【完結】異世界悪役改善計画

かおり

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番号は優しさの証

第16話「先生からの、ご褒美が欲しい」 ※微

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今日は、珍しく静かな勉強会だった。

ルークもエリもリオも用事があるとかで、今日はグランと二人きり。
エルバート商会の打ち合わせ室。
俺の“自習室”みたいなもんだ。


「……で、どうなんだ? カルロのその後。」

ふと思い出して、グランに問いかける。
実は、あいつの様子見を、グランに任せていた。

グランは、机の上にあったペンを指先で転がしながら答えた。

「うまくやってる。今のところ、噂も流してない。」

「……そっか、よかった。」

「……ただ、お前のことを、やたら気にしていた。」

「え?」

「……だから、こっちで処理しておいた。」

「……処理?」

グランは、意味深に微笑むだけ。

「……怪我させてねぇだろうな?」

「ふっ……していない。」

……怪しいけど、まぁ、平和ならいっか。


「しかし……」

俺は、リストを指でなぞりながら呟く。

「この勉強会、他の悪役たちを見守る団体みたいになってきたな……。」

「……このリストで、何とかしてやりたい奴とか、いるか?」

グランは、静かに俺を見つめ返した。
その目は、さっきまでとは違って、少しだけ真剣で。

「……その前に、聞きたいことがある。」

「な、なに?」

なんか、空気が変わった気がする。


グランは、少し言葉を探すように視線を泳がせ──
やがて、まっすぐに俺を見た。

「……俺は、変われているか?」

「……え?」

「お前のおかげで、俺は……変われている気がする。」

「……」

「だけど……それが、本当に“いい方向”なのか、
 俺には、まだ……わからなくて。」


グランが、そんなふうに言葉を詰まらせるなんて、珍しい。

俺は、ふっと力を抜いて、ニカッと笑った。

「当然じゃん!
 俺も驚いてるよ。
 ……もう、授業いらないかもな!」


「……いや、授業は必要だ。」

食い気味に否定するグランに、思わず笑いがこみ上げる。

「……なら、その……」

一瞬だけ、また目が泳ぐ。

「先生から、褒美が欲しい。」

「え?! いや、いいけど……
 できることと、できないことがあるからな?」

「……言葉で伝えたいことがある。
 聞いて欲しいだけだ。」

「あ、そういうことか。……いいよ?」

俺が肩をすくめると、
グランは、ぱっと嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう……。」

そう言って、グランは椅子の後ろへと回り込んできた。


俺の背中に、あたたかい腕がまわされる。
背もたれごと、ぎゅっと抱きしめられた。

「……好きだ。」

低く、耳元に響く声。
息が、耳たぶをかすめるだけで、ぞわっと鳥肌が立つ。


「愛してる……お前だけだ。」

さらに、もう一段階低い声で囁かれ、
腰がピクッと跳ねた。

指先が、シャツの上から腰をなぞり、
そのまま太ももまでゆっくりと撫で上げてくる。

「……触れたい……感じたい……もっと、お前で……満たされたい……」


「ちょ、グラン……」

やばい。
声が、反則すぎる。
鼓膜に直接響いて、身体の芯まで震える。


「……ディック……」

さらに低く甘い声が、俺の名前を何度も何度も呼ぶ。

耳たぶに、舌先がそっと触れた瞬間──


「ひ、ぅ……っ!」

ビクン、と体が跳ねる。

それだけじゃ済まなかった。
ぐっと腰を引き寄せられ、背中に何かが──


「……うわ、ちょっ……」

完全に、当たってる。
グランの、アレが……しかも、ガチで、硬い……!


「うわ、グラ、待って……くすぐっ……
 あ……や、ば……っ、声……耳……、気持ち……っ……!!」

逃げようとしても、
腕に抱きしめられて動けない。

耳を甘噛みされ、
首筋に熱い吐息を吹きかけられ──

俺、マジで、もう──


「おい!!」

突然、扉が勢いよく開いた。


「おい、グラン!!」

……エリだ。
……絶対、今の聞かれてた。

「家族の喘ぎ声は聞きたくねぇ!!
 やるならお前ん家に連れてけ!!」


俺は、顔から火が出そうなほど真っ赤になりながら、
震える声で呟く。

「……エリちゃん……
 それ、言う……?」
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