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19食目 あの日の塩バターラーメン(1)
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午前中、時間が経つにつれ、嵐は静まるどころか激しくなっていた。
一度だけ、十希也からメッセージが入った。
【デュオが町の猫に追いかけまわされてたって目撃情報があった。町のほうに行ってみる】
梨花はスマホの画面を見下ろしながら、次の連絡を待ったが一向に来ない。それに時々倉庫に行ってはデュオが戻っていないか確認したけれど、こちらも来る気配はなかった。
「デュオも十希也さんも大丈夫かな……」
部屋の窓に風が当たり、ガタガタと音を立てる。
居ても立ってもいられなくなって、梨花は十希也にメッセージを送る。
【大丈夫ですか?】
しかし何分待っても返事は来ない。
「デュオ……どこに行っちゃったの?」
足に釣り糸を巻き付けられて、三本足になってしまったデュオ。みんなと違うせいで、町の猫たちからのけ者にされて、悠真や十希也だけが頼りだったはず。
「それなのに、どこに行っちゃったの?」
きっとなにかあったんだ。それで戻ってこられないんだ。
デュオの行きそうなところって……。
梨花は毎朝デュオが十希也と一緒に散歩していた姿を思い出す。
「あの展望台……」
そのとき突然電話が鳴った。十希也からだった。
「十希也さん! デュオは?」
『ごめん。まだ見つけられない』
梨花はスマホを持ったまま、肩を落とす。でもすぐに顔を上げ、声を出した。
「十希也さんは大丈夫なんですか? いまどこにいるんですか?」
『俺は大丈夫。いま学校のほう捜してたんだけど、車で通りかかったおっさんが、展望台の入口あたりでデュオの姿を見たって』
「えっ」
『朝一番に見たときはいなかったんだ。でも俺、もう一度そこに行ってみるから』
「私が先に行きます!」
梨花は思わず声を上げていた。
学校から展望台に行くより、ここから行ったほうが近い。もうこの町の地図はほとんど頭の中で把握していた。
『バカ! やめろって! あそこは危ないんだぞ!』
「だったら十希也さんも危ないじゃないですか! 大丈夫です。気をつけて行きますから」
『あ、おいっ……』
まだなにか言いたそうな十希也の声を無視して、電話を切る。そしてバッグの中からレインコートを引っ張り出すと、それを羽織って玄関へ出た。
「梨花さん?」
しかし引き戸を開けたところで、芙美に声をかけられた。
「どこに行くんですか?」
「すみません。デュオが行方不明になってしまって……捜しにいきたいんです」
「捜しにって……だめですよ、こんな嵐の中……」
「ごめんなさい。気をつけて行ってきますので!」
梨花は振り返らずに外へ飛び出す。芙美の引き止める声に、何度も「ごめんなさい」と謝りながら。
外は風が強く、バケツをひっくり返したような大雨だった。波は荒れ、時々堤防を越えて水しぶきが降ってくる。
そんな中、梨花は展望台に向かって走りながら、自分はなにをやっているのだろうと考えていた。
この町に来るまで、なにもやる気なんてなかった。食欲もなく、眠ることもできず、悠真の元へ行くことばかり考えていた。
それなのにいま、十希也や芙美の反対を押し切ってまで、こんなことをしている。
おかしい。自分で自分がわからない。
「はぁ、はぁ……」
息を切らしながら、展望台に続く曲がり角まで来た。町の人が見かけたというのは、このあたりだろうか。
「デュオ!」
名前を呼ぶ声が、暴風雨にかき消される。高い木々がざわざわと揺れ、雨と一緒に葉っぱが舞い落ちてくる。漁港から飛んできたらしい発泡スチロールのケースが、道路をどこまでも転がっていくのが見えた。
「デュオ! どこにいるの! 出てきて!」
今度はもっと大きな声で叫んだ。
