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翌日。翔は朝早く起き、首都に隣接する港町まで車を走らせていた。
この日が、Chronicle Growthのマネージャーとしての初仕事になる。Chronicle Growthのメンバーは、全員都内ではなく隣の港町に住んでいる。翔が住んでいる社長の家からは距離があるが、メンバー同士の家は結構近くにあるようだ。
社長の二台目らしいミニバンに乗り、最初に来たのは、重たいドラムを乗せなければならないりつさんの家。りつさんは実家暮らしで、MASATOさんも同居しているらしい。
大きな一軒家の前に車を停め、インターホンを鳴らす。表札には「乙部」と書かれているが、りつさんの苗字は乙部なのだろうか。
少しして、女性の声で「はい」と聞こえた。
「おはようございます。Chronicle Growthのマネージャーの高木翔です」
『ああ、ちょっと待っててくださいね』
インターホンの声が途切れ、家の中からドタドタと音が聞こえる。
しばらくして、玄関のドアが勢いよく開いた。
「かけるっちー!おはよう!!」
りつさんが元気よく飛び出してくる。続いてMASATOさんも現れ、軽く会釈した。
りつさんはドアを開いた状態で固定し、玄関先に置いていたドラムセットに手をかける。重いだろうから手伝おうとしたのだが、りつさんはそれを軽々と持ち上げた。
「かけるっち、車開けて―」
「え、あ、はい!」
慌てて車の方に行き、トランクを開ける。りつさんはそこにドラムセットを置くと、MASATOさんからベースを受け取り、倒れないように上手く乗せる。
MASATOさんがトランクを閉め、二人は六人乗りの後ろの席に座った。翔が手を出す暇もないほど、一瞬の出来事だった。
少々呆気に取られたが、気を取り直して、Koheiさんの家に向かった。
Koheiさんの家は二階建てのアパートで、クロユリさんも同居しているらしい。二人が妙に仲がいいという噂は聞いていたが、同居しているからだったようだ。
少々年季を感じるアパートの前につくと、既にKoheiさんとクロユリさんが外で待っていた。
翔はその前に車を停め、急いで運転席を降りるが、その間にKoheiさんたちは車の後ろに回り、トランクを開けていた。
「おはようございます!」
「おはようございます。クロユリ、ギター貸して」
「ん……」
Koheiさんは自分のキーボードを手早くトランクに入れると、少々眠たそうなクロユリさんからギターを受け取り、これまた慣れた手つきで倒れないように上手く入れる。またも翔の出番はなく、Koheiさんはトランクを閉めた。
Koheiさんたちは真ん中の列に座り、Koheiさんがクロユリさんのシートベルトを締める。
「クロユリさん、眠そうですね」
そう言うと、自分のシートベルトを閉めようとしていたKoheiさんが申し訳なさそうに笑う。
「ちょっと寝不足なんです。すみません」
すると、後ろに座っているりつさんが、少し体を乗り出してにやにやと笑う。
「ちょっと~。寝不足になるほど何してたの~?」
「普通に練習してたんだよ」
Koheiさんは少々不機嫌そうに返す。一体りつさんはどういう意味で聞いたのだろう。よくわからないが、翔が車を発進させる頃には、クロユリさんは眠りに落ちていた。
最後に、Kyoyaさんの家に向かう。Koheiさんの家からKyoyaさんの家は徒歩でも十分程度で、車だと本当にあっという間だ。
マンションの前に車を停め、エントランスのインターホンを押す。
『はい』
「おはようございます!高木です!」
『おはようございます。今下りますね』
通話が切れ、しばらくするとKyoyaさんが下りてくる。細身の黒いコートを着て、ギターを背負うその姿は、どこのセレブかと思うほどかっこいい。
「おはようございます」
うっかり見とれてしまったが、声を掛けられてハッとする。
「お、おはようございます!!!」
「朝から元気ですね」
にっこりと微笑みかけられ、なんとなく気恥ずかしくなる。
