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4食目 おもいで涙の卵とじうどん
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その店の中に一歩踏み込むと、出汁の良い香りが鼻孔をくすぐった。
「あら、十希ちゃん、めずらしいじゃない。いらっしゃい」
「どうも」
店の奥から出てきたのは、割烹着を着た優しそうな高齢女性だった。
「まあ、どこのお嬢さんかしら?」
「こいつはお客……いや、東京から来た知り合いです」
お客と答えるとまたなにか言われると思ったのか、十希也はそう説明した。
すると女性が目を丸くして梨花を見た。
「東京? あらまあ、よくいらっしゃいました。私はこのうどん屋の店主、菊と申します」
菊と名乗った店主が丁寧に頭を下げる。梨花も慌てて挨拶をした。
「あ、吾妻です。こんにちは」
ぺこりと頭を下げると、菊はにっこり微笑んで、テーブル席に座るよう勧めた。梨花は十希也と一緒に席に着く。
テーブル席が四つほどの狭い店内に、他の客はいない。壁には古い柱時計と日めくりカレンダーが掛けられていて、カウンターの上には大きな招き猫が置いてある。
「十希ちゃん、いつものでいいかい?」
「はい、いつものふたつで。ひとつは少なめにしてください」
「はいよ」
背中を丸めた菊が厨房へ消えていく。その姿を見送ると、十希也は慣れた様子でテーブルに用意されてあったグラスにポットで水を注いだ。
梨花はそれを見ながら口を開く。
「よく来るんですか? ここ」
「ああ。菊さんは俺が小さいころからずっと、この店でうどん作ってて……悠真と一緒によく来てた」
その言葉にまた胸がつきんとする。
「悠真も……食べてたんですね」
「ここの卵とじうどんは絶品だからな」
「卵とじうどん……」
梨花の頭にある思い出が甦る。
梨花が熱を出した日、普段あまり料理をしない悠真がうどんを作ってくれたのだ。
『田舎で食べたうどんを思い出しながら作ったんだけど、やっぱうまくいかなかった』
悠真は決まり悪そうに頭をかいたけれど、ふわふわした卵の上に緑の小ねぎがのったうどんは、とても優しい味がした。
『すごくおいしいよ、悠真』
そのとき悠真が見せてくれた笑顔は、いまでも鮮やかに思い出せる。
思い出はすべて捨ててきたはずなのに、この町に来てから、忘れかけていたものまで次々と甦ってくる。
「はい、お待たせしました」
菊が湯気の立つどんぶりをふたつ持ってきて、梨花と十希也の前に置いてくれた。ふんわりと広がった卵の上に緑のねぎがのっている。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます」
十希也が割り箸をパチンと割り、どんぶりに差し入れる。卵がふわりとほぐれて、うどんと絡まり合う。箸で持ち上げ勢いよくすすると、太めのうどんがするすると気持ちよく、十希也の口に入っていく。
「うまい」
「あいかわらずいい食べっぷりだねぇ、十希ちゃんは」
「だってすげぇうまいよ。やっぱさすがだな、菊さんは」
口いっぱいに頬張ったまま、十希也が言う。
「なに言ってんだい。あんたは『民宿陣内』の息子だろ。お父さんはあんなに料理が上手かったんだ。あんたにだってできるだろうよ」
ぽんぽんと十希也の肩を叩き、菊が嬉しそうに去っていく。だけど十希也の顔が、一瞬曇ったのを梨花は見逃さなかった。
もしかしてお父さんの話をされるのは嫌なのだろうか……。
そんなことを思った梨花に向かって、十希也がいつもの調子で言う。
「あんたも早く食え。冷めちまうぞ」
「あ、はい」
割り箸を割って、どんぶりに顔を近づける。出汁の香りが湯気と一緒に立ち昇り、鼻先をくすぐる。
ふわふわの卵と一緒にうどんをすすると、しょうがの風味が口の中に広がって、体がぽかぽかと温かくなってきた。
「あったかい……」
ため息とともに声が漏れた。
悠真が作ろうとしたのはきっとこのうどんだ。うまくいかなかったと言っていたが、そういえば悠真のうどんにもしょうがの香りがしたし、梨花に思い出のうどんを食べさせようと頑張ってくれたのだろう。
思い出したらまた泣きそうになって、誤魔化すようにうどんをすする。
うどんはもちもちしていて弾力があった。出汁は優しくまろやかで、ひと口食べるごとに体がほぐれ、肩の力が抜けていくように感じた。
「おい、無理しなくてもいいからな」