『こいつ偉いんだよ。足が一本なくて、他の猫たちからのけ者にされても、堂々と生きてる。俺も見習わなきゃなぁって、いつも思ってた』
そう言ってデュオの写真を見せてくれた、悠真の顔を思い出す。
そうだ。きっと悠真だって同じことをした。こうやって雨の中、必死にデュオを捜したはずだ。
「デュオ!」
叫びながら坂道を上る。足元はぬかるみ、草木がなぎ倒されている。
十希也の言う通り、この先は危険かもしれない。だけどそこにデュオがいるのなら、自分なんてどうなったってかまわない。
どうせ今日で消えるはずの命だったのだから。
「にゃあ……」
そのときかすかに猫の鳴き声が聞こえた。
「デュオ?」
周りを見まわすが、坂道の先にも後ろにも猫の姿は見えない。
「デュオ! どこにいるの!」
「にゃおん」
草木に覆われた坂道は、右側に山の斜面が迫り、左側は谷のようになっている。
「まさか谷の底に……?」
梨花はおそるおそる崖をのぞき込んだ。たいした高さはないが、急斜面になっている。下の地面は草木に覆われているようだ。
「にゃお」
鳴き声が聞こえるのはそのあたりからだった。
「デュオ!」
思いっきり声を上げると、草の中で黒いぶちが動いているのが見えた。
デュオだ。
「にゃお、にゃお」
梨花に気づいたのか、こちらを見上げてか細い声で鳴いている。毛が雨に濡れ、いつもよりひと回り小さく見える。
「デュオ、待ってて。いまそこに行くからね」
ゆっくり降りれば降りられないことはない。デュオをつかまえて、抱えて、また戻ってくればいい。なんとかなる。
梨花はそばにあった木の根をつかみながら、斜面をゆっくりと降りる。しかし足元は思っていたよりぬかるんでいた。
「あっ……」
足が滑り、あっという間に下までずり落ちる。
「きゃあっ」
気づけば崖下の地面にしりもちをついていた。そんな梨花の元へ、デュオがひょこひょこと近寄ってくる。
「にゃん……」
「デュオ……よかった。怪我はない?」
デュオの体は泥だらけでびしょ濡れだった。きっといまの梨花と同じように、上から転げ落ちてしまったのだろう。大きな怪我はなさそうだが、三本足のデュオには登ることができず、ここで震えていたのかもしれない。
「もう大丈夫だよ。一緒に帰ろうね」
デュオを抱き上げ、立ち上がろうとした瞬間、足に鈍い痛みが走った。
「痛っ……」
自分の足を見下ろす。擦り傷以外ついていないようだが、着地したときひねってしまったのかもしれない。
なんとか立ち上がれても、崖を登ろうとすると痛みが走り、冷や汗が流れる。
「どうしよう……」
十希也と芙美の顔が頭に浮かぶ。
ふたりに止められたのに、言うことを聞かずにこんなことをして……このままでは迷惑をかけてしまう。
雨が強まり、崖の上からぽろぽろと土が崩れ落ちてくる。線路が土砂で埋まったという話を思い出し、ここも埋まってしまうのかもしれないと焦る。
「にゃお」
「デュオ……」
自分ひとりならそれでもよかった。でもデュオを助けなければならない。
梨花はポケットからスマホを取り出した。十希也に連絡しようと思ったのだ。しかし……。
「電波が届かない……」
これでは場所を知らせることもできない。
力が抜けて、デュオを抱いたまま座り込んだ。足がズキズキと痛む。滝のような雨が打ちつけてくる。泣きたくなるのを必死にこらえる。
「にゃおん」
デュオが鳴いて、梨花の頬をなめてくれた。
「デュオ、ごめんね。頼りない私で……やっぱり私には無理だったんだ」
張りつめていた糸がぷつんと切れたように、全身の力が抜けた。
なぜかこんなときに、母の厳しい顔と声を思い出す。
『どうしてこんな問題も解けないの? 本当にあなたはだめな子ね』
もう無理。私には無理。私はなにをやってもだめな人間だから。ひとりではなにもできない人間だから。
私は悠真がいないと生きていけない。
「にゃおん」
雨の中でデュオの体をぎゅっと抱きしめる。デュオの体は温かく、抱きしめていると頭がぼうっとしてくる。