翔が車のトランクを開けると、Kyoyaさんは空いたところに上手くギターを滑り込ませる。というか、そのためにわざとスペースを空けていたのだろう。手早い作業に感心してしまった。
翔が運転席、Kyoyaさんが助手席に同時に乗り込む。後ろから皆がKyoyaさんに「おはよう」と声を掛けた。
「はよ。クロ寝てんの?」
「寝不足なんだって~」
Kyoyaさんの問いに、またもやりつさんがにやにやと答える。
「へぇ~」と、Kyoyaさんもりつさんと同じようににやにやとする。
「本当に昨日はしてないからな」
怒り気味にKoheiさんがそう言うと、「昨日は」と、りつさんが「は」を強調するように言う。
メンバーの中ではそれだけで話が通じているようだが、翔にはさっぱりわからず、しかし特に突っ込まずに車を発進させた。
目的地は都内のテレビ局。生放送の音楽番組の収録で、午前中にリハーサルがある。
結構距離があるので、りつさんとMASATOさんは車内で朝食を取っている。
KyoyaさんとKoheiさんは今日披露する曲の話をしていて、その表情は非常に真剣だ。
いつも同じように演奏して見えるが、毎回思いがあって演奏している。そのことがよくわかって、翔は改めて、このグループが好きだと思った。
渋滞もなく、都内のスタジオにたどり着く。車のまま受付を通過し、建物内の駐車場に車を停める。
Koheiさんがクロユリさんを起こしている間に、他のメンバーで楽器を車から運び出す。
それぞれ楽器を持って、楽屋に向かう。通り過ぎる人たちに挨拶をしながら、目的地にたどり着き、扉を開ける。
楽器を置き、時間を確認すれば、まだまだリハーサルまでは時間がある。
翔は特にやることはないが、楽器の確認をしている皆さんの楽器の音色や、話し声を聞いているだけで結構楽しい。
お茶を飲んでいたら、不意にKyoyaさんと目が合った。
にっこりと微笑まれ、翔もつられて笑う。
いつ見ても綺麗な顔だな、なんてぼーっと考えていたら、りつさんが不思議そうな顔をした。
「来るときも思ったけど、きょうちゃんとかけるっち仲直りしたの?」
きょうちゃんとは、Kyoyaさんのことだろう。りつさんの言葉を聞いて、クロユリさんとKoheiさんも一緒にうなずく。
「相当根に持ってたのになー」
Koheiさんがそう言えば、Kyoyaさんは大きなため息を吐いた。
「別に根に持ってない。ちゃんと謝ったよ」
りつさんが「え~?」と楽しそうに笑う。
「根に持ってたじゃん。帰りずーっと機嫌悪かったしさ~。僕が、泣いてるのって?って聞いたら、すんごい怖い顔で睨んできたし~」
「大人げない」
クロユリさんもりつさんに賛同する。MASATOさんとKoheiさんもうなずいた。
Kyoyaさんは苦々しい顔をしていたが、翔の方を見ると、うかがうように眉を下げた。
「本当に根に持ってませんからね……?」
そんな心配そうな顔をしなくても、翔はもう一切疑ってはいない。
安心してもらえるように、翔は笑った。
「はい!昨日ちゃんと聞きましたから、疑ってませんよ」
Kyoyaさんがほっとした顔をする。
「昨日?」とりつさんが首を傾げた。
「昨日事務所で会ったんだよ。プレゼント届いてるって連絡あったから。」
翔が話す前にKyoyaさんがそう言い、なるほどと皆さんがうなずく。
そうこうしている間に、ドアがノックされスタッフに呼ばれる。
全員楽器を担ぎ、スタジオへ向かった。
この日が、Chronicle Growthのマネージャーとしての初仕事になる。Chronicle Growthのメンバーは、全員都内ではなく隣の港町に住んでいる。翔が住んでいる社長の家からは距離があるが、メンバー同士の家は結構近くにあるようだ。
社長の二台目らしいミニバンに乗り、最初に来たのは、重たいドラムを乗せなければならないりつさんの家。りつさんは実家暮らしで、MASATOさんも同居しているらしい。
大きな一軒家の前に車を停め、インターホンを鳴らす。表札には「乙部」と書かれているが、りつさんの苗字は乙部なのだろうか。
