【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第2章 亜麻色の光

31 『裏ナギサ』

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「ナギサ、やってくれないの?」
「……演技で良いなら」
「だーめ」
「アリスは普段の俺より、感情的になってる俺の方が好きなわけー?」
「そんなことないよ?」
「…………」

 あれは俺だけど俺じゃないっていうか……普段の俺が認めてない俺なんだよね。自分で言っててややこしいなと思うけどー。

「……自分に嫉妬でもしてるのか?」
「!」

 嫉妬? いや、それはない。なんで俺が俺に嫉妬するの? アリスがいつもと違う俺ばかり見たがるからちょっと複雑なだけで……嫉妬、なんて俺に似合わないと思うけどー。
 この際似合う似合わないは置いといても、自分に嫉妬はないでしょ。

「ああ、そういうことですか。納得です」
「なにが納得?」
「ナギサ、自分に嫉妬してるの? 可愛いね」

 へぇー。アリスはまた俺をからかうの? この子、頭は良いのに全然学ばないよね。意図的にやってるかもしれないけれど。

「……馬鹿にしてんの? アリスの方が可愛いだろ」

 限界で泣くまで甘やかしてあげようか。そこまでやれば俺に可愛いなんて言ってる余裕はないでしょ? というか、半分無意識くらいでやってみたけど性格が違う時の俺ってこんな感じなの? 知らなかった……

「裏ナギサだ……!」
「……ん?」
「今のは八割くらい素だよね。素で今のような口調の時は勝手に『裏ナギサ』って呼んでるの。男らしさがある裏の顔というか、正確には裏じゃないんだけどね」

 なんなの、その微妙なネーミングセンス……率直過ぎじゃない? もうちょっとマシなやつはないのかな。なんてコメントすれば良いのか分からないんですけど。アリスってネーミングセンス悪かったかな……?

 頑張って俺の性格が変わっていたと言われた時のことを思い出して色々分析したのに。なのにその反応はなに? 予想外の反応だったんだけど。でもまあ、自分の感情が乱れてる時の感じが分かったし、大体のラインを知れたから今度からはもっと感情コントロールできるかも。

 それと、これからはアリスの言う『裏ナギサ』に限りなく近い状態で演技できそう。演技の幅が広がったし、これはこれで良かったのかな? ……良かったのかな?
 思わぬ収穫というか、なんでこんなタイミングでと思わなくもないけど、少しでも成長できたのならもうそれで良いや。正直に言うと、考えるのが面倒になっただけなんだけどねー。

「なんか勝手に納得した雰囲気を出しているが、なにを考えているんだ……?」
「さあ? 精霊王様の思考なんて僕達のような人間には分かりませんよ」
「セイン、お前ついにナギサにも毒を吐くようになったな……」
「ランスロット?」
「なんでもない」
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