このまま眠ったら、悠真に会えるだろうか。そんなことを考えながら目を閉じる。
悠真に、会いたい……会いたいよ……。
一度だけ、十希也からメッセージが入った。
【デュオが町の猫に追いかけまわされてたって目撃情報があった。町のほうに行ってみる】
梨花はスマホの画面を見下ろしながら、次の連絡を待ったが一向に来ない。それに時々倉庫に行ってはデュオが戻っていないか確認したけれど、こちらも来る気配はなかった。
「デュオも十希也さんも大丈夫かな……」
部屋の窓に風が当たり、ガタガタと音を立てる。
居ても立ってもいられなくなって、梨花は十希也にメッセージを送る。
【大丈夫ですか?】
しかし何分待っても返事は来ない。
「デュオ……どこに行っちゃったの?」
足に釣り糸を巻き付けられて、三本足になってしまったデュオ。みんなと違うせいで、町の猫たちからのけ者にされて、悠真や十希也だけが頼りだったはず。
「それなのに、どこに行っちゃったの?」
きっとなにかあったんだ。それで戻ってこられないんだ。
デュオの行きそうなところって……。
梨花は毎朝デュオが十希也と一緒に散歩していた姿を思い出す。
「あの展望台……」
そのとき突然電話が鳴った。十希也からだった。
「十希也さん! デュオは?」
『ごめん。まだ見つけられない』
梨花はスマホを持ったまま、肩を落とす。でもすぐに顔を上げ、声を出した。
「十希也さんは大丈夫なんですか? いまどこにいるんですか?」
『俺は大丈夫。いま学校のほう捜してたんだけど、車で通りかかったおっさんが、展望台の入口あたりでデュオの姿を見たって』
「えっ」
『朝一番に見たときはいなかったんだ。でも俺、もう一度そこに行ってみるから』
「私が先に行きます!」
梨花は思わず声を上げていた。
学校から展望台に行くより、ここから行ったほうが近い。もうこの町の地図はほとんど頭の中で把握していた。
『バカ! やめろって! あそこは危ないんだぞ!』
「だったら十希也さんも危ないじゃないですか! 大丈夫です。気をつけて行きますから」
『あ、おいっ……』
まだなにか言いたそうな十希也の声を無視して、電話を切る。そしてバッグの中からレインコートを引っ張り出すと、それを羽織って玄関へ出た。
「梨花さん?」
しかし引き戸を開けたところで、芙美に声をかけられた。
「どこに行くんですか?」
「すみません。デュオが行方不明になってしまって……捜しにいきたいんです」
「捜しにって……だめですよ、こんな嵐の中……」
「ごめんなさい。気をつけて行ってきますので!」
梨花は振り返らずに外へ飛び出す。芙美の引き止める声に、何度も「ごめんなさい」と謝りながら。
外は風が強く、バケツをひっくり返したような大雨だった。波は荒れ、時々堤防を越えて水しぶきが降ってくる。
そんな中、梨花は展望台に向かって走りながら、自分はなにをやっているのだろうと考えていた。
この町に来るまで、なにもやる気なんてなかった。食欲もなく、眠ることもできず、悠真の元へ行くことばかり考えていた。
それなのにいま、十希也や芙美の反対を押し切ってまで、こんなことをしている。
おかしい。自分で自分がわからない。
「はぁ、はぁ……」
息を切らしながら、展望台に続く曲がり角まで来た。町の人が見かけたというのは、このあたりだろうか。
「デュオ!」
名前を呼ぶ声が、暴風雨にかき消される。高い木々がざわざわと揺れ、雨と一緒に葉っぱが舞い落ちてくる。漁港から飛んできたらしい発泡スチロールのケースが、道路をどこまでも転がっていくのが見えた。
「デュオ! どこにいるの! 出てきて!」
今度はもっと大きな声で叫んだ。
『こいつ偉いんだよ。足が一本なくて、他の猫たちからのけ者にされても、堂々と生きてる。俺も見習わなきゃなぁって、いつも思ってた』
そう言ってデュオの写真を見せてくれた、悠真の顔を思い出す。
そうだ。きっと悠真だって同じことをした。こうやって雨の中、必死にデュオを捜したはずだ。
