34 / 64
3巻
3-2
しおりを挟む「アスク、暗黒大陸を出たあとはどこへ向かう?」
「俺たちはバングラドって街から出発したんです。そこに残してきた仲間もいるので、報告を兼ねて戻るつもりですよ」
「バングラドか。確か冒険者ギルドが幅をきかせている街だったか」
「行ったことあるんですか?」
「いいや、話に聞いただけだ。あそこは王国とあまり仲が良くないからな。魔法師団の俺が行くと、いろいろ面倒なんだよ」
俺は兄さんの説明に納得する。
バングラドはSランク冒険者のガルドさんがトップをやっているギルドがまとめており、王国の庇護から外れている。つまり、自分たちの力で生きていくと決めた人たちの街なのだ。
そこに王国が介入すると、余計な混乱や反感を生む可能性がある。
王国に属する人間は、意識的にあの街を避けているのだろう。
おそらくそれは、俺のホームがあるサラエの街にも同様のことが言える。
サラエで過ごした三ヶ月の間に、兄さんと出会わなかったのはそういう理由だと理解する。
「バングラドへ戻って仲間と合流したら、サラエの街に行くつもりです。サラエには俺たちのホームがあるから」
「サラエも行ったことなかったな」
「あそこも冒険者の街ですからね。兄さんは王都に戻られるんですよね?」
「ああ。この件の報告もあるしな。俺一人だけしか生き残れなかったという結果は……ちと情けないが」
「兄さん……」
もしも駆けつけるのが遅れていたら……ぞっとする。
「バングラドもサラエも、王都へ向かう道中にある街だ。邪魔じゃなければ俺も立ち寄っていいか?」
「もちろんですよ。みんなにも兄さんのことを紹介したいですから」
俺は今、ルリアだけでなく彼女が面倒を見ていた亜人たちと屋敷で暮らしている。そのことは、兄さんには既に説明済みだ。
「ははっ、なんて紹介する?」
「自慢の兄だと」
素直にそう言うと、兄さんは恥ずかしそうに視線を逸らした。
「お前からそんな風に言われるほど、いい兄貴でもなかったがな」
「そんなことないですよ。本心です」
まだマスタローグ家の屋敷にいた頃、俺は感情がなかったことで気味悪がられ、周囲から距離を置かれていた。
そんな中、兄さんだけはまっすぐに接してくれた。
よくひどいことも言われたけど、周囲の環境がそう言わせていた部分が多分にあると、今の俺はわかっている。
兄さんは小さい頃から自信家で、裏表のない性格だった。そのため、思ったことはそのまま口にする。よくも悪くも素直で、だからこそ俺に対して本当に自然体で接していただけなのだろう。
そして俺は、そんな兄さんに救われていた。
今でもはっきり覚えている。俺のことを、『ちゃんと人間だ』と言ってくれたことを。
「お互い、少しは大人になれたでしょうか」
「どうだかな。それを判断するのは俺たちじゃなくて周りだ」
「ですね」
少なくとも自分では、あの頃より大人になったと思っている。
俺たちは笑い合った。
片付けが済んだ。
「おーい、こっちの片付けは終わったぜ!」
ちょうどよいタイミングで、バーチェが手を振って教えてくれた。
俺はみんなに向けて言う。
「よし。じゃあ出発しよう」
「そうね」
「できれば今日中には暗黒大陸を抜けたいよねー」
「戦闘をなるべく避けて進めば、ギリギリ日が落ちる前には出られるはずだ」
「はぁ……やっとこの気持ち悪いのから解放される」
バーチェは疲れたようにため息を溢した。
暗黒大陸は闇の精霊と関わりが深く、そのため闇の魔力の濃度が高い。
悪魔であるバーチェは、その影響をより強く受けてしまう。暗黒大陸に入った当初はむしろ絶好調だったわけだが、魔王に近付くにつれ、気分が悪くなっていっていた。
魔王と戦う時には多少慣れて元気になっていたが、戦いを経てからまた体調を崩していたんだよな。
「もう少しの辛抱だ」
「うん。って! 頭わしゃってするなよ! 子供じゃないんだぞ!」
