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戦争蹂躙編
アイテムボックスに回収される人達-その③
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ーアイテムボックスに回収されるバンパイアー
私はあるバンパイアハンターに家族を皆殺しにされた。殺された理由はバンパイアという種族だから。私は幼かったからたいした力はなく、影に隠れて家族が殺されるのをただ震えて見ていることしかできなかった。今でも覚えている。家族を殺したあの『純銀のショートソード』と『純銀のハンドガン』をもったあいつのことを…。
私は魔王様に拾われた。そして魔王様に力の使い方を教わった。固有能力も発現し、たった8年で魔王軍・第1遊撃夜戦隊中隊準副隊長にまでなった。他の隊の隊長・副隊長クラスの魔族にはかなわない。準副隊長クラスなら私の優位な条件が揃っていれば、なんとか勝てるくらいか…。
魔王様に拾われてから10年。今までろくな恩返しが出来てない。たが、それも今日まで。なぜなら戦争が始まるからだ。ここまで大規模な戦争はここ数百年、いや、ここ数千年起きたことがないと言われている程の大規模戦闘だ。
今代の魔王様は本気てで世界征服するために、数百年前から下準備を進めていたらしい。最初の一歩は魔物集めから。そして魔物を教育し、強くする。そうしてどんどん規模が大きくなっていたのが私の所属しているこの魔王軍。他の魔王達はただ世代交代しただけとか、魔王軍内部の勢力争いで勝ち残った魔族が魔王になっている。
人間と同じように魔王も複数いるし、軍によって体系や文化も違う。人間でいう魔王軍とは国のようなもの。
ーーー人間の国との戦争がもう数十日経っている。まだまだ、長引きそう。魔王軍も人間側も、もうだいぶ内部の入れ替わりが行われ、私の隊も副隊長が殉職して今や私が副隊長。中隊の6割はもう別の隊の魔族達に入れ替わった。
夜が近いこの夕暮れ時に、この中隊が集まる。ドスの効いた低音ボイスの人狼が口を開く。
「今からミーティングを始める」
この隊の隊長。ウルヴァルト・ヴィアス。貫禄のある顔つきに右目に大きな傷痕がある。今は人間の見た目だが目つきが鋭く、体格が大きいため、厳つい印象を与える。
今より500年前にあった魔王軍と勇者達の戦闘…もはや戦争の領域だったと聞く、その魔勇戦争の生き残りだ。この時の魔勇戦争より今のこの戦争の方が何倍も激しいとウルヴァルト隊長が言っていた。
隊長以外の生き残りからは「勇者(人)の人数がたったの5人だけだったけど、魔王軍は9割殺され、当時の魔王様も殺された」と聞いたことがある。
他にもこの魔王軍と別の魔王軍との戦争や、小国の人の国を滅ばした戦争にも参加し、戦果を挙げてきた実力者である。
そしてそのウルヴァルト隊長のみんなから見て左に立っている『誰もが羨む金髪ロングのさらさらストレートヘアーに紅眼のぱっちりお目眼で口を開けばキュートな八重歯が覗いて透明感のある澄んだ美声でここまでナレーションをしていた超絶美少女で副隊長』がこの私、レヴ・ヘルマインである。
そんなかわいい私の自己紹介をし終わったところでミーティングも終わる。まぁ、ミーティングと言っても誰がどことどこの隊の中間に入り、穴が空きそうな所を塞ぐように入れって指示をするだけなんだけどね。
「配置は以上だ。何か意見はあるか?」
殺気の籠った鋭い眼光を飛ばす。当然、いつも通り意見はない。本人は殺気を飛ばした訳ではないのだが、人間の姿のままだと視力も人間とほとんど変わらない。この夕暮れ時の辺りが中途半端に見えずらい時、みんなの顔を見るために目を細めただけだった。
「…意見はないな。では、行くぞ。配置に着け。魔王様のために死んでこい。」
いつもの決まり文句だ。ここゆふにいるほとんどのやつらは既に死んでいるアンデッドや生物としてみれば死んでいるような扱いのもの達ばかりだ。私も生物としては死んでいるようなものだろう。
各々が散る。私と隊長だけが場に残る。
