赤い花の季節

「この花の花言葉は、知っているか?」
「ああこれ、リメンバランス・デーに着ける花だろう? ポピーか。なにか、死者を悼むとか、そういう意味があるのか?」
 リメンバランス・デーは十一月の、先の大戦の戦没者を追悼する日だ。皆赤いポピーを胸元に飾って死者を悼む。
「違う。形は似ているが、これはアネモネだ」
「じゃあ知らない」
 笑いの混じったため息にばかにされたような響きを感じて、私は少し機嫌を悪くして短く答えた。
「はかない恋、恋の苦しみ、薄れゆく希望、見捨てられる」

グラニスター侯爵家長男のアルバートとまたいとこのコンラッド。
ずっと一緒に過ごしてきた親友だけれど、ストレートのアルバートと、初恋の人がアルバートの父であるコンラッド、そんなふたりのお互いへの気持ちは、いつも噛み合わないまま。それはやがてふたりの道を大きく分かつことになっていく…。

Fujossyさん<属性固定>短編小説コンテスト応募作品の転載です。
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