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第2章 亜麻色の光
90 心配の理由は
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「大事な話……?」
「どうした?」
「改まって言う話でもないんだけど、少しの間……そうだね、今年の会合までの短期間になるかな? ちょうど一ヶ月間くらい俺は消えるけど気にしないでね」
黒幕のことについて調査をしたいから四ヶ所の宮に籠って調べ物をしたり他国に行ったりする。今回は本当に気を付けておかないと手遅れになる気がするんだよ。本気でヤバい相手なんだと思う。いつ対峙することになるかも分からないし、少しでも多くの情報を掴んでおきたい。
「で、こっちが本題なんだけど、その俺がいない間は護衛を付けさせてほしい。ここだけの話、今の俺は何者かに狙われているんだよね。俺がいない間にみんなに手を出される可能性もあるから精霊に護衛を頼んでる」
「……それはいつからですか?」
「明後日にはいなくなってると思う。と言っても、自分の宮で調べ物をする予定もあるからずっと遠くに行ってるわけではないんだけど。護衛に関してはお願いした形ではあるけど拒否権はないからね。悪いけど今回ばかりは本当に……」
「……本当に?」
「命の危険があるから。死ぬだけで済めば良い、ってところまで来てるかも」
洗脳されるのはきっと苦しいよ。俺はされたことがないから分からないけど、自分の感情や想いが消えなかったら、理性がある状態だったらそれは拷問にも近いんじゃないかな。
「そういうことでしたら護衛を付けていただけるというのは助かります。ですがナギサ様は大丈夫なのですか?」
「何が? 心配されるようなことはないと思うけど」
「今ナギサ様が向き合っておられる問題というのはすごく大変なものなのでしょう? ナギサ様の身の危険を案じているのですが……」
「俺が強いのは知ってるでしょ?」
「お前が強いことはこの世界の全ての生き物が知っていることだろ。それでもセインはお前のことが心配だって言ってるんじゃないか?」
エリオットくんの言葉を聞いてセインくんの方を見ると、その通りだと言わんばかりに頷いていた。そんな風に心配してもらえるのは嬉しい……けど。
「ナギサ、分かってなさそうだから言わせてもらうけどね? 自分の友人を心配するのは当たり前だよ。人それぞれではあるけれど、ここにいる人達は特にナギサのことを大事に想っているの」
「そういうもの?」
「うん。ナギサは変わるって決めたのでしょう? 一歩引いたところにいるんじゃなくて、親しい相手だけでも素直に向き合うって言ってたじゃない」
たしかに言った。でも俺は前世で心を許そうと思える友人はいなかった。仲が良い人はいても絶対に一定の距離感を保っていたから、友達がどういうものか良く分からなかったりする。
どうしても俺では理解できない部分が多いんだよね、『友達』っていうのはさ……
「それじゃあ聞くけど、なんで友達だったら心配するの?」
「それはナギサも分かっているんじゃないか? 大切な人を心配するのに理由なんていらないだろ。そうじゃないならナギサはなぜ、俺達に護衛を付けることにしたんだ?」
「……ああ、そういうこと。なんか分かったかも」
口で説明するのは難しいやつだねー。でも俺がみんなを心配して護衛を付けることにしたのと同じように、みんなも俺のことを心配してくれているのは分かった。心配の理由もね。
「どうした?」
「改まって言う話でもないんだけど、少しの間……そうだね、今年の会合までの短期間になるかな? ちょうど一ヶ月間くらい俺は消えるけど気にしないでね」
黒幕のことについて調査をしたいから四ヶ所の宮に籠って調べ物をしたり他国に行ったりする。今回は本当に気を付けておかないと手遅れになる気がするんだよ。本気でヤバい相手なんだと思う。いつ対峙することになるかも分からないし、少しでも多くの情報を掴んでおきたい。
「で、こっちが本題なんだけど、その俺がいない間は護衛を付けさせてほしい。ここだけの話、今の俺は何者かに狙われているんだよね。俺がいない間にみんなに手を出される可能性もあるから精霊に護衛を頼んでる」
「……それはいつからですか?」
「明後日にはいなくなってると思う。と言っても、自分の宮で調べ物をする予定もあるからずっと遠くに行ってるわけではないんだけど。護衛に関してはお願いした形ではあるけど拒否権はないからね。悪いけど今回ばかりは本当に……」
「……本当に?」
「命の危険があるから。死ぬだけで済めば良い、ってところまで来てるかも」
洗脳されるのはきっと苦しいよ。俺はされたことがないから分からないけど、自分の感情や想いが消えなかったら、理性がある状態だったらそれは拷問にも近いんじゃないかな。
「そういうことでしたら護衛を付けていただけるというのは助かります。ですがナギサ様は大丈夫なのですか?」
「何が? 心配されるようなことはないと思うけど」
「今ナギサ様が向き合っておられる問題というのはすごく大変なものなのでしょう? ナギサ様の身の危険を案じているのですが……」
「俺が強いのは知ってるでしょ?」
「お前が強いことはこの世界の全ての生き物が知っていることだろ。それでもセインはお前のことが心配だって言ってるんじゃないか?」
エリオットくんの言葉を聞いてセインくんの方を見ると、その通りだと言わんばかりに頷いていた。そんな風に心配してもらえるのは嬉しい……けど。
「ナギサ、分かってなさそうだから言わせてもらうけどね? 自分の友人を心配するのは当たり前だよ。人それぞれではあるけれど、ここにいる人達は特にナギサのことを大事に想っているの」
「そういうもの?」
「うん。ナギサは変わるって決めたのでしょう? 一歩引いたところにいるんじゃなくて、親しい相手だけでも素直に向き合うって言ってたじゃない」
たしかに言った。でも俺は前世で心を許そうと思える友人はいなかった。仲が良い人はいても絶対に一定の距離感を保っていたから、友達がどういうものか良く分からなかったりする。
どうしても俺では理解できない部分が多いんだよね、『友達』っていうのはさ……
「それじゃあ聞くけど、なんで友達だったら心配するの?」
「それはナギサも分かっているんじゃないか? 大切な人を心配するのに理由なんていらないだろ。そうじゃないならナギサはなぜ、俺達に護衛を付けることにしたんだ?」
「……ああ、そういうこと。なんか分かったかも」
口で説明するのは難しいやつだねー。でも俺がみんなを心配して護衛を付けることにしたのと同じように、みんなも俺のことを心配してくれているのは分かった。心配の理由もね。
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