「ウルヴァルト隊長、いつも言ってるじゃないですか。ミーティングの時から狼男の姿に変身しといてって。顔怖いからみんなびびっちゃってたじゃん。」
「俺もいつも言ってるだろう。まだ日が出てるときに変身すると無駄に魔力を消費するって。」
「そんな大きく消費しないでしょ!ってか、消費してないに等しい量の魔力しか使わないじゃん!」
「夜に変身すれば魔力消費がゼロになる。無駄な消耗はしない、無駄なことはしない。それが俺の流儀だ。」
「はぁ~、ウルヴァルト隊長の固有能力で1秒後には魔力回復してるじゃないですか。」
「いいだろ別に。それよりもほら、レヴも配置に着け。」
「はぁ~、ああ、はいはい、行きますよ。」
何度言ってもこれだ。私はもうちょっと部下に配慮した心優しい上司にならないかなっと思いながら戦場に向かって歩き出す。
「レヴちょっと待て。お前に渡すものがある。」
「ん?」
「お前にこいつを渡そうと思ってシェルに頼んどいたんだ。受け取れ。」
ウルヴァルト隊長から小包を渡される。中にはブレスレットが入っていた。
「そのブレスレットの効果はバンパイア専用の『銀軽減』だ。ベイが死んでお前にも死なれたら副隊長を勤めるやつがいなくなるからな。」
ベイはこの隊の副隊長をしていた戦闘狂のただのゾンビだ。ただのゾンビだが日々戦いに明け暮れていたため、レベルが尋常じゃなく上がってこの隊の副隊長を勤める程のやつだった。だが、この戦争で『魂』を殺され、ただの死体になってしまった。
「はぁ、なんでこう、みんながいる時じゃないんですか。こういう部下を思いやれる優しい上司アピールしないとみんなから恐がられたままですよ。とりあえず、これはありがとうございます。」
「ミーティング前にノイルから預かっていたのをさっき思い出したんだ。…それとレヴ、なんかため息多いな。この戦争で疲れてきたか?」
(はああぁ~、もう、誰のせいでこんなため息ついていると思ってんだこの人。私がせっかく、気を使ってやってんのにあんたは…。はぁ、まぁ、でも、戦闘に関しては魔王軍参謀のシェル様レベルの一級品の強さがあって、訓練は理に叶っていてとことこんストイックで厳しいけど、こういう、ちょっと抜けてるとこあるんだよなぁ。)
なんて言いたいことをぐっと堪えて愛想笑いを浮かべ、戴いたブレスレットを付けながら応える。
「大丈夫ですよ。隊長もほら、行きましょ。」
「ああ、先に行っててくれ。シェルから呼ばれてるんだ。ノイルからそれを受け取ったついでに言われた。だから、俺が行くまでの指揮をレヴ、やっといてくれ。」
踵を返し、司令塔に向かうウルヴァルト。私は言われたことを頭のなかで反芻して、口には出さないけど、心の中で叫ぶ。
(はああぁぁ~、そーゆーのは!先に言っといて!っていつも言ってんだろー!)
「はぁ…」
小さくため息をつき、夜の戦場に向かう―――。
その戦場で見つけてしまった。
ボソリとこぼれる。
「もう忘れていたことだと思っていたし、今さら復讐なんて…。魔王様に仕えていればもう他はいらない。そう思っていたんだけどなぁ。」
そう、見つけてしまった。あいつを。
ーバンパイアー
人の血を吸い、自らのエネルギーにするもの。心臓は動いておらず、自らの血液操作で身体に血送っている。バンパイア特有の『種族特性』だ。
種族特性とはその種族が持つ特殊能力のことだ。例えば、人狼なら人の姿から狼人間の姿になれ、ゾンビは自らの魂と魔力を使い肉体を動かす。バンパイアは自らの血を操ることができる。
この種族特性により、通常の物理攻撃や魔法攻撃によって傷付いた肉体を急激に治すことができたり、血で攻撃を防いだりする事ができる。ただ、血に銀が触れているところの血液操作ができなくなる。そのため、銀製の武器で攻撃される場合は生死に関わる。銀の純度が低ければ血液操作は辛うじてできたりする。
血液操作により、身体機能を上げることも可能だし、体内の血液を空に向かって操作すれば空も飛べる。
他にはバンパイアの種族特性で影に入ったり、コウモリになったりすることができる。
人の血を吸うのは単純にバンパイアの血と混ざりやすいから。ついでに人の生き血を吸えれば魔力も吸えて一石二鳥だからだ。
