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第3章 動き出す思惑
41 『興味がある』と『必要』
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ねぇ……ちょっと許せないことがあるんだけど。いい加減にしてほしい。彼らは悪くないけども。
「腹を括ってください。男でしょう」
「……いくらなんでも酷くないですか? 昨日の今日ですよ?」
そう、俺は彼ら───クレアちゃんとミシェルさんに物申したいことがある。俺の行動範囲が広がるかなと思って作り上げたナイジェル・シーランという人間だけど、社交界に全然出ていかないから色々と噂されているらしく。だからね、俺は短時間だけ社交の場に出ようと思ったんだよ。それで昨日彼らと話し合っていたんだけど……俺、参加することになったシュリー家の夜会がいつあるのか聞き忘れていたんだよねー……
たしかに聞き忘れた俺が悪かったよ? だけど日程くらい教えてほしかったかなー。
「精霊王ならあらゆる情報の最先端を行っていると思っていましたが違うのですね」
「……皮肉を言わないでください。私は興味のあること以外すぐに忘れてしまうんです」
だから興味を持ったことを極められる。『興味がある』と『必要』は別だからね。覚える気があれば覚えられるけど、基本的に忘れてはいけない必要な情報でも興味がなければ高確率で記憶から消える。それが俺の脳だから。……全然自慢にはならないんだけどね?
まあつまり、話に聞いていたシュリー公爵家主催の夜会というのは今日あるらしい。言われてみればだいぶ前にそんな情報が耳に入ったような気がしないでもない。
「ナイジェルはなぜ夜会が嫌いなのですか?」
「人酔いするんですよ。それに外面を飾らなければならないなんて面倒じゃないですか。堅苦しいのはあまり好きじゃないんですよね」
「典型的な社交嫌いですね……」
「ほら、嫌いでも何でも良いからさっさと行くよ。絶対に遅刻できる立場ではないんだからね」
「はい。……めんどくさ」
「本音もしっかり聞こえてるよ」
小声で言ったつもりなんだけど耳良いねー。まあいいよ、今日は爪痕残して代わりにしばらくは社交なんてしないから。何をするかについては二人にも言ってない。きっと面白いことになるだろうなぁ……その点では楽しみかも。
体調が回復したばかりで申し訳ないけど、快く了承してくれて助かったよ───ウンディーネ。
◇
『ウンディーネ』
『なぁに?』
『お願いがあるんだけど、体調は大丈夫そう?』
海で自分の属性の精霊と戯れていたウンディーネに声をかけると可愛らしい笑顔が返ってくる。こうして遊びまわっている時点で不調ということはないだろうと思いつつ、一応確認を取った。ナギサが頼もうとしている内容だと激しく動くようなことは恐らくないはずだが、体調が悪いと大変かもしれない。
『大丈夫だよぉ。お願いって?』
『今度ナイジェルとして夜会に参加しようかなって思ってるんだけど、パートナーとして一緒に参加してくれない? 俺として参加するわけじゃないからアリスは誘えないんだよね』
『夜会……? いいよ。だけどなんでわたしなのぉ?』
『ちょっとやりたいことがあってね、抜け出したことに気付かれないようにするなら注目を集める人が良いかなと思って。精霊も他の種族と関わることが増えたけど、それでも大精霊はまだまだ雲の上の存在って感じだから注目を集めるには十分でしょー?』
『……暴れないでねぇ? わたしでは止められないからぁ』
『努力するよ』
◇
「腹を括ってください。男でしょう」
「……いくらなんでも酷くないですか? 昨日の今日ですよ?」
そう、俺は彼ら───クレアちゃんとミシェルさんに物申したいことがある。俺の行動範囲が広がるかなと思って作り上げたナイジェル・シーランという人間だけど、社交界に全然出ていかないから色々と噂されているらしく。だからね、俺は短時間だけ社交の場に出ようと思ったんだよ。それで昨日彼らと話し合っていたんだけど……俺、参加することになったシュリー家の夜会がいつあるのか聞き忘れていたんだよねー……
たしかに聞き忘れた俺が悪かったよ? だけど日程くらい教えてほしかったかなー。
「精霊王ならあらゆる情報の最先端を行っていると思っていましたが違うのですね」
「……皮肉を言わないでください。私は興味のあること以外すぐに忘れてしまうんです」
だから興味を持ったことを極められる。『興味がある』と『必要』は別だからね。覚える気があれば覚えられるけど、基本的に忘れてはいけない必要な情報でも興味がなければ高確率で記憶から消える。それが俺の脳だから。……全然自慢にはならないんだけどね?
まあつまり、話に聞いていたシュリー公爵家主催の夜会というのは今日あるらしい。言われてみればだいぶ前にそんな情報が耳に入ったような気がしないでもない。
「ナイジェルはなぜ夜会が嫌いなのですか?」
「人酔いするんですよ。それに外面を飾らなければならないなんて面倒じゃないですか。堅苦しいのはあまり好きじゃないんですよね」
「典型的な社交嫌いですね……」
「ほら、嫌いでも何でも良いからさっさと行くよ。絶対に遅刻できる立場ではないんだからね」
「はい。……めんどくさ」
「本音もしっかり聞こえてるよ」
小声で言ったつもりなんだけど耳良いねー。まあいいよ、今日は爪痕残して代わりにしばらくは社交なんてしないから。何をするかについては二人にも言ってない。きっと面白いことになるだろうなぁ……その点では楽しみかも。
体調が回復したばかりで申し訳ないけど、快く了承してくれて助かったよ───ウンディーネ。
◇
『ウンディーネ』
『なぁに?』
『お願いがあるんだけど、体調は大丈夫そう?』
海で自分の属性の精霊と戯れていたウンディーネに声をかけると可愛らしい笑顔が返ってくる。こうして遊びまわっている時点で不調ということはないだろうと思いつつ、一応確認を取った。ナギサが頼もうとしている内容だと激しく動くようなことは恐らくないはずだが、体調が悪いと大変かもしれない。
『大丈夫だよぉ。お願いって?』
『今度ナイジェルとして夜会に参加しようかなって思ってるんだけど、パートナーとして一緒に参加してくれない? 俺として参加するわけじゃないからアリスは誘えないんだよね』
『夜会……? いいよ。だけどなんでわたしなのぉ?』
『ちょっとやりたいことがあってね、抜け出したことに気付かれないようにするなら注目を集める人が良いかなと思って。精霊も他の種族と関わることが増えたけど、それでも大精霊はまだまだ雲の上の存在って感じだから注目を集めるには十分でしょー?』
『……暴れないでねぇ? わたしでは止められないからぁ』
『努力するよ』
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