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14食目 サクッとぷりぷりエビフライ
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「うわぁ、大きい!」
その日の夕食のメニューはエビフライだった。しかも特大のエビが二本、たっぷり山盛りになった千切りキャベツの上に寄りかかっている。
「揚げたてなので、熱々のうちにどうぞ」
「はい。いただきます!」
さっきビッグなハンバーガーを食べたばかりなのに、また食欲が湧いてくるのが不思議だ。
まずはなにもつけず、箸で持ち上げ口に入れる。揚げたての衣がザクッと音を立てた。プリプリのエビは噛めば噛むほど、甘味と旨味がじゅわっと広がってくる。
「おいしい!」
そばにはいくつかの手作りソースが用意されていた。
ピクルスの入ったタルタルソース、牡蠣の旨味のオイスターソース、レモン汁や大根おろしまで。
それらを順番につけて食べてみる。こってりからさっぱりまで、どれも相性抜群だった。
サクサクのエビフライを頬張りながら、梨花は思う。
こんなにおいしい料理を自分だけが食べているなんてもったいない。もっと多くの人に食べてほしい。町に来てほしい。この宿をなくすなんて、絶対にだめだ。
とはいえ、十希也に言われたように、梨花にできることなどたぶんない。
できることといえば、祈ることくらいしか思い浮かばず、そんな自分が情けなく思えた。
お腹いっぱいになって部屋に戻ると、梨花はそっと窓を開けた。
堤防のところに今日も人影が見える。どうやら十希也は毎晩ここで煙草を吸っているようだ。
十希也が海に向かって煙を吐く。それは闇の中に白く立ち昇り、夜風に吹かれてゆらゆらと揺れる。海も空も真っ暗で、月は見えない。あたりは不気味なほど静まり返っていて、波の音すら聞こえなかった。
梨花は黙って窓を閉める。暗闇の中に立つ十希也の背中は、ふとすると消えてしまいそうなほど儚く見えた。
その日の夕食のメニューはエビフライだった。しかも特大のエビが二本、たっぷり山盛りになった千切りキャベツの上に寄りかかっている。
「揚げたてなので、熱々のうちにどうぞ」
「はい。いただきます!」
さっきビッグなハンバーガーを食べたばかりなのに、また食欲が湧いてくるのが不思議だ。
まずはなにもつけず、箸で持ち上げ口に入れる。揚げたての衣がザクッと音を立てた。プリプリのエビは噛めば噛むほど、甘味と旨味がじゅわっと広がってくる。
「おいしい!」
そばにはいくつかの手作りソースが用意されていた。
ピクルスの入ったタルタルソース、牡蠣の旨味のオイスターソース、レモン汁や大根おろしまで。
それらを順番につけて食べてみる。こってりからさっぱりまで、どれも相性抜群だった。
サクサクのエビフライを頬張りながら、梨花は思う。
こんなにおいしい料理を自分だけが食べているなんてもったいない。もっと多くの人に食べてほしい。町に来てほしい。この宿をなくすなんて、絶対にだめだ。
とはいえ、十希也に言われたように、梨花にできることなどたぶんない。
できることといえば、祈ることくらいしか思い浮かばず、そんな自分が情けなく思えた。
お腹いっぱいになって部屋に戻ると、梨花はそっと窓を開けた。
堤防のところに今日も人影が見える。どうやら十希也は毎晩ここで煙草を吸っているようだ。
十希也が海に向かって煙を吐く。それは闇の中に白く立ち昇り、夜風に吹かれてゆらゆらと揺れる。海も空も真っ暗で、月は見えない。あたりは不気味なほど静まり返っていて、波の音すら聞こえなかった。
梨花は黙って窓を閉める。暗闇の中に立つ十希也の背中は、ふとすると消えてしまいそうなほど儚く見えた。
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