【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第3章 動き出す思惑

24 今までとは違った

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「───というわけで、遅くなってごめんね?」
「いえ、お気になさらず。お久しぶりですね」
「うん。弟殿下とは少し前に会ったけど変わりないようで安心したよ」

 あの後、少し周辺の片付けをしてからティルアード王国に戻った。俺達がいたのは隣国だから無断で入国している以上、ある程度は片付けておかないとに怒られる。普段穏やかな人ほど怒ると怖いからね。

「ナギサ様は隣国にいらっしゃったのですよね?」
「そうだよー。隣国の皇帝陛下、実は顔見知りなんだよね。だから許可なく入らせてもらった」

 まあ顔見知りじゃなくても無断で入国させてもらうけどね? でも大丈夫、国を壊滅させたりはしないからさ。

「で、アルフォンスくんは体調が悪いの? ルーからは嫌な予感がするだけって聞いたけど……」
「はい。どうやら私の予感が当たってしまったらしく、ここ数日は寝込んでいます。ただの体調不良なら良いのですが、様子をみていただけないでしょうか?」
「良いよ。ちょっと行ってくるからここで待っててね」

 あの子は王太子殿下だからなぁ……比較的平和な国だけど最近はちょっと不穏だし、正直何かあってもおかしくないんだよね。まあその不穏な理由、俺も心当たりがないとは言えない。だってその理由が他でもない自分自身だから。
 初代のアリサ様と先代のローランド様。お二人の時代は今の時代より大変だったみたいだけど、今代は今までとは違った荒れ方だと思うんだよね。戦争とかは分かりやすいけど、何というか……俺の代はじわじわ危険が近付いてきてる感じ。一番質が悪いと思う。

 ジェソンさんの執務室からアルフォンスくんの部屋へ転移すると、ベッドの中で勉強中のアルフォンスくんがいた。一目見れば分かるほど体調が悪そうで、それでも王太子としての勉強をしてる彼に少し呆れた。でもこの子は俺と違って真面目だからなー……部屋の中に入ってきてるのに気付かないって、どれだけ集中しているんだろうねぇ。

「……王太子殿下、お休みくださいって言いましたよね?」
「あ、あと少しだけ……え?」
「子供の内から勉強ばかりだと俺みたいな性格になるかもよー」
「ナ、ナギサ様!?」
「ふふ、久しぶりだね。できれば元気な君と会いたかったけど会えて嬉しいよ」

 この距離にいて気付かれないなら……と思い、彼のすぐ隣まで移動して耳元で囁くと、見事に後ずさって驚いてくれた。この子は真面目だから俺とは違う意味で使用人が苦労しそう。そんな使用人が掛けてそうな言葉を耳元で囁いたんだけど、至って自然に返してたからやっぱり普段からこんな感じなんだろうねぇ……
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