【完結】僕らの関係─好きな人がいるのに、学園の問題児に目をつけられて─

亜依流.@.@

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昂りに反り上がったペニスが、ゆっくりと引き抜かれる。

次の瞬間、それは思いきり奥へ突き刺された。


「あっ!?」


凶器は、快楽を追うように中を突き続ける。

司は余すことなく優介の腹へ熱欲を吐き出した。

震えていた身体から、力が抜ける。
意識を失ったようだった。

優介の額にキスを落とし、熱を引き抜く。

注ぎ込んだ精液が、たちまち溢れ出した。


「·····悪かった」


白い肌に、鮮やかなキスマークがいくつも散らばっていた。

優介が、自分以外の男に抱かれた印だ。

自分とは泣くほど嫌なくせに、他の男を受けいれた時、彼は喜んだのだろうか。

その身体と記憶から、ほかの男など消してしまえば良いと思った。

いっそ恐怖でも良い。その瞬間は、優介の意識が自分へ向けられる。

欲望のまま、優介を犯した。

涙を散らしながら善がり狂う優介に湧き上がったのは、今までにない興奮と、虚無感だった。













優介はそっと瞼を開いた。

かすかにシャワーの音が聞こえてくる。

司のいないうちにここを出ようとするが、体には力が入らなかった。

額へのキス。
そして、謝罪の言葉。

どちらも、傲慢な司には、全く似合わない言動だ。


関われば関わるほど、司が分からなくなる。


快楽が引くと、腰が鈍く痛みだした。

傷の手当をする時、大人しくベッドに腰かけてくれたのが、少し打ち解けたみたいで嬉しかった。

そんなことを考えていた自分が、馬鹿みたいだ。


(最低で、酷い人·····)


脳内で呟いて、優介はまた、ベッドへと顔をうずめた。




















数年前、家の近所に、三人家族が引っ越してきた。

若い夫婦と、小学校低学年くらいの少年。それが優介だった。

優介は翔を兄のように慕った。

下心のある好意だけを知っていた翔は、優介の純粋な好意がとても居心地良かった。

翔にとって彼が特別な存在になるのに、時間はかからなかった。

転勤族だった優介の家族は、たった一年後、また引っ越しをするのだと別れの挨拶にやってきた。

泣きわめく少年は、小さな手で精一杯翔の袖を掴んでいた。


「·····くん、大好き····」


初恋はその時だった。

たぶん、この耳は、彼の声を聞くために作られたのだろう。自分の全ては、彼がいて初めて意味を成すのだと思った。


「僕も、大好きだよ」


少年との思い出は、翔の記憶の中で、唯一尊いものだった。








午前2時を回った頃、翔は悪夢から目を覚ました。

身体中、嫌な汗をかいていた。張り付いたシャツがこの上なく忌々しい。

おもむろに起き上がり、机に置かれたペットボトルへ手を伸ばす。

ぬるい水を、勢いよく喉へ流し込んだ。


「落ち着けよ·····」


手探りで端末を取り出し、電源を入れる。

ホーム画面におさめた恋人を、そっと指でなぞった。

穢れを知らない目に、自分だけが映るように。

今度こそ逃がさないようにと、運命的な出会いだって演じてみせた。

全て上手く行っている。

彼の全てを、ゆっくりと自分だけの物にしていけば良い。

もう二度と、自分の前から消えるなんてことがないように。








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