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5、混乱
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ここは、チャオの西のはずれにある魔物の国“ルピティス”との国境にある砦。
名はなく、西の砦と呼ばれている。
ただし、国境と定めているのは人族の方のみであり、
魔物の国は定めていなかった。
1万の守備隊であるが、見回る地域は広く、
500人ずつの部隊に分け、昼夜、広い国境線を巡回していた。
内訳は、騎馬隊100名、歩兵390名(魔術兵含む)、獣人部隊10名である。
常に、6部隊が出動し、砦を中心に、1日のスパンで見回り、
常時、魔物の国を監視下においていた。
4つの国の中で、人族の国“チャオ”が一番広く、
東西に3,000k、南北に6,000kの距離があった。
次に魔物の国“ルピティス”が3分の2の国土を持つ。
エルフの国“メディオクリス”は、森林地帯に住み、
広さも、チャオの6分の1程度。
魔物国“ルピティス”どちらかというと獣人の国である。
色々な獣人の部族が混在し、争いをおこなっている。
豹族、狼族、虎族、馬族、兎族、熊族など、多種多様である。
もちろん、通常の獣(鹿、猪、熊など)、
サソリ、蛇など毒を持つ爬虫類なども存在する。
ルピティスは、平地であったり、砂漠であったり、森林であったり、
岩場であったり、水場であったり、
色々な地形が、常に動いており、時間(昼夜)によっても、
その様相を変えていた。
その為、魔物の国と呼ばれている。
砦から見える場所は、
平地が100mほど続いており、その後は、森林があるだけであるが・・、
獣人の案内がなければ、人族は魔物の国への入国は難しいであろう。
獣人たちは、REX(レックス)という冠を手に入れるために、争いを続けていた。
その為、人族の方へは、目は向けられていなかったのだが・・
「第16分隊、これより定期哨戒にでます」
リーンは、哨戒に出る同じ村出身の、幼馴染のロクエイに声をかけた。
「ロクエイ、帰ってきたら、一緒に酒を飲もうぜ
村から蜂蜜酒が届いているし、ユンの手紙もあるぞ」
「リーン、ユンの手紙だって、それ先に読んじゃだめだからな、俺が帰ってきてからだからな、おっと、出発だ。それじゃ、行ってくるよ」
ユンは、2人の村の幼馴染で、3人とも、今年20歳になる。
リーン、ロクエイは、16歳からの4年間の守備隊勤めを終わり、
12月には村へ帰ることになっていた。
2人が帰った時、2人は、ユンに告白をし、
どちらかがユンと結婚をしたいと思っていた。
部隊に入るときに、ユンにはその事を伝え、
戻るまでに決めて欲しいとも伝えていた。
ユンも了承していた。帰った時に決めると。
その為、手紙にも2人の名前を書いて送って来ていた。
通常通り、また、西の砦から、巡回部隊が出動した。
普通に帰ってくるはずだった部隊は、1日たっても帰ってこなかった。」
魔物の国“ルピティス
REXを巡る争いは、最終局面を迎えていた。
広い平野で、豹人の長・パラダスが、他の獣人族に先立ち、
ついに、REXを手に取った。
REXは、黒色の茨の冠である
パラダスが被ると、黒色は赤色へと変わった。
ここに、魔物国の国王・パラダスが誕生した。
「なんだ、この漲(みなぎる)力は」
まばゆい光が収まると、そこには、威風堂々とした、赤い目を持つ豹人が在た。
「すべての獣人族に伝える、我は今、ここに獣人の王となる資格を得た」
「我の前に、すべて跪け!」
「何を言ってやがる、ふざけるな」
狼人の一人が、そう言い、鋭い牙をむき出しにして、
パラダスに向かって跳躍した。
パラダスは、その右手で、その狼人の頭を鷲掴みにすると、
一瞬の間に、握りつぶした。