バンパイアにとって『血』は身体を動かすエネルギー源のためバンパイアは血を吸わねばならない。
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私はあるバンパイアハンターに家族を皆殺しにされた。殺された理由はバンパイアという種族だから。私は幼かったからたいした力はなく、影に隠れて家族が殺されるのをただ震えて見ていることしかできなかった。今でも覚えている。家族を殺したあの『純銀のショートソード』と『純銀のハンドガン』をもったあいつのことを…。
私は魔王様に拾われた。そして魔王様に力の使い方を教わった。固有能力も発現し、たった8年で魔王軍・第1遊撃夜戦隊中隊準副隊長にまでなった。他の隊の隊長・副隊長クラスの魔族にはかなわない。準副隊長クラスなら私の優位な条件が揃っていれば、なんとか勝てるくらいか…。
魔王様に拾われてから10年。今までろくな恩返しが出来てない。たが、それも今日まで。なぜなら戦争が始まるからだ。ここまで大規模な戦争はここ数百年、いや、ここ数千年起きたことがないと言われている程の大規模戦闘だ。
今代の魔王様は本気てで世界征服するために、数百年前から下準備を進めていたらしい。最初の一歩は魔物集めから。そして魔物を教育し、強くする。そうしてどんどん規模が大きくなっていたのが私の所属しているこの魔王軍。他の魔王達はただ世代交代しただけとか、魔王軍内部の勢力争いで勝ち残った魔族が魔王になっている。
人間と同じように魔王も複数いるし、軍によって体系や文化も違う。人間でいう魔王軍とは国のようなもの。
ーーー人間の国との戦争がもう数十日経っている。まだまだ、長引きそう。魔王軍も人間側も、もうだいぶ内部の入れ替わりが行われ、私の隊も副隊長が殉職して今や私が副隊長。中隊の6割はもう別の隊の魔族達に入れ替わった。
夜が近いこの夕暮れ時に、この中隊が集まる。ドスの効いた低音ボイスの人狼が口を開く。
「今からミーティングを始める」
この隊の隊長。ウルヴァルト・ヴィアス。貫禄のある顔つきに右目に大きな傷痕がある。今は人間の見た目だが目つきが鋭く、体格が大きいため、厳つい印象を与える。
今より500年前にあった魔王軍と勇者達の戦闘…もはや戦争の領域だったと聞く、その魔勇戦争の生き残りだ。この時の魔勇戦争より今のこの戦争の方が何倍も激しいとウルヴァルト隊長が言っていた。
隊長以外の生き残りからは「勇者(人)の人数がたったの5人だけだったけど、魔王軍は9割殺され、当時の魔王様も殺された」と聞いたことがある。
他にもこの魔王軍と別の魔王軍との戦争や、小国の人の国を滅ばした戦争にも参加し、戦果を挙げてきた実力者である。
そしてそのウルヴァルト隊長のみんなから見て左に立っている『誰もが羨む金髪ロングのさらさらストレートヘアーに紅眼のぱっちりお目眼で口を開けばキュートな八重歯が覗いて透明感のある澄んだ美声でここまでナレーションをしていた超絶美少女で副隊長』がこの私、レヴ・ヘルマインである。
そんなかわいい私の自己紹介をし終わったところでミーティングも終わる。まぁ、ミーティングと言っても誰がどことどこの隊の中間に入り、穴が空きそうな所を塞ぐように入れって指示をするだけなんだけどね。
「配置は以上だ。何か意見はあるか?」
殺気の籠った鋭い眼光を飛ばす。当然、いつも通り意見はない。本人は殺気を飛ばした訳ではないのだが、人間の姿のままだと視力も人間とほとんど変わらない。この夕暮れ時の辺りが中途半端に見えずらい時、みんなの顔を見るために目を細めただけだった。
「…意見はないな。では、行くぞ。配置に着け。魔王様のために死んでこい。」
いつもの決まり文句だ。ここゆふにいるほとんどのやつらは既に死んでいるアンデッドや生物としてみれば死んでいるような扱いのもの達ばかりだ。私も生物としては死んでいるようなものだろう。
各々が散る。私と隊長だけが場に残る。
「ウルヴァルト隊長、いつも言ってるじゃないですか。ミーティングの時から狼男の姿に変身しといてって。顔怖いからみんなびびっちゃってたじゃん。」
「俺もいつも言ってるだろう。まだ日が出てるときに変身すると無駄に魔力を消費するって。」
