侯爵令息の数奇な運命

野咲

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第二章

執着(グラニフ公サイド) 1☆

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「なんて恥知らずな! 主が主なら、奉公人も奉公人だな! いや、むしろお前こそがトマスを堕落させた張本人なのか?」
 そうなのかもしれない。トマスはエドワードのようなオメガと付き合ううちに、オメガに対する認識をゆがめていったのかもしれない。私の怒りにエドワードは蒼白になったが、それでも私から目をそらさず、はっきりと言った。
「私が彼を堕落させたのか、そうじゃないのかは私には分かりませんが、トマスが堕落しているのは確かです。公爵、さすがにおわかりいただけたでしょう? やはりシャーロット嬢の結婚はおやめになったほうがいい。ぜひトマスの身辺をきちんとお調べになってください」
「お前に指図されるいわれはない!」
 内心では私は二人の結婚反対に傾いていて、どうシャーロットを説得しようかと思っているのだが、それをエドワードから言われると腹が立った。どうしてエドワードはそんなにも、二人のことを別れさせたいのか。
「エドワード。……やはり、まだトマスに未練があるのか」
「は? 私がですか? まさか。なにをおっしゃるのです」
「トマスはどうやってお前を抱いた? 優しく抱いたのか、それとも責めさいなまれた?」
「やめてください」
「お前に甘い言葉を囁いたのか、それとも酷い言葉を言われた?」
 エドワードは苦しそうに顔をゆがめた。
「お前は淫乱だから、何をされても喜ぶのだろうな」
「やめて!」
 エドワードは席を立とうと腰を浮かせたが、私はその腕をひっつかみ、強引にソファに縫い留めた。必然的にエドワードの顔が近づく。エドワードの荒い息が私の顔にかかった。私はエドワードの開いた口をまじまじと眺め、思わず口づけた。
「んうぅ!」
 本能がこのオメガを自分のものにしなければと騒ぎ立てる。暴れようとするエドワードを押さえつけて、舌をねじ込んだ。
「ん! んちゅっ!」
 エドワードが押し返してくるが、非力なオメガの抵抗など簡単に抑え込める。体重をぐっとかけ、思う存分その甘い咥内をむさぼった。オメガの体液はこんなに甘美なものなのか。口を離すと、エドワードは顔を背け、体をよじった。まだ私を嫌がるのかと思うといらいらして、思い切りフェロモンを浴びせかけてしまった。
「あっ!」
 エドワードはなまめかしい声を上げて抵抗をやめた。それに私はどこかほっとして、ぎゅうっと抱きしめた。くたっとエドワードの体から力が抜ける。
「やめて……」
 弱弱しくエドワードが言ったが、私の耳には入っていなかった。早急に彼の服を脱がし、後ろの窄まりに指を入れる。
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