「そうか? だったらもう俺の毛布に潜り込んでくるなよ」
「うぅ……」
この生意気な態度も、今では心地よく感じてしまう。ルリアやアリアに向ける感情とは違うけど、俺はバーチェのことも大好きになっていた。
そんなこと、本人には決して言えない。
言えば確実に調子に乗るから。
それから俺たちは、暗黒大陸を抜けるために移動を開始した。
短い期間とはいえ、この地で過ごしたからだろうか、不思議なことに、ここへ来たばかりの頃に比べて、ここが危険だという意識は薄れたように思える。
強力な魔物が多くいるはずだが、今のところ襲ってこないしな。
俺は大気と大地を介して、周囲の状況を把握できる。
前者に関しては、風の精霊と契約しているルリアも同じだ。
「魔物はいるのに、襲ってはこないのね」
「ああ。一定の距離を保って、こちらを観察しているだけって感じだ」
魔物たちは俺たちのことを、こちら以上に警戒しているらしい。
ただし逃げる気配はなく、距離を保ったままじっとこちらを見張っている。
……少々不気味だ。
「理解しているのだ。戦いを挑めば敗北することを」
唐突に、サラマンダー先生が口を開いた。
続けて、補足するようにノーム爺が言う。
「あの戦いを、彼らも見ていたのじゃろうな」
「あの戦い? 俺たちと魔王の戦いをですか?」
「そうじゃ。あれだけ激しい戦いじゃったからのう。アスク坊は今や、この大陸でもっとも警戒すべき存在となったわけじゃ」
ノーム爺の説明で、俺も理解する。
動物や魔物は、本能的に相手との実力差を理解し、勝てない戦いには挑まない。
彼らはあの戦いを目撃、あるいは感じ取ったことで、俺たちには戦いを挑んでも勝てないと悟ったのだろう。
俺が来るまで、この大陸の頂点には魔王がいた。その魔王と激闘を繰り広げ、完全な勝利とはいかなかったが退けた。そして、あの戦いのあと、魔王は姿を消している。
彼らからすれば、暗黒大陸を俺が乗っ取ったように見えるのだろうか。
「なら、やっぱり早く出たほうがいいですね」
「そうじゃのう」
彼らにとって、俺たちは邪魔者だ。
魔物には魔物の生活があり、彼らも生きるために必死で足掻いている。
それ故俺たちには、すぐにでも大陸から出て行ってもらい、安息を取り戻したいと思っているに違いない。
俺だって、無駄な争いはしたくないからな。
「バーチェ、クゥを出してくれ」
「え? なんで急に?」
「クゥに乗って一気に大陸を出るんだよ」
「いいのかよ。目立つと襲われるって言ってたじゃんか」
「どうやらその心配はないらしいからな」
バーチェは首を傾げる。
彼女はたぶん、魔物が俺たちのことを監視していることにすら気付いていないだろう。
これでも俺らと出会うまでは魔王を名乗っていたのだから、驚きだ。
よく俺たちより先に、他の誰かに退治されなかったな。
「はぁ……俺たちが相手でよかったな」
「な、なんだよ? だから頭撫でるなって! ……で、本当にクゥを召喚していいんだな?」
「とにかく大丈夫だ」
「まぁ、アスクが言うなら別にいいけどさ」
そう言うや否や、バーチェは自らの権能を発動させる。
バーチェの権能は炎を纏った狼のようななりをした召喚獣を呼び出せる、というものだ。名前はクゥという。
クゥは俺たちを乗せて暗黒大陸の手前まで運んでくれたのだが、足を踏み入れてからは狙われやすくなるだろうという理由で権能を解除してもらっていたんだよな。
「喚んだぜ」
「ありがとう。みんな、クゥに乗って一気に大陸を出よう」
俺がそうみんなに呼びかけると、ルリアは頷き、アリアは右手を挙げる。
「わかったわ」
「はーい」
「一応周囲は警戒しておけよ。万が一、空中で襲われたら厄介だ」
「はい」
兄さんの助言も聞いた上で、俺たちはクゥの背中にまたがった。
俺はクゥの背中を優しく叩いて言う。
「またよろしく頼む」
「よっしゃ! 行くぞクゥ!」
