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第2章 亜麻色の光
96 お願い
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「…………」
「……やめよ。デート中だし」
「そうだね。お腹空いてるのにこんな下らない喧嘩をしてる場合じゃなかった。餓死しちゃう」
うん、それくらいで死なないから安心して良いと思うよ? それにアリスは一食抜いたくらいで栄養失調になるほどか弱くもないでしょ。
「それなら早く移動しよ。でも大丈夫、忙しすぎて四日間不眠不休で水以外胃に入れなかったことがある俺でも死ななかったから。仕事が終わった後の記憶は一日分くらいないんだけど」
「それは栄養失調で倒れてるよ」
「あれはねー……父さんと母さんと直人くんと、あとは工藤さんと旭にも怒られた。特に工藤さんが怖かったねぇ」
出張中だったのかな? 何の仕事だったかは忘れたけど、誰も俺が忙しくしていたことを知らなかったんだよ。だから家族はもちろん、専属の医者だった工藤さんは怖かったね。穏やかな人ほど怒ると怖いって、まさにその通りだなって思った。
「私もその話を聞いてたら怒ってたね」
「知られなくて良かったー」
本気でやめてほしい。アリスに本気で怒られたらしばらく立ち直れない気がする。だって絶対に冷たい目で見られるから。
◇
「───それでね、私も結構魔法が使えるようになったんだよ。今ならナギサと共闘しても足を引っ張ることはないんじゃないかな」
「へぇ……あれからもちゃんと練習してるんだね。雅はどうなの?」
「お兄ちゃんはそもそも練習する気がないかな。魔法なしでも精霊相手に戦えるだろうし、お兄ちゃんが言うには『魔法なんて複雑なもの、俺には向いてない』だって」
そんなことないだろうに。雅って自分のことを脳筋だと思っている節があるよねぇ。完全に否定することはできないけど何気にスペック高いし覚えるの早いじゃん。練習すれば強くなると思うのにもったいない。まあ何だかんだ言って練習してそうではあるけど。
アリスもすごいと思う。前に泊まり込みで教えた時にはそこまで強くなかったのに、自分でここまで言えるってことは相当努力したんだろうねぇ。
「……で、アリスは何が言いたいのかな?」
「ん?」
「ん? じゃないよ。突然こんな話をしてきたってことは何か言いたいことがあるんでしょ」
何年一緒にいると思ってるのかなー? そんな誤魔化しが俺に効くとはずがないと分かっているはずなんだけど……?
「……無理を承知でお願いするんだけど」
「うん」
「ナギサが追っている相手について、私も一緒に調べたい」
「……やめよ。デート中だし」
「そうだね。お腹空いてるのにこんな下らない喧嘩をしてる場合じゃなかった。餓死しちゃう」
うん、それくらいで死なないから安心して良いと思うよ? それにアリスは一食抜いたくらいで栄養失調になるほどか弱くもないでしょ。
「それなら早く移動しよ。でも大丈夫、忙しすぎて四日間不眠不休で水以外胃に入れなかったことがある俺でも死ななかったから。仕事が終わった後の記憶は一日分くらいないんだけど」
「それは栄養失調で倒れてるよ」
「あれはねー……父さんと母さんと直人くんと、あとは工藤さんと旭にも怒られた。特に工藤さんが怖かったねぇ」
出張中だったのかな? 何の仕事だったかは忘れたけど、誰も俺が忙しくしていたことを知らなかったんだよ。だから家族はもちろん、専属の医者だった工藤さんは怖かったね。穏やかな人ほど怒ると怖いって、まさにその通りだなって思った。
「私もその話を聞いてたら怒ってたね」
「知られなくて良かったー」
本気でやめてほしい。アリスに本気で怒られたらしばらく立ち直れない気がする。だって絶対に冷たい目で見られるから。
◇
「───それでね、私も結構魔法が使えるようになったんだよ。今ならナギサと共闘しても足を引っ張ることはないんじゃないかな」
「へぇ……あれからもちゃんと練習してるんだね。雅はどうなの?」
「お兄ちゃんはそもそも練習する気がないかな。魔法なしでも精霊相手に戦えるだろうし、お兄ちゃんが言うには『魔法なんて複雑なもの、俺には向いてない』だって」
そんなことないだろうに。雅って自分のことを脳筋だと思っている節があるよねぇ。完全に否定することはできないけど何気にスペック高いし覚えるの早いじゃん。練習すれば強くなると思うのにもったいない。まあ何だかんだ言って練習してそうではあるけど。
アリスもすごいと思う。前に泊まり込みで教えた時にはそこまで強くなかったのに、自分でここまで言えるってことは相当努力したんだろうねぇ。
「……で、アリスは何が言いたいのかな?」
「ん?」
「ん? じゃないよ。突然こんな話をしてきたってことは何か言いたいことがあるんでしょ」
何年一緒にいると思ってるのかなー? そんな誤魔化しが俺に効くとはずがないと分かっているはずなんだけど……?
「……無理を承知でお願いするんだけど」
「うん」
「ナギサが追っている相手について、私も一緒に調べたい」
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