「そんな大きく消費しないでしょ!ってか、消費してないに等しい量の魔力しか使わないじゃん!」
「夜に変身すれば魔力消費がゼロになる。無駄な消耗はしない、無駄なことはしない。それが俺の流儀だ。」
「はぁ~、ウルヴァルト隊長の固有能力で1秒後には魔力回復してるじゃないですか。」
「いいだろ別に。それよりもほら、レヴも配置に着け。」
「はぁ~、ああ、はいはい、行きますよ。」
何度言ってもこれだ。私はもうちょっと部下に配慮した心優しい上司にならないかなっと思いながら戦場に向かって歩き出す。
「レヴちょっと待て。お前に渡すものがある。」
「ん?」
「お前にこいつを渡そうと思ってシェルに頼んどいたんだ。受け取れ。」
ウルヴァルト隊長から小包を渡される。中にはブレスレットが入っていた。
「そのブレスレットの効果はバンパイア専用の『銀軽減』だ。ベイが死んでお前にも死なれたら副隊長を勤めるやつがいなくなるからな。」
ベイはこの隊の副隊長をしていた戦闘狂のただのゾンビだ。ただのゾンビだが日々戦いに明け暮れていたため、レベルが尋常じゃなく上がってこの隊の副隊長を勤める程のやつだった。だが、この戦争で『魂』を殺され、ただの死体になってしまった。
「はぁ、なんでこう、みんながいる時じゃないんですか。こういう部下を思いやれる優しい上司アピールしないとみんなから恐がられたままですよ。とりあえず、これはありがとうございます。」
「ミーティング前にノイルから預かっていたのをさっき思い出したんだ。…それとレヴ、なんかため息多いな。この戦争で疲れてきたか?」
(はああぁ~、もう、誰のせいでこんなため息ついていると思ってんだこの人。私がせっかく、気を使ってやってんのにあんたは…。はぁ、まぁ、でも、戦闘に関しては魔王軍参謀のシェル様レベルの一級品の強さがあって、訓練は理に叶っていてとことこんストイックで厳しいけど、こういう、ちょっと抜けてるとこあるんだよなぁ。)
なんて言いたいことをぐっと堪えて愛想笑いを浮かべ、戴いたブレスレットを付けながら応える。
「大丈夫ですよ。隊長もほら、行きましょ。」
「ああ、先に行っててくれ。シェルから呼ばれてるんだ。ノイルからそれを受け取ったついでに言われた。だから、俺が行くまでの指揮をレヴ、やっといてくれ。」
踵を返し、司令塔に向かうウルヴァルト。私は言われたことを頭のなかで反芻して、口には出さないけど、心の中で叫ぶ。
(はああぁぁ~、そーゆーのは!先に言っといて!っていつも言ってんだろー!)
「はぁ…」
小さくため息をつき、夜の戦場に向かう―――。
その戦場で見つけてしまった。
ボソリとこぼれる。
「もう忘れていたことだと思っていたし、今さら復讐なんて…。魔王様に仕えていればもう他はいらない。そう思っていたんだけどなぁ。」
そう、見つけてしまった。あいつを。
ーバンパイアー
人の血を吸い、自らのエネルギーにするもの。心臓は動いておらず、自らの血液操作で身体に血送っている。バンパイア特有の『種族特性』だ。
種族特性とはその種族が持つ特殊能力のことだ。例えば、人狼なら人の姿から狼人間の姿になれ、ゾンビは自らの魂と魔力を使い肉体を動かす。バンパイアは自らの血を操ることができる。
この種族特性により、通常の物理攻撃や魔法攻撃によって傷付いた肉体を急激に治すことができたり、血で攻撃を防いだりする事ができる。ただ、血に銀が触れているところの血液操作ができなくなる。そのため、銀製の武器で攻撃される場合は生死に関わる。銀の純度が低ければ血液操作は辛うじてできたりする。
血液操作により、身体機能を上げることも可能だし、体内の血液を空に向かって操作すれば空も飛べる。
他にはバンパイアの種族特性で影に入ったり、コウモリになったりすることができる。
人の血を吸うのは単純にバンパイアの血と混ざりやすいから。ついでに人の生き血を吸えれば魔力も吸えて一石二鳥だからだ。
バンパイアにとって『血』は身体を動かすエネルギー源のためバンパイアは血を吸わねばならない。
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