緑色の血が、パラダスの全身に飛び散り、
さらに両手で、その者を左右に引き裂き、
その肉を喰らった。目は赤く爛々と輝き、
以前のパラダスを知っている者にとって、別の存在に見えた。
その圧倒的な力に、その他の獣人たちは、恐怖した。
パラダスの中で、何かが変わり、そして、渇望が生まれた。
「我は、獣人王、豹人のパラダス! このルピティスの国が全ての頂点に立つ」
「人族によって奴隷にされている獣人たちの解放、そして人族の国を滅ぼすのだ」
「全ての獣人族よ、我が下に集まるのだ」
パラダスの元、
獣人たちの進行は、大きなうねりとして、チャオに迫りつつあった。
一方、エルフの国 メディオクリス
シュウとミスセンテスのルト、セレティスは、
親衛隊長フォルティに連れられ、エルフ国に足を踏み入れた。
大きな樹木上で形成されている家の中で、ひときわ大きな家、いや、その樹木自体が、
家と呼べるものであろうか。
その樹木の下の方に、頑丈な木の扉があった。
フォルティは、ト、トン、ト、トントとリズムよくその扉をノックした。
扉の小窓が開き、フォルティを確かめると、すぐに扉を開けた。
「フォルティ、フラタリスは?」
出てきたのは、皇女バルチャーム、その可憐な瞳は沈んでいる。
「ここに」
部下の一人が、フラタリスを抱きかかえていた。
「あ~フラタリス、無事だったのね、眠っているようだけど、大丈夫なの」
フォルティが、
「薬で眠っているだけだ、身体は異常なさそうだ」と言うと、
「奥のこの子のベッドに運んでと」バルチャームを言い、その部下を手招きした。
フラタリスをベッドに寝かせるのを確認したフラタリスは、フォルティに声を掛けた。
「この人族の人は誰?それにミスセンテスの子たちもいるようね」
「彼らが王子を助けたと言っている、詳細を聞くために連れてきた」
「そうなの、詳しく知りたいわ、中へどうぞ」
バルチャームは、そう言うと、フォルティと俺たちを家の中に招き入れ、
木で出来たテーブルにある椅子を進めてくれたので、座った。
ルトとセレティスはも俺の横に腰かけた。
向かいにバルチャームが座り、フォルティはその後ろに佇んだ。
「フォルティも座ったら」
「いえ、私はここで大丈夫です」
「分かったわ、私は、このエルフ国の皇女 バルチャームと言います」
「貴方たちに助けて頂いたのは、私の弟で、王子・フラタリス」
「この国の王子を助けて頂き、本当に有難うございました」
そう言うと、バルチャームは、椅子から立ち上がり、深く頭を下げた。
俺は、
「成り行きだったし、これも何かの縁だと思うぜ」
「俺の名は、海斗修、シュウって呼んでくれ」
そして、俺は、数人の人族の男が、フラタリス王子を運んでいたこと、
それを阻止ししたが、魔術使いがいて、多分、転移魔術のようなもので、
消えて居なくなったことを説明した。
俺は立ち上がり、バルチャーム姫を見つめ、
「信じてくれないかもしれないが、俺は別の世界・地球というところから、
テネブリスという神に召喚された、アマール神を探すためにね」
「アマール神を見つければ、元の世界に戻り、死んだ娘に会えるんだ」
「そのためには、祭壇を探す必要がある、祭壇はどこにあるか知っているかい?」
「できれば、教えてほしいのだが、お願いする」
そう言うと、俺は、頭を深く下げた。
「シュウさんって言いましたね、頭を上げてください
「貴方から、魂の強い揺らぎが見えます、
貴方がこの世界の人でないということは、なんとなく、エルフにはわかります」
「それに、アマール神は、エルフにとって、信仰している神様です」
「10年ほど前から、アマール神の加護が薄れ、それと共に、エルフの国にあった
祭壇が消えたと聞いています」
「詳しいことは、私の父・現国王のクペランテ王が知っているのですが、
今、この国にはいないのです」
