アイツだけがモテるなんて許せない

月咲やまな

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本編

【第2話】自室トレーニング……?(桜庭充・談)

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「お邪魔しまーす」
 鍵を開けられたままにしておいてくれていた清一の家のドアを開けて、勝手知ったる家の中に入ると、鍵をかけてから二階へと上がって行った。家の人は相変わらず誰もおらず、清一の部屋からちょっと物音がするくらいだ。

 清一の部屋のドアの前に立ち、ドアを叩く。
「どうぞ」と答える声を確認してから、俺は部屋の中に入った。
「そういうとこ、律儀だよな」
 黒いジャージ姿で、床に座る清一が俺を見上げながらクスッと笑った。

「勝手に入って、ヤバイとこだったらお互い嫌だろ?」

「変な心配すんのな、充は」
 自分がされて嫌な事はしないなんて基本だろ?と思ったが、『ヤバイとこって何してる時のことだよ』『まさか何かあったのか?』と、深く追求されたら恥ずかしい気がして言わなかった。

「さて、充がやる気のあるうちに早速始めるか」
「おう」
 持って来た鞄を部屋の隅に置き、早速体を伸ばす。腰に手を当てて後ろにのけ反ったり、アキレス腱を伸ばしたりしている俺をそのままに、清一は床にヨガマットを広げ始めた。
「そんなもんまで持ってんのな」
「ストレッチするのにも便利だからな。滑りにくいから結構いいぞ」
「へー」
 しゃがみこんで緑色したヨガマットを突っつく。何度も来てるのに、こんなもんまで持てるのも知らんかったとか、何で今まで教えてくれなかったんだろうとちょっとだけ思ったが、やる気の薄れている奴相手にはわざわざ言わんか。

「ストレッチからやるか。手伝うぞ」
「待って、上脱ぐわ」
 白いジャージの上着を脱ぎ、青い速乾Tシャツ姿になる。促されるがままヨガマットの上に脚を伸ばして座ると、清一が俺の両足首を掴んで外側に広げた。
「いて!」
「あ、悪い。今はどこまで開く?痛いって思うギリまで開いて、そのまま前屈な」
「ういよっと。…… あーこれ以上無理っす」
「了解。後ろから押すから、痛くなったら言えよ」
「お、おう」
 俺が答えると同時に、清一が背中をグッと押してくる。思ったよりも前に倒れていけて、「いいね、充。結構柔らかいな」と褒めてくれた。

「あーでももう無理。そこでストップ」
「わかった、ここな」

 そんなやり取りをしながら、脚や腕の筋肉をほどよく伸ばしていく。お互いに腕を引っ張ったりもして、一人じゃやれそうにない柔軟体操なんかも色々教えてもらったりもした。


「体はあったまったか?」
「そうな、それなりに」
「ところで充は、どこの筋肉をつけていきたいんだ?」
「…… どこのって」
 モテるのが目標であって、筋肉をつけることが目的じゃないせいで特にこれといって希望が出てこない。何となくあったらカッコ良さそうだと言えば…… やっぱ腹筋か?

「腹筋が割れてたら、ちょっとカッコイイよな」

「服直筋上部と下部だったら、主にどっちだ?充の筋肉のつき具合で、トレーニングの内容が変わってくるんだが」
「ふく…… へ?」
 ちょっと言ってる意味がわからない。
「大胸筋とか上腕二頭筋なんかもあると、結構見栄えするよな」
「ごめん、お前がどこの話してんのかサッパリわかんねぇわ」
「マジか。基本じゃないのか?」
「イヤ、全然」
「わかった。気を付けるわ。とにかくまずは腹筋だな。背筋も鍛えないと姿勢が崩れるからどっちも均等にな。急に無理すると腰痛の原因にもなるから、回数とやり方には注意しろよ」
「…… お、おう」
「ちなみに——」と言いながら、清一が俺をヨガマットの上に寝転がるよう促す。「ん?」と言いながら顔を見上げると「胸筋と背筋の両方を鍛えると、猫背が治るからちょっと身長伸びるぞ」と言われ、俺は俄然やる気が出てきた。

