十年越しの幼馴染は今や冷徹な国王でした

柴田はつみ

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最終章 新たな始まり

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エラナは、アレンの腕の中で、安らかな眠りについた。どれほどの時間が経っただろうか。窓から差し込む光が、エラナのまぶたを優しく叩いた。



目を覚ますと、アレンが、エラナの髪を、優しく撫でていた。


「…おはよう、エラナ」


アレンの声は、優しく、温かかった。


「…おはようございます、アレン様」


エラナは、そう言って、アレンの顔を見た。その目には、もう、冷たさはなかった。ただ、エラナを愛おしむ、優しい光が宿っていた。



「…本当に、戻ってきてくれたのだな」



アレンは、そう言って、エラナを、もう一度、抱きしめた。



「…ええ。…もう、二度と、あなたのおそばを、離れません」



エラナは、そう言って、アレンの胸に顔を埋めた。



その日の朝食は、アレンと二人、食堂で摂った。豪華な料理が並ぶ食卓で、二人は、他愛もない話をした。


アレンは、エラナの好きなものを聞き、率先して分けてくれた。まるで、幼い頃に戻ったかのように。



「…アレン様」


「なんだ、エラナ」


「…聖女マリア様は、どうなるのですか?」


エラナの言葉に、アレンは、フォークを持つ手を止めた。


「…マリアは、余の母の遠縁にあたる。…幼い頃から、病弱で、余は、国王としての力で、彼女を救いたいと、思っていたのだ」


アレンは、静かに言った。


「…国王として、ではなくて、一人の人間として、マリアを大切に思っていたのですね」



エラナは、そう言って、微笑んだ。


「…そうだ。だが、それは、お前への愛とは、違う。…マリアは、余の妹のような存在だ」



アレンは、そう言って、エラナの手を握った。


「…わたくし、もう、何も、疑いません。…あなたを、信じます」



エラナは、そう言って、アレンに微笑みかけた。


アレンも、エラナに微笑み返した。



その日、アレンは、王宮の書斎で、エラナと二人、過ごした。アレンは、エラナに、国のこと、公務のことを、詳しく話して聞かせた。エラナは、真剣な表情で、アレンの話を聞いていた。



「…エラナ。…余は、お前と、この国を、共に治めていきたい」



アレンは、そう言って、エラナの手を握った。


「…はい、アレン様。…わたくしは、あなたと共に、この国を、守っていきたい」



エラナは、そう言って、アレンの目を見た。その目には、もう、迷いはなかった。ただ、アレンへの、深い愛と、この国への、強い使命感でいっぱいだった。


二人の新しい人生が、今、始まった。それは、政略結婚から始まった、愛のない夫婦の物語ではない。


お互いを信じ、愛し合い、共に歩んでいく、新しい夫婦の物語だった。



夜空には、満月が輝いていた。



その光は、まるで、二人の未来を、明るく照らしているかのようだった。
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感想 5

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みんなの感想(5件)

korosuke
2025.12.04 korosuke
ネタバレ含む
2025.12.05 柴田はつみ

感想を届けてくださりありがとうございます。
森での置き去りは、エラナにとっても読んでくださる方にとっても、つらい場面だったと思います。無事に戻れたことが奇跡のようだというお言葉、その通りだと感じました。

また、レオが最後まで送り届けてほしかったというお気持ちにも共感しています。そう思っていただけるほど、キャラクターたちを大切に見守ってくださったのだと嬉しくなりました。

物語はすでに完結しておりますが、こうして心に残った部分を言葉にしていただけて、本当に励みになります。ありがとうございました。

解除
かはら
2025.11.27 かはら

うーん…
都合のいい女と屑い男の話でした

2025.11.28 柴田はつみ

率直なご感想をお寄せくださり、ありがとうございます。
そう感じられたことも、作品を真剣に読んでくださったからこそだと受け止めています。

最後まで読んでいただけたことに、心から感謝いたします。

解除
yupi
2025.11.21 yupi

国王がクズすぎる…
冷たくした理由が意味不明。政略結婚なら相手を思いやらなくていいの?人として終わってる

レオがいい人すぎ。レオとくっついてほしかった…

2025.11.21 柴田はつみ

読んでくださったうえに、胸の内まで綴っていただき、本当にありがとうございました。

国王の冷たさについて、そう感じられたのは当然のことだと思います。
彼の言動があまりに不器用で、理由の描き方も十分ではなく、
読者さまの心に苦しさだけを残してしまったかもしれません。
その点は、作者として胸が痛む思いです。

そして、レオの優しさに救いを見つけてくださったこと――
主人公と同じように、読者さまもそっと寄り添ってくださっていたのだと感じて、
とても切なく、でも温かい気持ちになりました。

もし「レオと幸せになってほしい」と思っていただけたのなら、
それだけ彼の温度が届いていた証なのだと思います。
いただいた言葉は大切に胸にしまい、これからの物語づくりの力に変えていきます。

本当にありがとうございました。

解除

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