「フォルティは何か知っているかしら?」
「私も何もしりません」
「クペランテ王は、今、何処に? いつ帰ってくるのですか?」
シュウがそう尋ねると、
ベルチャームは、
「父は、今、外交で人族の国 チャオへ行っています」
「出かけてから、すでに2週間がたちます。片道1週間として、多分、後2~3日もすれば、戻るのではないでしょうか」
「良ければ、ここに滞在して、父たちが戻ってくるのをお待ちになればどうでしょうか」
シュウが
「よろしいのですか」
と尋ねると、
ベルチャームは、
「王子を助けた恩人です、ぜひ、どうぞ、ご滞在下さい」
「それと、その可愛らしいミスセンテスの子達もね」
「今日はもう遅い、泊るところへ案内しよう」
フォルティはそう言うと、
俺たち3人を、ベルチャームの家から空いているツリーハウスに案内してくれた。
ベッドが3つある家で、俺はルトへ、
「ルト、何も喋らなかったけど、どうかしたのかい?」
と、先ほどの、姫との会談でのこと聞いた。
ルトは、
「シュウ、姫様が眩しすぎて、何も、言えなかった」
「僕らは、失敗作なんだ・・」
「ルト、アマールを見つけたら、エルフに成れるんだろう、必ず見つけてやるよ」
「俺は、娘に会って、君たちはエルフになる。約束するよ、元気をだせ」
「ありがとう、シュウ」
「今日はもう寝るか、といっても、全然眠くないんだよな」
「それは、まだ、シュウが精神体のままだからかな、僕らも妖精だから睡眠は必要ないよ」
「そうか、じゃあ、ルト、朝まで話をしようか」
「いいよ、シュウ、何の話?」
シュウは、娘の香織との話を延々とルトとセレティスにするのだった。
朝もやが残る早朝、1頭の馬が、瀕死のエルフを乗せて、エルフの国に戻ってきた。
バルチャームが叫ぶ、
「貴方は、父たちと一緒に行ったベルジャム、一体どうしたの?」
「姫さま、申し訳ありません、外交は失敗。クペランテ王は捕まり、副国王は、殺害されました」
エルフの国にも、風雲が立ち込めようとしていた。
名はなく、西の砦と呼ばれている。
ただし、国境と定めているのは人族の方のみであり、
魔物の国は定めていなかった。
1万の守備隊であるが、見回る地域は広く、
500人ずつの部隊に分け、昼夜、広い国境線を巡回していた。
内訳は、騎馬隊100名、歩兵390名(魔術兵含む)、獣人部隊10名である。
常に、6部隊が出動し、砦を中心に、1日のスパンで見回り、
常時、魔物の国を監視下においていた。
4つの国の中で、人族の国“チャオ”が一番広く、
東西に3,000k、南北に6,000kの距離があった。
次に魔物の国“ルピティス”が3分の2の国土を持つ。
エルフの国“メディオクリス”は、森林地帯に住み、
広さも、チャオの6分の1程度。
魔物国“ルピティス”どちらかというと獣人の国である。
色々な獣人の部族が混在し、争いをおこなっている。
豹族、狼族、虎族、馬族、兎族、熊族など、多種多様である。
もちろん、通常の獣(鹿、猪、熊など)、
サソリ、蛇など毒を持つ爬虫類なども存在する。
ルピティスは、平地であったり、砂漠であったり、森林であったり、
岩場であったり、水場であったり、
色々な地形が、常に動いており、時間(昼夜)によっても、
その様相を変えていた。
その為、魔物の国と呼ばれている。
砦から見える場所は、
平地が100mほど続いており、その後は、森林があるだけであるが・・、
獣人の案内がなければ、人族は魔物の国への入国は難しいであろう。
獣人たちは、REX(レックス)という冠を手に入れるために、争いを続けていた。
その為、人族の方へは、目は向けられていなかったのだが・・
「第16分隊、これより定期哨戒にでます」
リーンは、哨戒に出る同じ村出身の、幼馴染のロクエイに声をかけた。
「ロクエイ、帰ってきたら、一緒に酒を飲もうぜ