「マジかよ!超やるわ!百回とか目指してやんよ!」

「いきなりソレはやめておけ。無理に一般的な腹筋運動をしなくても、腹に力入れながら頭だけ持ち上げて数秒待つとかでも筋肉はつくから、少しづつ今出来る範囲からやろうな?」
「…… はい」
 慎重だから続いたんだな、コイツは。いきなり過剰にやろうとする俺とは違って、きちんと続くわけだ…… 。
 それから俺は、清一の指導の元、腹筋、背筋、スクワットと多種多様な筋トレを教えてもらったのだった。


「清一はダンベルとか使わんのな」
 汗を腕で拭い、あがった息のまま清一に訊いた。
「成長期は自重トレーニングの方がいいらしいからな。ダンベルも、いいの揃えようと思うと結構高いからまだ手出ししていないんだ」
「本はサクサク買うのにな。そこは渋るのか」
「…… 本は趣味。筋トレは約束を守ってるだけだからな」
 ヨガマットを片付けながら、清一がバスタオルを引き出しから取り出し、ベットの上に広げた。

「よし。充、上脱げ」

「…… は?」
「お前の筋肉のつき具合を見てやるから。今後の…… 参考にもなるし」
 ちょっと清一の頰が赤い気がするが、トレーニング後だからか?
「そっか。そうだな」
 俺が納得すると、清一がホッとした様に息を吐き出した。
 Tシャツを脱ぎ、それをベッドの端へ置く。自分の腕とか腹を改めてまじまじ見ていると、ちょっと悲しくなってくる。さっき教えてもらったトレーニングを続ければ、本当にコレがムキムキになるんかねぇ…… 正直信じられん。

 ゴクッと清一の喉が鳴り、俺は不思議に思いながら奴の顔を見上げた。

「ん?」
「な、何でもない!」
「『何でもない』っていきなり何だよ、意味ワカンネェ」
「そ、そうだな、悪い」
 気のせいじゃないレベルで清一の顔が赤い。それを誤魔化すように腕で隠すと、清一が俺から視線を逸らした。
 そんな清一を見ていて、そういやコイツの体って、筋トレ始めてからしっかり見た事無いんじゃないか?男の着替えなんか見ようとも思わんから、そんな事にも気が付いていなかった。

「清一も脱げ」

「…… は⁈」
 清一が驚き、声をあげた。
「使用前・使用後みたいに比べたいんだよ。ほら、マジでやったらこうなるぞってのが目の前にあったら、よりやる気になるだろ?」
 ベッドに腰掛け、前に立つ清一のジャージを引っ張る。
「あ、あぁ。なるほどな…… いや、まぁ…… わかった」
 ちょっと躊躇した感があったが、清一がジャージのファスナーに手をかけて下ろしていく。ジッとその様子を見ていると、奴の手が震えている事に気が付いた。
「寒いのか?」
「いや?」
「そっか」
 ジャージを脱ぎ、足元に落とす。Tシャツに手をかけて勢いよく清一が脱ぎ捨てると、見事な裸体が目の前に晒された。

「うわ!」
「『うわ!』ってなんだよ、失礼だな」

 モデルかよ!と言いたくなる引き締まった体を惜しげもなく見せつけられ、余計に凹みそうな気分になってきた。腹筋は見事に割れてるし、胸筋もしっかりあって盛り上がっている。二の腕も太過ぎず、程よい感じが美しい…… って!何魅入ってんだよ、俺はよぉぉぉ‼︎

「ちょっと触るな」
 俺の返事を待たぬまま、清一が俺の二の腕を持ち上げた。
「脂肪は少ないのな。まぁ走ってはいたからそのおかげか」
 清一が腕を揉んで筋肉のつき具合を確かめたと思ったら、今度は俺の腹筋にそっと触れてきた。
「こっちも随分細くなったよな」
「やめ!くすぐったいって!」
「胸筋はサッパリだな。腹筋だけじゃなく、こっちも一緒に鍛えるか。…… 個人的には、このままでもいいと思うんだが」
「そういうお前はどうなんだよ!」
 そう言いながら俺が清一の腹筋に両手で触れると、奴の顔が茹で蛸みたいに真っ赤になった。耳まで赤く、口元は歯を食いしばって震えている。
「すっげ!何だよコレ‼︎うわぁぁぁぁぁ!溝っすげぇ!え?マジ?感動もんだわコレ!」

 シックスパックってやつか、コレが!

