【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第2章 亜麻色の光

51 拘束魔法

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「……魔力に違いなんてあるんだ?」
「一応ね。違いがあるといっても、使う魔法にあった属性の魔力の方が良いってだけ。威力が上がって消費量も減るし成功率が上がるね。だけど火と水の魔力は間違えないように気を付けた方が良いよ。相反する属性だから魔力の消費量が桁違い」
「うん。水の魔力は……ひんやりしてる気がする。サラサラとも言える……?」
「独特な感想だねー」

 ひんやりもサラサラも言いたいことは分かるよ? だけど……うん。もっと他に例えはないのかな。アリスがそれで覚えられるのなら口を出すつもりはないけど……

「覚えられたら、その水の魔力で拘束魔法を使ってみて」
「はーい」
「……あのさ、アリス」
「ん?」
「いや、うん。嬉しそうで何よりだけど、少し教えただけできるとかすごすぎない……?」
「ありがとう」
「うーん……ありがとうじゃなくてね。これ言って良いのかな。まあ良いか……なんで俺を拘束するの?」

 アリス相手だからって油断してたら普通に捕まったんだけど。しかも両腕を頭の上で拘束されてるから身動き取れないし。

 そんな俺を見てアリスは楽しそうに笑ってる。俺を拘束して楽しいのかな? 覚えるのが早いのはすごいと思うけど。

「この拘束、解いても良い?」
「駄目」
「えぇ……なんで? って、ちょ、アリス!」
「なに?」
「なに、じゃないって!」

 何なの、その手は。嬉しそうに俺をくすぐろうとしないでほしい。焦って大きい声が出たけど、俺は擽り効かないからね?
 何度目の挑戦か分からないけど良く飽きないね。いつか擽ったくなるのかな? ならなくて良いんだけど……

「…………」
「やっぱり駄目かぁ……なにその無表情。怖いんだけど」
「これ、解いて良い?」
「ちょっと待って。これで終わりにするから」

 楽しそうな笑顔から一転し、真剣な顔で俺の服を脱がせ始めた。一つ言いたいことがあるんだけど、真剣な顔してやってることおかしくない? なんで人の服を脱がせようとしてんの。

「ねー、アリス? やめてよ」
「触らないからお願い」
「……ちょっとだけだよ。拘束は解くから」

 今度は何をするのかと思って見ていると俺の胸の位置まで服を上げて手で押さえ、鳩尾の辺りをジッと見つめだした。ここまで来たら何をしているかは分かる。
 俺の傷、鳩尾辺りから左腰辺りまである大きな傷を見ている。俺が前世で毒を盛られて、色々あって手術した時の治らなかった傷。後遺症となって今でもたまに痛む傷。それを悲し気に見てるみたい。なんでか知らないけど、定期的にアリスのチェックが入るんだよね。

「……治せないの?」
「俺も試したけど駄目だった。時間が経ちすぎているからかなーと思ってる」
「やっぱり痛い?」
「まあね。でも治癒魔法で痛みを和らげるくらいはできるから、昔に比べたら全然平気」
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