「……はい」
十希也の言葉が心に沁みる。
結局半分くらい食べたらお腹がいっぱいになり、残りは十希也が食べてくれた。
「ごちそうさまでした」
ふたりで手を合わせ、声も合わせる。それを見た菊が十希也に言った。
「いつもありがとうね、十希ちゃん。だけどこの店ね、今月いっぱいで畳もうと思ってるんだよ」
「えっ」
十希也が驚いたように声を上げる。今月いっぱいといえば、あと数日しかない。
「なんで……菊さん、まだこんなうまいうどん作れるのに……」
「こう見えてもいろいろ持病抱えててね。東京にいる娘が一緒に暮らさないかって言ってくれてるんだよ」
菊が優しく微笑みながら話す。
「あたしもこの店を畳むのは寂しいけど、しょうがないね。老いには勝てないよ」
そう言って菊は明るく笑ったけれど、十希也は口を結んだままだった。
すると菊が、割烹着のポケットから折りたたんだメモを取り出し、十希也に渡した。
「それでね、十希ちゃんにこれを渡そうと思ってたんだよ」
「なんですか、これ……」
「卵とじうどんのレシピだよ」
「えっ」
十希也が目を見開いて、紙を広げた。
「先祖代々伝わる秘伝のレシピなんだからね。誰にも内緒だよ」
「そ、そんなものを、なんで俺に?」
菊が十希也の肩をぽんぽんと叩いて答える。
「あんたと悠ちゃんが、一番おいしそうに食べてくれたからさ」
その言葉が梨花の胸にもじんわりと響き、思わず口を開いていた。
「あの、悠ちゃんって……」
「ああ、十希ちゃんと兄弟みたいに育ってきた、悠真くんって子がいてね。いつもにこにこ笑っているかわいい子だったよ」
菊が懐かしそうに目を細める。
「だけどたぶん、人には言えないつらいこともあったんだろうね。一度だけあたしの卵とじうどんを食べながら泣いてたことがあってさ」
梨花は黙って菊の声に耳を傾ける。
「でもね、『どうしたの』って聞いたら、『おばちゃんのうどんがおいしくて涙出ちゃった』って笑うんだよ。あの子はつらいことがあっても絶対口にしなかったからね。あのときもっと話を聞いてあげればよかった……」
菊が十希也に視線を向けた。
「悠ちゃんにはもう会えないけど、悠ちゃんの分まで頑張るんだよ、十希ちゃん」
十希也はしばらく黙り込んだあと、消えそうな声で「はい」と答えた。
だけど梨花にはわかっていた。
菊が悠真のことも十希也のことも気にかけてくれるすごくいい人で、友人を失った十希也を元気づけようとしてくれていることを。
だけどその言葉が、なによりも心を抉ってくる、呪いの言葉だということも。
梨花だってそうだから。悠真の分まで頑張れと言われても、なにを頑張ればいいのかわからない。そして頑張れない自分が情けなく思えて、死にたくなるのだ。
「レシピ、ありがとうございます。大事にします」
十希也がそう言って立ち上がると、菊は優しく微笑んだ。
梨花も菊に挨拶をして、ふたり一緒に店を出た。
「あの……」
店を出て、人気のない坂道を海に向かって歩く。無言のままの十希也の隣に並び、梨花はおそるおそるつぶやいた。
「……大丈夫ですか?」
「なにが?」
前を見たまま、十希也がぶっきらぼうに答える。
「あの、さっきの……菊さんの言葉」
「別に」
本当に大丈夫なのだろうか。強がっているだけではないのだろうか。
民家の並ぶゆるい坂道を下っていく。やがて小さな漁港や、堤防、その向こうのまっすぐな水平線が見えてくる。
「にゃあ」
どこからかデュオが現れた。甘えた声で鳴きながら十希也に近づいてくる。
「お、出迎えか? 偉いな、お前」
十希也がしゃがみ込み、デュオの頭を撫でる。
「にゃおん」
「腹減ったのか? でも飯はまだだ」
「うにゃあん」
地面にごろんと寝転がったデュオのお腹を、十希也はわしわしと撫でている。
梨花は黙ってその光景を見下ろしていた。
心配しすぎだったのかもしれない。きっとこの人は、大丈夫なのだ。私の気持ちがわかると言ったけれど、私とは違う。
悠真の思い出を抱えたまま、つらいことも乗り越えていける。
この人は強いから。
『弱くてもいいから、それでも生きろ』
ごめんなさい。やっぱり私には無理です。
「どうした?」
ハッと気づくと、十希也がデュオを抱き上げ、梨花の前に立っていた。
「また死にそうな顔しやがって」
梨花が顔をそむけると、十希也がデュオを抱いたまま「行くぞ」と言った。
十希也の後をついていく。目の前にいるこの人が、悠真だったらいいのにって思ってしまう。