村から蜂蜜酒が届いているし、ユンの手紙もあるぞ」
「リーン、ユンの手紙だって、それ先に読んじゃだめだからな、俺が帰ってきてからだからな、おっと、出発だ。それじゃ、行ってくるよ」
ユンは、2人の村の幼馴染で、3人とも、今年20歳になる。
リーン、ロクエイは、16歳からの4年間の守備隊勤めを終わり、
12月には村へ帰ることになっていた。
2人が帰った時、2人は、ユンに告白をし、
どちらかがユンと結婚をしたいと思っていた。
部隊に入るときに、ユンにはその事を伝え、
戻るまでに決めて欲しいとも伝えていた。
ユンも了承していた。帰った時に決めると。
その為、手紙にも2人の名前を書いて送って来ていた。
通常通り、また、西の砦から、巡回部隊が出動した。
普通に帰ってくるはずだった部隊は、1日たっても帰ってこなかった。」
魔物の国“ルピティス
REXを巡る争いは、最終局面を迎えていた。
広い平野で、豹人の長・パラダスが、他の獣人族に先立ち、
ついに、REXを手に取った。
REXは、黒色の茨の冠である
パラダスが被ると、黒色は赤色へと変わった。
ここに、魔物国の国王・パラダスが誕生した。
「なんだ、この漲(みなぎる)力は」
まばゆい光が収まると、そこには、威風堂々とした、赤い目を持つ豹人が在た。
「すべての獣人族に伝える、我は今、ここに獣人の王となる資格を得た」
「我の前に、すべて跪け!」
「何を言ってやがる、ふざけるな」
狼人の一人が、そう言い、鋭い牙をむき出しにして、
パラダスに向かって跳躍した。
パラダスは、その右手で、その狼人の頭を鷲掴みにすると、
一瞬の間に、握りつぶした。
緑色の血が、パラダスの全身に飛び散り、
さらに両手で、その者を左右に引き裂き、
その肉を喰らった。目は赤く爛々と輝き、
以前のパラダスを知っている者にとって、別の存在に見えた。
その圧倒的な力に、その他の獣人たちは、恐怖した。
パラダスの中で、何かが変わり、そして、渇望が生まれた。
「我は、獣人王、豹人のパラダス! このルピティスの国が全ての頂点に立つ」
「人族によって奴隷にされている獣人たちの解放、そして人族の国を滅ぼすのだ」
「全ての獣人族よ、我が下に集まるのだ」
パラダスの元、
獣人たちの進行は、大きなうねりとして、チャオに迫りつつあった。
一方、エルフの国 メディオクリス
シュウとミスセンテスのルト、セレティスは、
親衛隊長フォルティに連れられ、エルフ国に足を踏み入れた。
大きな樹木上で形成されている家の中で、ひときわ大きな家、いや、その樹木自体が、
家と呼べるものであろうか。
その樹木の下の方に、頑丈な木の扉があった。
フォルティは、ト、トン、ト、トントとリズムよくその扉をノックした。
扉の小窓が開き、フォルティを確かめると、すぐに扉を開けた。
「フォルティ、フラタリスは?」
出てきたのは、皇女バルチャーム、その可憐な瞳は沈んでいる。
「ここに」
部下の一人が、フラタリスを抱きかかえていた。
「あ~フラタリス、無事だったのね、眠っているようだけど、大丈夫なの」
フォルティが、
「薬で眠っているだけだ、身体は異常なさそうだ」と言うと、
「奥のこの子のベッドに運んでと」バルチャームを言い、その部下を手招きした。
フラタリスをベッドに寝かせるのを確認したフラタリスは、フォルティに声を掛けた。
「この人族の人は誰?それにミスセンテスの子たちもいるようね」
「彼らが王子を助けたと言っている、詳細を聞くために連れてきた」
「そうなの、詳しく知りたいわ、中へどうぞ」
バルチャームは、そう言うと、フォルティと俺たちを家の中に招き入れ、
木で出来たテーブルにある椅子を進めてくれたので、座った。
ルトとセレティスはも俺の横に腰かけた。
向かいにバルチャームが座り、フォルティはその後ろに佇んだ。