バーチェの合図に従って、クゥが地面を大きく蹴って大きな木々を抜けて空へと向かう。
当然、魔物たちはびっくりして警戒を強めるが、予想通り襲ってくることはなかった。
むしろ、いなくなってくれてホッとしているかもしれない。
そのままクゥは、大空を飛翔する。
あとはまっすぐ、大陸の外を目指して飛んでいくだけだ。
行きは休む間もなく魔物たちの襲撃を受けたのだが、帰りは一切攻撃を受けなかった。
「ホ、ホントに襲ってこねーんだな」
バーチェは周囲を警戒しながらぼそりと呟いた。
空中は遮るものがないから、ワイバーンの群れが周囲を囲むように飛んでいるのがわかる。
ここへ辿り着いた直後にやつらに襲われた記憶が脳裏に蘇った。
俺たちは警戒するが、ワイバーンの群れは距離を保って飛び続けており、近付いてこない。
どうやら、通してくれるらしい。
「彼らの気が変わらないうちに抜けよう。バーチェ」
「わ、わかってるって! 急げ、クゥ!」
バーチェは怖いようで、いち早く大陸を抜けてくれとばかりにクゥの背中をパンパンと叩いた。
クゥが空を駆け、空気を切る。
俺は遠のいていく暗黒大陸の景色を見つめながら思う。
魔王はどこへ消えたのだろうか。
俺たちがいなくなれば、再びこの地へと戻ってくるのだろうか?
だとすれば、時間を置いてもう一度、この地へ赴く必要がある。
俺は自分がなくしてしまった感情を受け入れると決意した。だからもう一度、魔王と対面しなくてはならない。
それは果たして、いつになるだろうか。
その時はまた、戦いになるかもしれない。
話し合って解決するなら、それでもいいと思っているが……きっとそうはならないのではないかと直感的に思う。
運命であり、宿命であり、互いが望む邂逅――
いいや、今考えるべきはそれではないな。
とにかく今は、無事に帰路へつけた喜びと安堵を噛みしめよう。
こうして俺たちは、暗黒大陸を脱出した。
◇◇◇
「もう限界……そろそろ降りていい?」
クゥに乗って暗黒大陸を出て数時間が経過した頃だった。バーチェがグデーとした表情で訴えかけてくる。
「まだ二時間くらいだぞ? もう限界なのか?」
「なんか暗黒大陸から出たってのに、身体が怠いんだよ。魔力の消費もなぜかいつもよりめちゃめちゃ多くなっちまうし……」
「むしろ、暗黒大陸を出た影響じゃないかしら」
ルリアは人差し指を立ててそう言うと、続ける。
「暗黒大陸は闇の精霊が多かったんでしょう? それから普通の環境に戻ってきたばかりだから、上手く魔力を扱えなくなっているんじゃないかしら?」
「確かに。それはあり得そうだ」
だとすれば、あまりバーチェを責められないな。
無理に頑張って空中でクゥが消えてしまっても、大惨事になるだろう。
俺たちは地上を見下ろし、降りられそうな場所を探す。
少しして、兄さんが言う。
「アスク、あそこに小さいが村があるぞ」
「本当だ。バーチェ、あそこに降りよう」
「わかった」
クゥがゆっくりと下降する。
兄さんが見つけたのは、海辺にある小さな村だった。
いきなり村にクゥが降りたら驚かせてしまうので、少し離れたところにある海岸に降りることにした。
全員が降りたところで、クゥが消滅する。
「うぅ……怠い」
「お疲れ様。もうすぐ夕方だし、今日は近くの村で休ませてもらおう。歩けるか?」
「無理かも……」
「ったく、仕方がないな」
俺はフラフラのバーチェを、おぶってやる。
「うおっ! なんだよ。おぶってくれるのか?」
「歩けないんだろ?」
「優しいじゃんか! いっつもそうだったらいいのに」
「命令して無理やり歩かせてもいいんだぞ?」
「アスクはいつも優しいなぁ!」
誤魔化すようにバーチェは大声でそんなことを言う。
バーチェの首には奴隷の首輪が嵌まっている。それ故『命令』すれば、バーチェは絶対的に俺に従わされることになる。
