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◆ケチと言われた
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プリンを蒸し終わり、冷蔵庫に入れて冷えるのを待つ。その間、話の続きをと思ったがカーネルさん達が冷蔵庫を凝視して動かない。マサオはボールに顔を突っ込んだままだ。
「もう、放っておくしかないか」
皆がプリンの出来上がりに夢中になってしまったので、俺としては手持ち無沙汰になってしまった。俺、帰っても誰も気付かないんじゃないのかな? とか考えている内にいい時間となったので冷蔵庫の扉を開け、出来上がったプリンを人数分取り出す。ちなみに冷蔵庫は俺がインベントリから取り出した物だ。
テーブルの上に用意されたプリンが入った容器と小さめのスプーン、マサオの前にも同じ様にプリンが入った器を置く。
「では、召し上がれ」
「「「……」」」
『……』
「あれ?」
あれほど出来上がりを楽しみに待っていたカーネルさん達がプリンが入った器を凝視したまま動かない。マサオもあれほど楽しみにしていたのに全く動かない。
「どうしました?」
「ケイン君、この黒いのは大丈夫なの?」
「これってさっき甘い匂いがしたヤツだよな?」
「こんな黒いの大丈夫なの?」
『食えない……』
カーネルさん達はカラメルが黒いから最初の一口が難しいみたいだ。だけど、マサオだけは違った。『食べられない』と言って来たのだ。
「マサオ、食べられないってどういうこと? 嫌いな訳じゃないんでしょ?」
『そうじゃない! そうじゃないんだよ!』
「なら、食べられないってどういうことなの?」
『……俺、スプーン持てないんだけど? コレって何ハラ?』
「あ! ごめんごめん」
俺はマサオの前に置かれたプリンが入った器を手に取ると、竹串でプリンと器の境目をス~ッとなぞり、器からプリンを離す。そして、別に用意した平皿にプリンの器を逆さまにしてプリンを取り出す。
『お~』
「これで食べられるでしょ」
『ああ、食べるとも!』
「「「……」」」
マサオの前に置かれた皿の上でゆらゆらと揺れるプリンに迷わず噛みつくマサオだが、至福の顔は一瞬ですぐにスンとした顔になる。
カーネルさん達はマサオの皿に盛られたプリンの鮮やかな黄色に目を見張る。これで黒いカラメルの下には黄色い塊があるのが認識出来たと思う。そして、マサオの美味そうな表情を見てカーネルさん達は迷わずにスプーンをカラメルに突き立て、一口分掬うと口の中へと放り込む。
「「「……美味い!」」」
『……』
カーネルさん達がスプーンで掬って口に運ぶ度に「美味い!」「甘い!」「美味しい!」と止まらないのだが、マサオはその横で不機嫌そうな顔になっている。
「どうしたマサオ?」
『ないんだよ』
「ないって何が?」
『俺のプリンだよ!』
「そりゃ食ったら残らないだろ。大丈夫か?」
『そうじゃない! 違うだろケイン!』
「なんだよ、何が言いたいんだよ」
『ほら、俺を見て何か分からないか?』
「ん~ダイエットの効果がイマイチとか?」
『あ~そうだよな。毎日食っちゃ寝だもんな……って、おい! 違うだろ!』
「え~何を言いたいの?」
『だから、俺は他のヤツと違って体が大きいの!』
「そりゃ太っているからだろ?」
『あ~そうだよね。これからのダイエットが大変です。って、違う! そうじゃない!』
「もう、だから何が言いたいのさ」
『だからな、俺が言いたいのは一番体が大きい俺がこんなちっちゃい器はおかしいだろって話だ!』
「え~でも一個は一個だろ」
『……でも大きさが違うし』
マサオが言いたいことはなんとなく分かる。兄弟でもオヤツの取り合いで必ず言われたヤツだ。「体が大きいんだから量もそれに合わせて多くすべきだ!」と言うんだよ。確かにマサオの体は大きいけど、ダイエット前だってこと忘れているんじゃないかな。
「マサオ。ダイエットするんでしょ。なら、今の量で我慢しなよ」
『イヤだ!』
「じゃあ、ダイエットが成功したらバケツプリンってのはどう?」
『バケツ? それはどのくらいの大きさだ?』
「ん~そうだね。じゃあ、マサオが持って来たバケツで作るってのはどう?」
『それって、どんな大きさでもいいのか?』
「もちろんさ。でも綺麗なバケツじゃないとダメだよ」
『そりゃそうだろ』
「でもちゃんと言っておかないと大きさだけで選んじゃうでしょ」
『ぐぬぬ……』
「あと、食べられる量ね」
『どういう意味だ?』
「だからね、いくら大きいバケツを持ってきて作ったとしてもマサオが食べきれないとギブアップした時点で終わりってこと。それと、その量を超えるモノは作らないってことかな」
『ケ「ケチって言わないよね?」……ケイン』