「フォルティも座ったら」
「いえ、私はここで大丈夫です」
「分かったわ、私は、このエルフ国の皇女 バルチャームと言います」
「貴方たちに助けて頂いたのは、私の弟で、王子・フラタリス」
「この国の王子を助けて頂き、本当に有難うございました」
そう言うと、バルチャームは、椅子から立ち上がり、深く頭を下げた。
俺は、
「成り行きだったし、これも何かの縁だと思うぜ」
「俺の名は、海斗修、シュウって呼んでくれ」
そして、俺は、数人の人族の男が、フラタリス王子を運んでいたこと、
それを阻止ししたが、魔術使いがいて、多分、転移魔術のようなもので、
消えて居なくなったことを説明した。
俺は立ち上がり、バルチャーム姫を見つめ、
「信じてくれないかもしれないが、俺は別の世界・地球というところから、
テネブリスという神に召喚された、アマール神を探すためにね」
「アマール神を見つければ、元の世界に戻り、死んだ娘に会えるんだ」
「そのためには、祭壇を探す必要がある、祭壇はどこにあるか知っているかい?」
「できれば、教えてほしいのだが、お願いする」
そう言うと、俺は、頭を深く下げた。
「シュウさんって言いましたね、頭を上げてください
「貴方から、魂の強い揺らぎが見えます、
貴方がこの世界の人でないということは、なんとなく、エルフにはわかります」
「それに、アマール神は、エルフにとって、信仰している神様です」
「10年ほど前から、アマール神の加護が薄れ、それと共に、エルフの国にあった
祭壇が消えたと聞いています」
「詳しいことは、私の父・現国王のクペランテ王が知っているのですが、
今、この国にはいないのです」
「フォルティは何か知っているかしら?」
「私も何もしりません」
「クペランテ王は、今、何処に? いつ帰ってくるのですか?」
シュウがそう尋ねると、
ベルチャームは、
「父は、今、外交で人族の国 チャオへ行っています」
「出かけてから、すでに2週間がたちます。片道1週間として、多分、後2~3日もすれば、戻るのではないでしょうか」
「良ければ、ここに滞在して、父たちが戻ってくるのをお待ちになればどうでしょうか」
シュウが
「よろしいのですか」
と尋ねると、
ベルチャームは、
「王子を助けた恩人です、ぜひ、どうぞ、ご滞在下さい」
「それと、その可愛らしいミスセンテスの子達もね」
「今日はもう遅い、泊るところへ案内しよう」
フォルティはそう言うと、
俺たち3人を、ベルチャームの家から空いているツリーハウスに案内してくれた。
ベッドが3つある家で、俺はルトへ、
「ルト、何も喋らなかったけど、どうかしたのかい?」
と、先ほどの、姫との会談でのこと聞いた。
ルトは、
「シュウ、姫様が眩しすぎて、何も、言えなかった」
「僕らは、失敗作なんだ・・」
「ルト、アマールを見つけたら、エルフに成れるんだろう、必ず見つけてやるよ」
「俺は、娘に会って、君たちはエルフになる。約束するよ、元気をだせ」
「ありがとう、シュウ」
「今日はもう寝るか、といっても、全然眠くないんだよな」
「それは、まだ、シュウが精神体のままだからかな、僕らも妖精だから睡眠は必要ないよ」
「そうか、じゃあ、ルト、朝まで話をしようか」
「いいよ、シュウ、何の話?」
シュウは、娘の香織との話を延々とルトとセレティスにするのだった。
朝もやが残る早朝、1頭の馬が、瀕死のエルフを乗せて、エルフの国に戻ってきた。
バルチャームが叫ぶ、
「貴方は、父たちと一緒に行ったベルジャム、一体どうしたの?」
「姫さま、申し訳ありません、外交は失敗。クペランテ王は捕まり、副国王は、殺害されました」
エルフの国にも、風雲が立ち込めようとしていた。
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