転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

文字の大きさ
442 / 468
連載

◆約束は今日からでした

しおりを挟む
 食事を終えて風呂を済ませた後に部屋でゆっくりしているとふと思い出す。

「そう言えばガンツさんから連絡がなかったな。どうしたんだろ……ま、いっか」
『いいのか?』
「だって、ガンツさんだしね。なんかあったとしてもなんとかするんじゃないの? それに困っていたとしてもすぐに俺に助けを求めるのは格好悪いとか考えてそうだし」
『あ~それはあるかも。それよりも「バケツプリンの約束」忘れるなよ』
「忘れてないって。そっちこそ大丈夫なんだろうな? 確かご飯食べる前に走ってくるとか言ってたけど?」
『……それは忘れてもいいんだぞ』
「……」
『なんだよ。約束が違うとか言うなよ。別に今日から始めるとは言ってないだろ』
「……」
『おい、なんか言えよ!』
「じゃあ、俺もいつ作るとは言わない!」
『あ! そんなの俺のマネじゃないか! ダメだ! それは認められない!』
「別にマサオに認められなくてもいいし」
『ぐぬぬ……』

 マサオはまだ何か言いたそうだったが、眠くなってきた俺はベッドの中に入り込む。

「明日になればマサオがいい子になってますように」
『おい、それを言うなよ』
「ふふふ、おやすみマサオ」
『ああ、いい夢みろよ』

 ベッドの足下で寝転がるマサオの寝息を感じながら、俺もゆっくりと瞼を閉じる。

「ホント、ガンツさんはどうしたんだろ?」

 翌朝、いつものように工房へと入るとアンジェさんが座っていた。

「おはようございます。どうしましたアンジェさん」
「ケイン君! ガンツが帰って来ないの!」
「えっとガンツさんはイーガンさん達と一緒に出掛けたハズですけど?」
「ええ、確かにそう言っていたわ。でも、泊まりになるとは言ってなかったわよね?」
「ええ、それはそうですね。電話してみました?」
「したわよ! ガンツにもイーガンにも。でも、出ないの。ねえ、ケイン君……」
「分かりました。俺の方でもガンツさんと連絡取ってみます」
「そうしてもらえるとありがたいわ」
「ガンツさんに何か伝言はありますか?」
「伝言……そうね、『帰ってきたら楽しみにしといて』って、そう伝えてもらえる?」
「……分かりました」
「じゃあ、頼むわね」
「はい」

 アンジェさんは俺の手を握り、保育所へと向かう。

『ケイン、たかが一晩帰って来ないくらいで大袈裟なんじゃないのか?』
「それだけ心配なんだよ。それに今まで音信不通に近かった二人が今はいつも一緒にいるのが当たり前になったんだもの。少しでも離れているのが不安に感じるんじゃないのかな」
『ふ~ん、そんなものなのかな』
「さあね。それよりガンツさんを探さないと」
『探すって言うけど分かるのか?』
「ふふふ、実はこんなこともあろうかと……」

 俺はインベントリからタブレットを取り出すとガンツさんが乗っていったであろうホーク号の位置を地図上に表示させる。

「えっと、ドワーフタウンがここで……ホーク号は……ここはどこなの?」
『俺が知るかよ』
「それもそうだな。でも、大陸の端っこまで飛んだんだな。とりあえず、俺達もここまで行くしかないよな」
『行くってどうやって行くんだ?』
「それもそうだね。どうやって行こう……うん、やっぱこれしかないよな」
『ケイン、顔が悪いぞ』
「……マサオ、『悪い顔している』が正解な」
『そうなのか?』
「そうなの! いいから、行くよ」

 マサオと一緒に格納庫へと向かう。

『ケイン、ガンツを探しに行くんじゃないのか? どうしてここに来たんだ?』
「ガンツさんを探しに行くためさ。まあ、見てなって」

 俺はインベントリから最初に作った飛行機を取り出すと作業台の上に置く。

『おいおい、こんな物をいじっている時間ヒマなんてあるのか?』
「いいから、いいから」

 俺は飛行機の推進器であるプロペラと接続している魔導モーターを飛行機から取り外してインベントリに収納する。代わりにジェットエンジンをインベントリから取り出し、飛行機に設置する。

「後は機体と計器類を接続すれば完成だよ。ね、時間掛かんないでしょ」
『まあな。じゃあ、これなら昼までには行けるんだな』
「うん、そうだね。じゃあ、俺は仕上げてしまうからマサオはその辺で遊んでて」
『……いいよ。ここで寝て待ってるから』
「違うでしょ。今日から始めるんじゃないの?」
『え? 遊んでていいんじゃないのか?』
「そうだよ。犬は走り回るのも遊びなんでしょ」
『ぐぬぬ……』
「はい、分かったら走ってくる!」
『この鬼!』

 マサオはそう言って俺の前から走り去って行った。マサオの目尻に何か光る物があったけど、まさか泣いてたりとかないよね。

「さてと、仕上げますか」
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。