もっともこれは仲間にした際に『反抗されたら仲間に危害が及ぶな』と思って付けたもので、今や命令するのは『お手』や『お座り』をさせるなど、おふざけ目的の時しかないわけだが。
元気そうでほっとする。魔力が枯渇しただけで、どこか身体が悪いというわけではなさそうだ。
それにしても……。
「軽いな」
こうしておんぶすると、彼女がまだ子供であることを再認識させられる。
子供には過酷な旅だっただろう。
移動面以外にも、彼女には助けられてきた。
心臓を失ったアリアが活動できていたのは、失った心臓をバーチェが作った魔導具で補っていたからだ。その管理も、彼女がやってくれていた。
彼女がアリアの命を繋ぎとめていたと言っても過言じゃない。
俺は背中にいるバーチェに対して、携帯食を差し出す。
「村につくまではこれで……バーチェ?」
「寝ちゃったよ」
アリアが背中のバーチェを覗き込みながら、そう口にする。
耳を澄ませると、微かに寝息が聞こえた。
「さっきまで話していたのに」
俺の言葉に、兄さんが肩を竦める。
「それだけ消耗してたってことだろ。俺たちにはわからない不快感にずっと耐えていたみたいだからな。文句も言わずによ」
「そうですね」
そう考えると、バーチェの要望に応えて、もう少し優しくしてあげなきゃいけないかもしれないな。
「アスク……汗臭い」
「……こいつ」
寝言でそんなことを言わなければ……なんて思いつつも放っておけない妹みたいで可愛いと感じてしまっている時点で、もうとっくに絆されてしまっているんだよな。
バーチェを背負って、近くの村へと移動する。
そして、村長さんの元を訪ねた。
村長さん曰く、ここは人口二百人ちょっとの小さな村で、海に面しているため、漁業が盛んであるらしい。
村には何隻も船があり、人口に比して栄えて見える。
残念ながら宿屋はなかったが、ちょうどいい空き家が何軒もあり、自由に使っていいとのこと。
「いいんですか? 勝手に使っちゃって」
「構わんよ。どうせ長く使っとらんしな。こんな村に客人が来るなんて初めてのことだから、大した歓迎もできんが」
「いえ、宿を貸してもらえるだけで十分です。ありがとうございます」
ずいぶんと気前のいい村長さんである。
俺たちは村長さんに空き家へ案内してもらい、二階建ての一軒家を貸してもらえることになった。
使っていないと言いつつ、中は掃除されている。
家具などもそのままで、一晩明かすには十分すぎるほどの好環境だった。
「運がよかったな」
「そうですね」
家の中をぐるっと確認して、バーチェをベッドに寝かせてから俺と兄さんはそう言って笑った。
次いでルリアとアリアも交えて、このあとのことを相談する。
「今夜はここに泊まるとして、明日からどうするの? クゥでバングラドまで行くなら、行きと同じで三日くらいかかるわね」
「歩いたり馬車に乗ったりしたら、その何倍もかかるよね」
アリアの言葉に、兄さんは目を見開く。
「三日はすごいな。俺たちは馬で来たし、王都からだったから一ヶ月以上かかったぞ」
「バーチェがいつ回復するか、それ次第ですね」
暗黒大陸を抜けた影響がどの程度続くのかわからない。魔力が回復しても、コントロールが乱れたままじゃ長時間クゥを出せないだろう。
「まぁ急ぐ必要はねーんじゃねーか? 魔王は取り逃がしたが、あれだけ消耗させた上にあいつが持っている心臓も幾つか潰したんだ。すぐにどうこうはできねーだろうしな」
「それもそうですね」
「元々長い任務になる予定だったし、なんなら移動時間も短縮できるとなれば、俺に急いで帰る理由はない。そうだな……お前らさえよければ、ちょっと息抜きでもしていくか?」
「息抜きって?」
兄さんは親指を立てて、後ろにある窓の外を指した。
「向こうに海がある。暗黒大陸じゃずっと気を張っていたし、疲れているのはバーチェだけじゃねーだろ」
兄さんの言う通りではあった。
肉体的な疲労だけじゃない。俺たちは暗黒大陸に入ってから魔王と出会うまでも、毎日戦い続けていた。