「デュオ!」
叫びながら坂道を上る。足元はぬかるみ、草木がなぎ倒されている。
十希也の言う通り、この先は危険かもしれない。だけどそこにデュオがいるのなら、自分なんてどうなったってかまわない。
どうせ今日で消えるはずの命だったのだから。
「にゃあ……」
そのときかすかに猫の鳴き声が聞こえた。
「デュオ?」
周りを見まわすが、坂道の先にも後ろにも猫の姿は見えない。
「デュオ! どこにいるの!」
「にゃおん」
草木に覆われた坂道は、右側に山の斜面が迫り、左側は谷のようになっている。
「まさか谷の底に……?」
梨花はおそるおそる崖をのぞき込んだ。たいした高さはないが、急斜面になっている。下の地面は草木に覆われているようだ。
「にゃお」
鳴き声が聞こえるのはそのあたりからだった。
「デュオ!」
思いっきり声を上げると、草の中で黒いぶちが動いているのが見えた。
デュオだ。
「にゃお、にゃお」
梨花に気づいたのか、こちらを見上げてか細い声で鳴いている。毛が雨に濡れ、いつもよりひと回り小さく見える。
「デュオ、待ってて。いまそこに行くからね」
ゆっくり降りれば降りられないことはない。デュオをつかまえて、抱えて、また戻ってくればいい。なんとかなる。
梨花はそばにあった木の根をつかみながら、斜面をゆっくりと降りる。しかし足元は思っていたよりぬかるんでいた。
「あっ……」
足が滑り、あっという間に下までずり落ちる。
「きゃあっ」
気づけば崖下の地面にしりもちをついていた。そんな梨花の元へ、デュオがひょこひょこと近寄ってくる。
「にゃん……」
「デュオ……よかった。怪我はない?」
デュオの体は泥だらけでびしょ濡れだった。きっといまの梨花と同じように、上から転げ落ちてしまったのだろう。大きな怪我はなさそうだが、三本足のデュオには登ることができず、ここで震えていたのかもしれない。
「もう大丈夫だよ。一緒に帰ろうね」
デュオを抱き上げ、立ち上がろうとした瞬間、足に鈍い痛みが走った。
「痛っ……」
自分の足を見下ろす。擦り傷以外ついていないようだが、着地したときひねってしまったのかもしれない。
なんとか立ち上がれても、崖を登ろうとすると痛みが走り、冷や汗が流れる。
「どうしよう……」
十希也と芙美の顔が頭に浮かぶ。
ふたりに止められたのに、言うことを聞かずにこんなことをして……このままでは迷惑をかけてしまう。
雨が強まり、崖の上からぽろぽろと土が崩れ落ちてくる。線路が土砂で埋まったという話を思い出し、ここも埋まってしまうのかもしれないと焦る。
「にゃお」
「デュオ……」
自分ひとりならそれでもよかった。でもデュオを助けなければならない。
梨花はポケットからスマホを取り出した。十希也に連絡しようと思ったのだ。しかし……。
「電波が届かない……」
これでは場所を知らせることもできない。
力が抜けて、デュオを抱いたまま座り込んだ。足がズキズキと痛む。滝のような雨が打ちつけてくる。泣きたくなるのを必死にこらえる。
「にゃおん」
デュオが鳴いて、梨花の頬をなめてくれた。
「デュオ、ごめんね。頼りない私で……やっぱり私には無理だったんだ」
張りつめていた糸がぷつんと切れたように、全身の力が抜けた。
なぜかこんなときに、母の厳しい顔と声を思い出す。
『どうしてこんな問題も解けないの? 本当にあなたはだめな子ね』
もう無理。私には無理。私はなにをやってもだめな人間だから。ひとりではなにもできない人間だから。
私は悠真がいないと生きていけない。
「にゃおん」
雨の中でデュオの体をぎゅっと抱きしめる。デュオの体は温かく、抱きしめていると頭がぼうっとしてくる。
このまま眠ったら、悠真に会えるだろうか。そんなことを考えながら目を閉じる。
悠真に、会いたい……会いたいよ……。
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