マサオがプリンが小さいと文句を言い出したのでダイエットが上手くいったらバケツプリンを作ることを約束する。そして、そのバケツプリンを作る際の条件をマサオに言うとマサオがケチと言おうとしたので、それを制する。
「もう、放っておくしかないか」
皆がプリンの出来上がりに夢中になってしまったので、俺としては手持ち無沙汰になってしまった。俺、帰っても誰も気付かないんじゃないのかな? とか考えている内にいい時間となったので冷蔵庫の扉を開け、出来上がったプリンを人数分取り出す。ちなみに冷蔵庫は俺がインベントリから取り出した物だ。
テーブルの上に用意されたプリンが入った容器と小さめのスプーン、マサオの前にも同じ様にプリンが入った器を置く。
「では、召し上がれ」
「「「……」」」
『……』
「あれ?」
あれほど出来上がりを楽しみに待っていたカーネルさん達がプリンが入った器を凝視したまま動かない。マサオもあれほど楽しみにしていたのに全く動かない。
「どうしました?」
「ケイン君、この黒いのは大丈夫なの?」
「これってさっき甘い匂いがしたヤツだよな?」
「こんな黒いの大丈夫なの?」
『食えない……』
カーネルさん達はカラメルが黒いから最初の一口が難しいみたいだ。だけど、マサオだけは違った。『食べられない』と言って来たのだ。
「マサオ、食べられないってどういうこと? 嫌いな訳じゃないんでしょ?」
『そうじゃない! そうじゃないんだよ!』
「なら、食べられないってどういうことなの?」
『……俺、スプーン持てないんだけど? コレって何ハラ?』
「あ! ごめんごめん」
俺はマサオの前に置かれたプリンが入った器を手に取ると、竹串でプリンと器の境目をス~ッとなぞり、器からプリンを離す。そして、別に用意した平皿にプリンの器を逆さまにしてプリンを取り出す。
『お~』
「これで食べられるでしょ」
『ああ、食べるとも!』
「「「……」」」
マサオの前に置かれた皿の上でゆらゆらと揺れるプリンに迷わず噛みつくマサオだが、至福の顔は一瞬ですぐにスンとした顔になる。
カーネルさん達はマサオの皿に盛られたプリンの鮮やかな黄色に目を見張る。これで黒いカラメルの下には黄色い塊があるのが認識出来たと思う。そして、マサオの美味そうな表情を見てカーネルさん達は迷わずにスプーンをカラメルに突き立て、一口分掬うと口の中へと放り込む。
「「「……美味い!」」」
『……』
カーネルさん達がスプーンで掬って口に運ぶ度に「美味い!」「甘い!」「美味しい!」と止まらないのだが、マサオはその横で不機嫌そうな顔になっている。
「どうしたマサオ?」
『ないんだよ』
「ないって何が?」
『俺のプリンだよ!』
「そりゃ食ったら残らないだろ。大丈夫か?」
『そうじゃない! 違うだろケイン!』
「なんだよ、何が言いたいんだよ」
『ほら、俺を見て何か分からないか?』
「ん~ダイエットの効果がイマイチとか?」
『あ~そうだよな。毎日食っちゃ寝だもんな……って、おい! 違うだろ!』
「え~何を言いたいの?」
『だから、俺は他のヤツと違って体が大きいの!』
「そりゃ太っているからだろ?」
『あ~そうだよね。これからのダイエットが大変です。って、違う! そうじゃない!』
「もう、だから何が言いたいのさ」
『だからな、俺が言いたいのは一番体が大きい俺がこんなちっちゃい器はおかしいだろって話だ!』
「え~でも一個は一個だろ」
『……でも大きさが違うし』
マサオが言いたいことはなんとなく分かる。兄弟でもオヤツの取り合いで必ず言われたヤツだ。「体が大きいんだから量もそれに合わせて多くすべきだ!」と言うんだよ。確かにマサオの体は大きいけど、ダイエット前だってこと忘れているんじゃないかな。
「マサオ。ダイエットするんでしょ。なら、今の量で我慢しなよ」
『イヤだ!』
「じゃあ、ダイエットが成功したらバケツプリンってのはどう?」
『バケツ? それはどのくらいの大きさだ?』
「ん~そうだね。じゃあ、マサオが持って来たバケツで作るってのはどう?」
『それって、どんな大きさでもいいのか?』
「もちろんさ。でも綺麗なバケツじゃないとダメだよ」
『そりゃそうだろ』
「でもちゃんと言っておかないと大きさだけで選んじゃうでしょ」
『ぐぬぬ……』
「あと、食べられる量ね」
『どういう意味だ?』
「だからね、いくら大きいバケツを持ってきて作ったとしてもマサオが食べきれないとギブアップした時点で終わりってこと。それと、その量を超えるモノは作らないってことかな」
『ケ「ケチって言わないよね?」……ケイン』
マサオがプリンが小さいと文句を言い出したのでダイエットが上手くいったらバケツプリンを作ることを約束する。そして、そのバケツプリンを作る際の条件をマサオに言うとマサオがケチと言おうとしたので、それを制する。
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