その間も心労は蓄積されていたし、今だって完全に不安がなくなったわけじゃない。
心臓は戻ってきたけれど、魔王との問題は解決していないのだから。
ふと、トントントンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。
俺は振り返る。
「誰だ?」
「私だよ」
「その声は……村長さん?」
「はい。入らせてもらうよ」
そう言って村長さんは部屋の扉を開けた。
空き家には鍵のついていない門がある。建てつけが悪かったから開けるたびに音がするわけだが……誰も気付けなかった。
やはり、俺らは疲れているみたいだな。
「すまんね。勝手に入ってしまって。取り込み中だったかい?」
「いえ、お構いなく。なんならご厚意で貸していただいた、この村の部屋なわけですし。それで、何かご用でしょうか?」
「あんたら、飯はまだだろ? よかったらどうだい? 新鮮な海の幸が揃ってるんだ」
「いいんですか?」
「せっかくの客だ。振る舞わせてくれ」
本当に気前のいい村長さんだ。
「ではお言葉に――」
返事をしようとしたら、ベッドのほうからぐぅーとお腹が鳴る音が聞こえてきた。
全員の視線が、音のしたほう――バーチェに向く。
どうやら目を覚ましていたらしい。
「は、腹減った……」
俺たちは顔を見合わせて笑い、改めて村長さんにお願いする。
「よろしくお願いします」
「よし来た。今夜は宴会だ!」
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい ~不正がはびこる大国の賢者を辞めて離島へと移住したら、なぜか優秀な元教え子たちが集まってきました~
【書籍化決定!】
本作の書籍化がアルファポリスにて正式決定いたしました!
第1巻は10月下旬発売!
よろしくお願いします!
賢者オーリンは大陸でもっと栄えているギアディス王国の魔剣学園で教鞭をとり、これまで多くの優秀な学生を育てあげて王国の繁栄を陰から支えてきた。しかし、先代に代わって新たに就任したローズ学園長は、「次期騎士団長に相応しい優秀な私の息子を贔屓しろ」と不正を強要してきた挙句、オーリン以外の教師は息子を高く評価しており、同じようにできないなら学園を去れと告げられる。どうやら、他の教員は王家とのつながりが深いローズ学園長に逆らえず、我がままで自分勝手なうえ、あらゆる能力が最低クラスである彼女の息子に最高評価を与えていたらしい。抗議するオーリンだが、一切聞き入れてもらえず、ついに「そこまでおっしゃられるのなら、私は一線から身を引きましょう」と引退宣言をし、大国ギアディスをあとにした。
その後、オーリンは以前世話になったエストラーダという小国へ向かうが、そこへ彼を慕う教え子の少女パトリシアが追いかけてくる。かつてオーリンに命を助けられ、彼を生涯の師と仰ぐ彼女を人生最後の教え子にしようと決め、かねてより依頼をされていた離島開拓の仕事を引き受けると、パトリシアとともにそこへ移り住み、現地の人々と交流をしたり、畑を耕したり、家畜の世話をしたり、修行をしたり、時に離島の調査をしたりとのんびりした生活を始めた。
一方、立派に成長し、あらゆるジャンルで国内の重要な役職に就いていた《黄金世代》と呼ばれるオーリンの元教え子たちは、恩師であるオーリンが学園から不当解雇された可能性があると知り、激怒。さらに、他にも複数の不正が発覚し、さらに国王は近隣諸国へ侵略戦争を仕掛けると宣言。そんな危ういギアディス王国に見切りをつけた元教え子たちは、オーリンの後を追って続々と国外へ脱出していく。
こうして、小国の離島でのんびりとした開拓生活を希望するオーリンのもとに、王国きっての優秀な人材が集まりつつあった……
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。