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プロローグ
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金色の長い髪に宝石が散りばめられたティアラをつけた赤いドレスの美女と、甘いマスクを持つ身なりの良い若い男は、絶望に満ちた表情をしていた。
二人がいるのは、ネノナカル王国の謁見の間。
希望の光が消えないようにと、男女は必死に壇上にいる人物たちに訴える。
「本当のあなたの姿を知っていたら、私は浮気などせず、今頃はあなたの妻になって幸せに暮らしていた! いや、今からでも遅くない! 私を王妃にしてください!」
「本当に悪気はなかったんだ。頼む。助けてくれ。もう僕には君しか頼れる人がいないんだ」
助けを求める二人を玉座に座ったまま見下ろす男と、その傍らに寄り添うようにして立つ女。漆黒の黒髪を持つその女は、笑みを浮かべて口を開く。
「私はもうあなたの婚約者ではありません。ブレイズ陛下の妻です。それに、私を裏切ったあなたをどうして私が助けなければならないのですか?」
「そんな冷たいことを言わないでくれ! 僕は家のためだと思ったんだ! 本当のことを知っていたら、馬鹿なことはしなかった。お願いだ、シアルリア。やり直そう。僕は君を愛してるんだ」
「おい。ふざけるな。俺から妻を奪うつもりか」
「も、申し訳ございません!」
国王に睨まれた男は、王妃に向かって伸ばしていた手を慌てて下ろす。男が大人しくなると、国王は男の隣で祈るように自分を見つめる赤いドレスの女に目を移す。
「エルン王女、浮気をして結婚相手を変更してきたのはそちら側だ。俺は妻を一人しか娶るつもりはない。そして、そのたった一人の相手はここにいるシアルリアだ」
「光栄ですわ」
ネノナカル王国の国王ブレイズに優しく手を握られた王妃、シアルリアは嬉しそうに微笑んだ。
そんな二人を見つめながら、チノモチノ王国の王女エルンと、シアルリアの元婚約者であるマロックは、どうしてこんなことになったのかと、自分が過去にとった行動を後悔し始めた。
シアルリア、ブレイズ、そしてエルンとマロック。この4人がそれぞれ予想した未来とは違う人生を歩み始めたのは、約200日前の出来事がきっかけだった。
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「おい。ふざけるな。俺から妻を奪うつもりか」
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「光栄ですわ」
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そんな二人を見つめながら、チノモチノ王国の王女エルンと、シアルリアの元婚約者であるマロックは、どうしてこんなことになったのかと、自分が過去にとった行動を後悔し始めた。
シアルリア、ブレイズ、そしてエルンとマロック。この4人がそれぞれ予想した未来とは違う人生を歩み始めたのは、約200日前の出来事がきっかけだった。
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