太陽が雲の影に隠れる。かすかな海風はほんのりと温かい。
少しだけ春を感じる午後、梨花はやっぱり悠真のことを想っていた。
「あら、十希ちゃん、めずらしいじゃない。いらっしゃい」
「どうも」
店の奥から出てきたのは、割烹着を着た優しそうな高齢女性だった。
「まあ、どこのお嬢さんかしら?」
「こいつはお客……いや、東京から来た知り合いです」
お客と答えるとまたなにか言われると思ったのか、十希也はそう説明した。
すると女性が目を丸くして梨花を見た。
「東京? あらまあ、よくいらっしゃいました。私はこのうどん屋の店主、菊と申します」
菊と名乗った店主が丁寧に頭を下げる。梨花も慌てて挨拶をした。
「あ、吾妻です。こんにちは」
ぺこりと頭を下げると、菊はにっこり微笑んで、テーブル席に座るよう勧めた。梨花は十希也と一緒に席に着く。
テーブル席が四つほどの狭い店内に、他の客はいない。壁には古い柱時計と日めくりカレンダーが掛けられていて、カウンターの上には大きな招き猫が置いてある。
「十希ちゃん、いつものでいいかい?」
「はい、いつものふたつで。ひとつは少なめにしてください」
「はいよ」
背中を丸めた菊が厨房へ消えていく。その姿を見送ると、十希也は慣れた様子でテーブルに用意されてあったグラスにポットで水を注いだ。
梨花はそれを見ながら口を開く。
「よく来るんですか? ここ」
「ああ。菊さんは俺が小さいころからずっと、この店でうどん作ってて……悠真と一緒によく来てた」
その言葉にまた胸がつきんとする。
「悠真も……食べてたんですね」
「ここの卵とじうどんは絶品だからな」
「卵とじうどん……」
梨花の頭にある思い出が甦る。
梨花が熱を出した日、普段あまり料理をしない悠真がうどんを作ってくれたのだ。
『田舎で食べたうどんを思い出しながら作ったんだけど、やっぱうまくいかなかった』
悠真は決まり悪そうに頭をかいたけれど、ふわふわした卵の上に緑の小ねぎがのったうどんは、とても優しい味がした。
『すごくおいしいよ、悠真』
そのとき悠真が見せてくれた笑顔は、いまでも鮮やかに思い出せる。
思い出はすべて捨ててきたはずなのに、この町に来てから、忘れかけていたものまで次々と甦ってくる。
「はい、お待たせしました」
菊が湯気の立つどんぶりをふたつ持ってきて、梨花と十希也の前に置いてくれた。ふんわりと広がった卵の上に緑のねぎがのっている。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます」
十希也が割り箸をパチンと割り、どんぶりに差し入れる。卵がふわりとほぐれて、うどんと絡まり合う。箸で持ち上げ勢いよくすすると、太めのうどんがするすると気持ちよく、十希也の口に入っていく。
「うまい」
「あいかわらずいい食べっぷりだねぇ、十希ちゃんは」
「だってすげぇうまいよ。やっぱさすがだな、菊さんは」
口いっぱいに頬張ったまま、十希也が言う。
「なに言ってんだい。あんたは『民宿陣内』の息子だろ。お父さんはあんなに料理が上手かったんだ。あんたにだってできるだろうよ」
ぽんぽんと十希也の肩を叩き、菊が嬉しそうに去っていく。だけど十希也の顔が、一瞬曇ったのを梨花は見逃さなかった。
もしかしてお父さんの話をされるのは嫌なのだろうか……。
そんなことを思った梨花に向かって、十希也がいつもの調子で言う。
「あんたも早く食え。冷めちまうぞ」
「あ、はい」
割り箸を割って、どんぶりに顔を近づける。出汁の香りが湯気と一緒に立ち昇り、鼻先をくすぐる。
ふわふわの卵と一緒にうどんをすすると、しょうがの風味が口の中に広がって、体がぽかぽかと温かくなってきた。
「あったかい……」
ため息とともに声が漏れた。
悠真が作ろうとしたのはきっとこのうどんだ。うまくいかなかったと言っていたが、そういえば悠真のうどんにもしょうがの香りがしたし、梨花に思い出のうどんを食べさせようと頑張ってくれたのだろう。
思い出したらまた泣きそうになって、誤魔化すようにうどんをすする。
うどんはもちもちしていて弾力があった。出汁は優しくまろやかで、ひと口食べるごとに体がほぐれ、肩の力が抜けていくように感じた。
「おい、無理しなくてもいいからな」
「……はい」
十希也の言葉が心に沁みる。
結局半分くらい食べたらお腹がいっぱいになり、残りは十希也が食べてくれた。
「ごちそうさまでした」
ふたりで手を合わせ、声も合わせる。それを見た菊が十希也に言った。