 筋肉の溝に指を入れ、ラインにそってなぞったり、つついたり。終いには揉んだりしていると、清一が俺の前に膝をついて座り、肩をガシッと掴んできた。体が震え、俯いてはいるが抵抗はしない。文句を言う訳でも無いのをいい事に俺が胸筋にまで手を出して揉み出すと、「マジか…… 」とだけ清一が呟いた。

「いいなぁ、お前すごいな。ここまで鍛えるとか」

「…… お、お前だって、やれば…… れな…… に」
 声が小さく、聞き取り難い。どうしたんだろうか?
「——充!」
「んー?」

「お前に筋肉があまり無いのは、筋肉が硬いせいもあるかもな!」

 肩を掴む手に力が入り、目が据わった感のある清一が大きめの声をあげた。
「な、何だよ、いきなり」
「俺がほぐしてやるから、ちょっとこの手を離せ」

「えーコレめっちゃ気持ちいいのにか?」
「…… くっ。マジかよ…… 俺をコロス気かっ」

 複雑な心境を抱えてる感のある顔をしながら、清一が俺の胸をドンッと押し、ベッドの上に倒した。俺の脚を持ち上げ、半回転し、全身が仰向けに寝転んだ状態にさせられる。清一の寝具の上で横になるとか、思えば小学生の頃以来だ。

「ちょっとそのままでいろよ」
「お、おう」

 天井を見上げながらボケっとしていると、何やらベッド下からゴソゴソと音がした。何やらキャップを開ける音がしたと思ったら、腹の上になにやら冷たい透明なジェル状のものをかけられ、俺は「うわぁっ!冷てぇぇぇ!」と声をあげて上半身を軽く起こした。
「悪い、すぐ温めるから」
 言うが同時に清一が俺の腰に跨り、ジェルでヌルつく腹に両手を添えてきた。
 掌に馴染ませ、腹を撫でてくる。くすぐったいような気持ちいいような、微妙な加減で触られ、反応に困った。

「…… 柔らか」

 夢見心地ともいえる声で、清一が呟く。
「うっせ!人が気にしてる事を、改めて言うな!」
 視線を清一の方へやると、ひどく真剣な眼差しで体を撫でている様子が見えて、心臓が一気に跳ねた。

 え?な、何でそんな顔してんの?筋肉ほぐしてるだけ…… なんだよな?

 ウエストラインやヘソの辺りをヌルヌルの手が這っていく。徐々にその手が上にあがってきて、俺の呼吸までもが乱れていく。

 ヤバイ、気持ちい…… マッサージルームとかにハマる奴の気持ちわかるかも。

 胸を撫でられて、腹の奥が変に疼いた。
 あ、コレマズイ、このまま続けられたら——

「腕も揉むな」
 清一は俺にそう声をかけると、二の腕もニュルニュルする温かな手で丹念に撫で始めた。あのまま胸を揉まれていたらマズイ部位が元気になりそうだったので、ちょっとホッとした。 
 俺に跨ったままの姿勢でよくまぁできるなと思いながら、ジッと清一の腹筋を見る。引き締まった筋肉にうっすら汗が垂れ落ち、ちょっとエロイじゃんと思ってしまった。

「うわ…… 」

「気持ちいいのか?」
「二の腕ヤバイ、逆撫でされると変な感じする」
 俺が正直に感想を言うと、清一が口元を震わせながら視線を逸らした。
「もっと、して欲しいな」
「くっ…… わ、わかった」
 リクエストに応えるよう、丹念に優しく二の腕を揉んでくれる。これ、背中とか脚とかもされたらマジ気持ちいいかも。

