呪われた王子さまにおそわれて

茜菫

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 布越しにフェルディナンドの熱が伝わり、首筋にかかる彼の吐息がくすぐったく感じる。ぴったりと寄せ合った体から自分の鼓動が伝わってしまわないか、フィオリーナは心配になるくらいに胸が高鳴っていた。

「……ありがとう、フィオ」

 フェルディナンドは身を起こすと、フィオリーナの唇に口づける。フェルディナンドの手がフィオリーナのナイトガウンのひもを解いて合わせ目に触れた瞬間、フィオリーナははっとした。

「あっ」

 下着を身に着けていないことを思い出し、フィオリーナは声を上げた。しかし時すでに遅く、ナイトガウンは左右に開かれる。なににも隠されていない白い肌がさらされ、フィオリーナは言い訳しようと声を探す。

「えっと、その……」

 しかしなにも浮かばず、顔を真っ赤に染めた。フェルディナンドに動じた様子はなく、ただ小さく笑っただけだ。

「きれいだ」

 甘い声でそう言ったフェルディナンドはフィオリーナの胸元に顔を寄せる。軽い音と共に唇が触れ、フィオリーナは体を震わせた。

「あ……」

 フェルディナンドの大きな手がフィオリーナの肌に触れる。すでに触れられたことがあるはずなのに、フィオリーナは恥ずかしくてたまらなかった。

(私、本当に……抱かれて……)

 いままでは呪いのせいで熱に浮かされ、恥じることもなく当然のように受け入れていた。しかし、いまのフィオリーナは自分の意志で、それを受け入れている。フィオリーナは何度も口づけられ、そのたびに体に熱が帯びていくようだった。

「ん……っ」

 胸が片手で包まれ、やわやわともみしだかれる。頂きを指先でこすられ、フィオリーナはたまらず声をもらした。

「ひ、あ……」

 フェルディナンドの唇が頂きを食む。そのまま吸いつかれ、フィオリーナの体がぴくりと跳ねた。胸元に埋められたフェルディナンドの頭を眺めながら、フィオリーナはたまらず息を吐く。

「ひゃっ……んっ」

 舌先が触れ、こねるように頂きを弄られた。同時に敏感になった肌の上をフェルディナンドの手が滑り、下腹部へとたどり着く。そこをやさしくなでられ、フィオリーナの意識が向かった。

「……っ」

 フィオリーナが息を呑むと、フェルディナンドの手がさらに下へと向かい、足のつけ根をなでた。フィオリーナは恥ずかしさから顔を背けるが、フェルディナンドはそこには触れず、内腿をつけ根から膝裏へとなで進む。

「うぅ……っ」

 何度も繰り返されるうちにもどかしさを覚えてフィオリーナの腰が揺れる。するとフェルディナンドの手がつけ根まで戻り、ゆっくりと秘部へと伸びた。

「フィオ……」

 フェルディナンドが熱を含んだ声で名を呼ぶ。フィオリーナが呼ばれた方へと顔を向けると、顔を上げたフェルディナンドがやさしい笑みをうかべているのが見えた。

「あっ」

 フィオリーナが見とれているうちに、フェルディナンドの指が秘裂をなでる。そこはすでに愛液をあふれさせてぬれそぼっていた。それを絡めながらフェルディナンドの指が何度も秘裂をなでるが、中に入り込む様子はない。焦らされたフィオリーナの体はたかぶっていった。

「あ、ぁっ……フェルディナンドさま……っ」

 すでに快感を覚えているフィオリーナは腰を揺らし、たまらず懇願するような声を上げた。その声にフェルディナンドは目を細め、先ほどまで浮かんでいた笑みが消える。どこか余裕がなくなっているようなフェルディナンドの表情に、フィオリーナの胸がときめいた。

「フィオ……」

 フェルディナンドの指がゆっくりと埋められていく。指の腹が中をなで、フィオリーナの気持ちの良いところを擦った。

「あっ……うぅ……っ」

 フィオリーナがたまらず声をもらすと、フェルディナンドは何度もそこをなでる。同時に近くの蕾を親指で擦られ、再び胸を食まれて頂きを舌先で遊ばれ、フィオリーナの体がびくびくと跳ねた。