「いつもありがとうね、十希ちゃん。だけどこの店ね、今月いっぱいで畳もうと思ってるんだよ」
「えっ」
十希也が驚いたように声を上げる。今月いっぱいといえば、あと数日しかない。
「なんで……菊さん、まだこんなうまいうどん作れるのに……」
「こう見えてもいろいろ持病抱えててね。東京にいる娘が一緒に暮らさないかって言ってくれてるんだよ」
菊が優しく微笑みながら話す。
「あたしもこの店を畳むのは寂しいけど、しょうがないね。老いには勝てないよ」
そう言って菊は明るく笑ったけれど、十希也は口を結んだままだった。
すると菊が、割烹着のポケットから折りたたんだメモを取り出し、十希也に渡した。
「それでね、十希ちゃんにこれを渡そうと思ってたんだよ」
「なんですか、これ……」
「卵とじうどんのレシピだよ」
「えっ」
十希也が目を見開いて、紙を広げた。
「先祖代々伝わる秘伝のレシピなんだからね。誰にも内緒だよ」
「そ、そんなものを、なんで俺に?」
菊が十希也の肩をぽんぽんと叩いて答える。
「あんたと悠ちゃんが、一番おいしそうに食べてくれたからさ」
その言葉が梨花の胸にもじんわりと響き、思わず口を開いていた。
「あの、悠ちゃんって……」
「ああ、十希ちゃんと兄弟みたいに育ってきた、悠真くんって子がいてね。いつもにこにこ笑っているかわいい子だったよ」
菊が懐かしそうに目を細める。
「だけどたぶん、人には言えないつらいこともあったんだろうね。一度だけあたしの卵とじうどんを食べながら泣いてたことがあってさ」
梨花は黙って菊の声に耳を傾ける。
「でもね、『どうしたの』って聞いたら、『おばちゃんのうどんがおいしくて涙出ちゃった』って笑うんだよ。あの子はつらいことがあっても絶対口にしなかったからね。あのときもっと話を聞いてあげればよかった……」
菊が十希也に視線を向けた。
「悠ちゃんにはもう会えないけど、悠ちゃんの分まで頑張るんだよ、十希ちゃん」
十希也はしばらく黙り込んだあと、消えそうな声で「はい」と答えた。
だけど梨花にはわかっていた。
菊が悠真のことも十希也のことも気にかけてくれるすごくいい人で、友人を失った十希也を元気づけようとしてくれていることを。
だけどその言葉が、なによりも心を抉ってくる、呪いの言葉だということも。
梨花だってそうだから。悠真の分まで頑張れと言われても、なにを頑張ればいいのかわからない。そして頑張れない自分が情けなく思えて、死にたくなるのだ。
「レシピ、ありがとうございます。大事にします」
十希也がそう言って立ち上がると、菊は優しく微笑んだ。
梨花も菊に挨拶をして、ふたり一緒に店を出た。
「あの……」
店を出て、人気のない坂道を海に向かって歩く。無言のままの十希也の隣に並び、梨花はおそるおそるつぶやいた。
「……大丈夫ですか?」
「なにが?」
前を見たまま、十希也がぶっきらぼうに答える。
「あの、さっきの……菊さんの言葉」
「別に」
本当に大丈夫なのだろうか。強がっているだけではないのだろうか。
民家の並ぶゆるい坂道を下っていく。やがて小さな漁港や、堤防、その向こうのまっすぐな水平線が見えてくる。
「にゃあ」
どこからかデュオが現れた。甘えた声で鳴きながら十希也に近づいてくる。
「お、出迎えか? 偉いな、お前」
十希也がしゃがみ込み、デュオの頭を撫でる。
「にゃおん」
「腹減ったのか? でも飯はまだだ」
「うにゃあん」
地面にごろんと寝転がったデュオのお腹を、十希也はわしわしと撫でている。
梨花は黙ってその光景を見下ろしていた。
心配しすぎだったのかもしれない。きっとこの人は、大丈夫なのだ。私の気持ちがわかると言ったけれど、私とは違う。
悠真の思い出を抱えたまま、つらいことも乗り越えていける。
この人は強いから。
『弱くてもいいから、それでも生きろ』
ごめんなさい。やっぱり私には無理です。
「どうした?」
ハッと気づくと、十希也がデュオを抱き上げ、梨花の前に立っていた。
「また死にそうな顔しやがって」
梨花が顔をそむけると、十希也がデュオを抱いたまま「行くぞ」と言った。
十希也の後をついていく。目の前にいるこの人が、悠真だったらいいのにって思ってしまう。
太陽が雲の影に隠れる。かすかな海風はほんのりと温かい。
少しだけ春を感じる午後、梨花はやっぱり悠真のことを想っていた。
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