「……」」

 幼女二人は互いに顔を見合わせると、ジンの膝から飛び降り今度はエミリア達の手を引きながら駆け出す。

「おい、いつまでそこにいるんだ。お前も顔を洗って着替えてこい」
「……はい」

 ジンに促されアルはふらぁと立ち上がりエミリア達の後を追うように洗面所の方向へゆっくりと歩き出す。

「えっと……これは?」
「お前達の朝飯だ」
「いや、でもコレって……」
「文句言うな。お前達が快復するまでは、それしか食わせねえからな」
「いや、でも……これじゃ」
「アル。あのね……」

 アルは自分の目の前に置かれた朝食を見て、ジン達のメニューと違うのに気付き、もしかして部外者だからなのかと思いジンに確認すれば、ジンからは「文句を言うな」と言われるも納得出来ないと反論しようとしたところで隣に座るオフィーリアから説明を受け、漸く納得する。

「そういうことなんだ」
「うん。だからね、今はこれしか無理っていうか食べても体が受け付けないんだって」
「うん、分かったよ」

 だが、そう言われて納得出来ないのが幼女二人組だ。スプーンを口に咥えたまま不満そうに皿の中のパン粥を見詰めている。

「リルル?」
「リルル、これきらい!」
「……きらい」
「そんなこと言わないの。今の僕達にはこれしかないのよ」
「あるもん!」
「……ある」
「「え?」」

 リルルがあると言い、指を差した先ではパンを片手にソーセージに齧り付くギル達の姿だった。

「……だからね、リルル」
「固いうんこを出すまではダメだ」
「おとしゃん」
「……パパ」
「ジンさん、食事中なのに……」

 ジンは幼女二人を見ながら「早く出すもの出すことだな」と言えば、幼女二人はモソモソとパン粥の残りを口に入れる。

「一口だけだぞ」
「おとしゃん!」
「……パパ!」

 ジンはどうしても我慢出来ない様子のリルルの口元に小さく切ったソーセージを近付けるとリルルはそれをパクッと頬張ると、ノエルにも同じ様に「ん」と差し出せばノエルもそれを頬張り満足そうな顔をする。

 そしてそれを見ていたオフィーリアとアルに対し「お前らも欲しいのか?」とジンが聞けば二人は揃って首を横に振る。

「まあ、いい。ちゃんと出たら言うんだぞ」
「「は~い!」」
「「……」」
「どうした?」

 ジンが幼女二人に出すもの出したら、ちゃんと言うようにと言えば、元気よく返事をするが、その隣ではオフィーリアとアルが神妙な顔をしていた。

「あの……僕達も報告しないとダメですか?」
「あ~お前らはいい。エミリアに言えばちゃんと用意するから」
「やっぱり、言わないとダメなんだ」
「ええ、待ってますよ。詳細な報告を。ふふふ」
「「……」」
「エミリア!」
「もう、冗談ですよ。私だって詳細に形状まで知りたくはありませんよ」
「うわぁ……俺想像しちゃったよ」
「言うなよ、ギル」
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