「あぁ……っ」

 腰を浮かしたフィオリーナはそのまま絶頂を迎えた。フェルディナンドは指を引き抜き、震えるフィオリーナの体を見下ろしながら身にまとうものを脱ぎ捨てていく。フィオリーナは四肢を投げ出し、ぼんやりとしながらそのさまを眺めていた。

「はぁ……フィオ……」

 熱い吐息とともに、フェルディナンドは自身に手を添えた。彼の逸物はすでに雄々しく反り勃っている。それを見るのははじめてではないし、すでにそれによって多くの快楽を与えられたことがあるというのに、フィオリーナは顔を赤くした。

(お、大きい……っ)

 恥ずかしいと思うのに、目をそらせない。フィオリーナの視線を感じたフェルディナンドはふっと笑みを浮かべた。

「……気になる?」

「あっ……ええと、その……」

 フィオリーナは目をそらして口ごもる。フェルディナンドはくすくすと笑うと、フィオリーナの手を取った。

「ほら……」

「えっ」

 フェルディナンドはフィオリーナの手を自身に添えさせる。恥ずかしい、そう思っているはずなのに、フィオリーナは手を引っ込めるどころか、それをそっと手で包んだ。片手では収まらないそれが手の中でびくんと震え、フィオリーナはごくりと生唾を飲む。

(フェルディナンドさまの、これが……)

 なぜそうしようと思ったのか、フィオリーナはフェルディナンドの逸物を包み込んだまま手を滑らせた。その動きにフェルディナンドが息を呑み、目を伏せる。

「っ、……フィオ」

「は、はいっ」

 名を呼ばれ、反射的にフィオリーナは返事した。その反応にフェルディナンドは苦笑するが、フィオリーナの手を自分の手で包みこんでゆるりと動かし始める。

「え……?」

 フィオリーナは驚きの声をもらし、その動きをじっと見つめた。あふれた先走りを絡めながら手が剛直を擦る。手の内で熱く固いものが震えているのを感じながら、フィオリーナの胸はどきどきと高鳴っていた。

(これが……私の中を……)

 フィオリーナはこれまでの熱い夜を思い出した。呪いによって情欲をあおられ、正気とは言えない状態であったが、そのときの記憶ははっきりと残っている。

 フェルディナンドの剛直がフィオリーナの中を擦り、突いて、彼女を快楽へと導いた。フィオリーナの下腹部が甘くうずき、秘部から愛液がとろりとあふれる。フェルディナンドはそわそわと内股をすり合わせるフィオリーナの様子に気づいているようで、目を細めて彼女の様子をじっと眺めていた。

「あ、あの……フェルディナンドさま……」

 フィオリーナは目をそらしながらフェルディナンドに声をかける。すでに体は彼を求めていたが、それを口にすることはできず、けれどもその想いを込めた目でフェルディナンドを見上げた。

「……ああ」

 フェルディナンドは小さく笑うと、そっと手を離した。フィオリーナの両脚を抱えると、そっと左右に押し開く。

「あ……」

 秘裂の押し当てられた熱に、フィオリーナは息を吐いた。フェルディナンドはすぐに押し入るようなことはなく、焦らすように秘裂に先端を擦りつける。

「うぅ……っ」

 フィオリーナは無意識に不満の声をもらし、フェルディナンドを見上げた。その視線にフェルディナンドは眉尻を下げ、上体を倒して彼女の唇に軽く口づける。

「フィオ……」

「……フェルディナンドさま」

 再び唇を重ねたフェルディナンドにフィオリーナは応えた。舌を絡め、深く口づけ合う。身を起こしたフェルディナンドは、ゆっくりとフィオリーナの中に自身を埋めていった。

「あ……」

 熱い剛直が中をゆっくりと押し入っていく。奥まで埋め込まれ、フィオリーナの中はその形を覚えるかのように剛直を包み込んだ。

「はぁ、フィオ……」

 フェルディナンドは熱い息を吐きながら、うれしそうに目を細めた。おたがいに呪いは発動していない。フェルディナンドが求め、フィオリーナはそれを受け入れて二人はつながった。
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