 息が上がり、清一の額から汗が流れ出し、俺の胸の上に滴り落ちる。
「こうしてると、なんかちょっとエロいな」
 クスクス笑いながら俺がそう言うと、清一が眉間に皺を寄せ、俺の顔を高揚を隠す事無く見詰めてきた。

 ヤバイ、いい顔すんなぁ…… 。イケメンズルイ。

 二の腕を撫でてくれていた両手が離れ、ベッドにその手をつく。俺の上に覆いかぶさるような姿勢になると、清一の顔がゆっくり近づいてきた。

 …… え?何?清一、どした?
 コレ…… 床ドンってやつか⁈
 床じゃねぇからベッドドン?
 うっわぁ響きわるっ!

 キスでもされかねない距離にまで清一が近づいてきたが、心臓がバクバクするばかりで除けようとか考える余裕も無く、意味不明な事しか頭に浮かばない。縛られてるワケでも無いのに体が動かず、ただされるがままになってしまう。

「充…… ココ、勃ってるけど…… そんなに良かったのか?」
 ツイッと、指先でジャージ越しに勃起しているモノを撫でられた。

 マジかよ——

 耳元で吐息混じりに囁かれ、背中がゾクッとしたと同時に、親友の目の前で勃起してしまった事に恥ずかしさを感じた。我慢出来てると思っていたのに、違ったみたいだ。
「…… ごめ、ん」
 気恥ずかしさに清一から顔を逸らそうとしたが、ジャージのズボンとボクサーパンツを同時にずり下げられ、俺は目を見開いて奴の目を凝視してしまった。
 互いの鼻先がぶつかり、荒い息遣いが心拍数を否応なしに上げていく。

「このままじゃ辛いよな?…… 責任取るよ」

 清一の手が俺の勃起するモノに直接触れ、腰が浮いた。
「んな⁈お前、何でそんなとこ触って——んあっ!」
 ジェルのまとわりついた手で上下に軽く擦られて、変な声がでてしまう。
「ははは…… エロイな、充」
 優しく陰茎部を撫でながら、清一が俺の耳にかぷっと噛み付いてきた。
「んくっ」
 耳が気持ちいいとか知らんかった。
 もっと噛まれたいとか思ってしまい、そんな考えを慌てて消そうとしたのだが、何度も甘噛みされてはすぐにそれも出来なくなる。

「耳が気持ちいいのか?…… じゃあ、ココは?」

 亀頭部分を指先でゆるっと撫で、先走り汁をジェルに絡めていく。大きな手ですっぽりと包まれ、同性ゆえの的確なポイントをつきながら、また陰茎部を擦られた。
「や…… それマジで…… や、あぁ!」
 清一の腕にしがみつき、達してしまわぬ様必至に耐える。胸の先が奴の胸筋で擦れ、淫猥な声が次から次に、口からこぼれ出る。無意識に腰が動き、より深い快楽を求めてしまう。自慰よりも数段気持ち良くて、快楽に抗えない。
「きよ…… ぁ…… くっ!」

「可愛いな、充。…… 想像以上だ」
「そうぞぅ?…… 何、言ってん…… ダメだって、マジやばぃか…… らぁ」

 根元は強めに、先は優しく擦られ続け、言葉では『止めろ』と言っているくせに、腰が動いてしまう。もっと、もっと…… と動く体に連動する様に顔が蕩け、飲み込みきれぬヨダレが口の端から流れ出る。清一がそれをペロリと舐め、「…… 甘いな」と、囁いた。
「イクッ…… で、出るからマジで、はな——」

 だが、もう目の前まで迫った絶頂が——すっと急に消え去った。

「…… え…… 」
 俺の陰茎部から温かな手が離れ、要望通りに刺激が消え去ってしまった事に対し、体が不満を訴えている。もっと欲しいのに、早くイキたいのにと体が震え、上がった息のまま俺は清一の顔をジッと見詰めた。

「これ以上無理だ…… 悪い」
 俯き、清一がボソッと呟く。

 無理って何がだよ。ここまでしておいて、やっぱ気持ち悪いとか言って放置する気か?

 と、少しイラついてくる。すると清一は自分のジャージをずり下ろし、俺の目の前に、自らの滾る陰茎部を全て晒してきた。ヒクヒクと快楽を求めて震え、流れ出る先走り汁が竿を伝う。ドクンッと脈打つ感じがひどく淫猥で、腹の奥がキュッと疼いてしまった。

 俺のモノと比較にならんサイズに『ここまでデカイとか、もう反則だろ!』『どこもかしこも規格外とか、巫山戯るなぁ!』と心の中で毒突きつつ、何を清一がする気でいるのか虚ろな眼差しのまま見ていると、爆発寸前である俺の陰茎部に、清一が己のモノをくっつけ始めた。

「うわぁ!お、お前、何し⁉︎——あぁぁ!」
「ごめん、ほんとゴメン…… 無理だ、我慢なんか出来ない!」

 清一が双方の陰茎部をまとめて掴み、くっつけたまま腰を動かす。互いのモノが擦れ合い、俺はよがり声をあげて清一の首に抱きついた。

「何これ…… マズッ…… さっきより、きもちぃ…… くっ…… や!」

「みつる…… 気持ちいいか?俺も、やば…… 」
 痴態に塗れた声をあげる清一を、不覚にも可愛いとか思ってしまった。
 激しい動きのせいで互いに汗が滲み出て、重なる肌がしっとりと心地いい。上に覆いかぶさる清一の胸筋が俺の胸の尖りに擦れ、女みたいに胸で感じ、「んあっ」と声をあげてしまった。
 頭ん中が享楽一色に染まり、当初の目的が思い出せない。同性で何やってんだよとか一瞬よぎっても、陰茎部に感じる快楽ですぐに消えていく。

「きよか…… 清一ぅ」
「あぁ…… 充、夢みたいだ」

 清一の腰の動きが激しくなり、嬌声が我慢出来ない。「あぁ!んあっ」と俺のみっともない声が部屋中に煩く聞こえる。奴はやたらと嬉しそうに俺の顔を覗きこみ、控えめにそっと頬ずりをしてきた。

「一緒に…… イキたいんだが…… ダメか?」

 ダメだろ!とか、もうそんなセリフを言う余裕なんか微塵も無い。でも、いいぞとも言う事すら出来ず、俺は必至に頭を縦に振った。陰茎部を握る清一の手に軽く力が入る。互いに腰を振り、劣情にどっぷりとひったった瞬間、一気に快楽が弾けた。

「やば…… でるっ…… あぁっ!」

 陰茎がビクビクと激しく跳ねて、白濁液が清一の腹筋へと飛び散ってしまう。
「くっ」
 清一も短い声をもらしたかと思うと、限界まで質量を増した陰茎部から白濁液を俺の腹へと撒き散らした。

「…… はぁはぁはぁ」

 呼吸音だけが部屋を満たす。互いの体温で室温が上がり、汗っぽい体からは、達したというのに熱が引かない。

 今までの経験の中で一番気持ちよかった…… 。
 自慰しか知らんから、比べる対象が少ないけども。

 火照る顔に腕を乗せ、はぁと息を吐き出す。
 いつもならもう今頃賢者タイムが訪れて、『またやっちまったなぁ』と軽い罪悪感を感じている頃なのだが…… 正直今はもっとしたいと思っている。

 親友相手に何を考えてる?
 有り得んだろう。

 そう考えはするのに、腹の奥の疼きは治らず、陰茎部に少しの固さを感じた。
 だが、清一は「今拭く物持って来る」と言いながら俺の上から体をよけ、フラつく足取りのまま、ジャージだけをそのまま穿いて、逃げる様に部屋を出て行ってしまった。

「…… マジか」

 自分だけでは持て余す衝動を俺はどうにも出来ないまま、ただ人様のベッドに横たわり、呆然と清一の戻りを待ったのだった。
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