少しして、女性の声で「はい」と聞こえた。
「おはようございます。Chronicle Growthのマネージャーの高木翔です」
『ああ、ちょっと待っててくださいね』
インターホンの声が途切れ、家の中からドタドタと音が聞こえる。
しばらくして、玄関のドアが勢いよく開いた。
「かけるっちー!おはよう!!」
りつさんが元気よく飛び出してくる。続いてMASATOさんも現れ、軽く会釈した。
りつさんはドアを開いた状態で固定し、玄関先に置いていたドラムセットに手をかける。重いだろうから手伝おうとしたのだが、りつさんはそれを軽々と持ち上げた。
「かけるっち、車開けて―」
「え、あ、はい!」
慌てて車の方に行き、トランクを開ける。りつさんはそこにドラムセットを置くと、MASATOさんからベースを受け取り、倒れないように上手く乗せる。
MASATOさんがトランクを閉め、二人は六人乗りの後ろの席に座った。翔が手を出す暇もないほど、一瞬の出来事だった。
少々呆気に取られたが、気を取り直して、Koheiさんの家に向かった。
Koheiさんの家は二階建てのアパートで、クロユリさんも同居しているらしい。二人が妙に仲がいいという噂は聞いていたが、同居しているからだったようだ。
少々年季を感じるアパートの前につくと、既にKoheiさんとクロユリさんが外で待っていた。
翔はその前に車を停め、急いで運転席を降りるが、その間にKoheiさんたちは車の後ろに回り、トランクを開けていた。
「おはようございます!」
「おはようございます。クロユリ、ギター貸して」
「ん……」
Koheiさんは自分のキーボードを手早くトランクに入れると、少々眠たそうなクロユリさんからギターを受け取り、これまた慣れた手つきで倒れないように上手く入れる。またも翔の出番はなく、Koheiさんはトランクを閉めた。
Koheiさんたちは真ん中の列に座り、Koheiさんがクロユリさんのシートベルトを締める。
「クロユリさん、眠そうですね」
そう言うと、自分のシートベルトを閉めようとしていたKoheiさんが申し訳なさそうに笑う。
「ちょっと寝不足なんです。すみません」
すると、後ろに座っているりつさんが、少し体を乗り出してにやにやと笑う。
「ちょっと~。寝不足になるほど何してたの~?」
「普通に練習してたんだよ」
Koheiさんは少々不機嫌そうに返す。一体りつさんはどういう意味で聞いたのだろう。よくわからないが、翔が車を発進させる頃には、クロユリさんは眠りに落ちていた。
最後に、Kyoyaさんの家に向かう。Koheiさんの家からKyoyaさんの家は徒歩でも十分程度で、車だと本当にあっという間だ。
マンションの前に車を停め、エントランスのインターホンを押す。
『はい』
「おはようございます!高木です!」
『おはようございます。今下りますね』
通話が切れ、しばらくするとKyoyaさんが下りてくる。細身の黒いコートを着て、ギターを背負うその姿は、どこのセレブかと思うほどかっこいい。
「おはようございます」
うっかり見とれてしまったが、声を掛けられてハッとする。
「お、おはようございます!!!」
「朝から元気ですね」
にっこりと微笑みかけられ、なんとなく気恥ずかしくなる。
翔が車のトランクを開けると、Kyoyaさんは空いたところに上手くギターを滑り込ませる。というか、そのためにわざとスペースを空けていたのだろう。手早い作業に感心してしまった。
翔が運転席、Kyoyaさんが助手席に同時に乗り込む。後ろから皆がKyoyaさんに「おはよう」と声を掛けた。
「はよ。クロ寝てんの?」
「寝不足なんだって~」
Kyoyaさんの問いに、またもやりつさんがにやにやと答える。
「へぇ~」と、Kyoyaさんもりつさんと同じようににやにやとする。
「本当に昨日はしてないからな」
怒り気味にKoheiさんがそう言うと、「昨日は」と、りつさんが「は」を強調するように言う。
メンバーの中ではそれだけで話が通じているようだが、翔にはさっぱりわからず、しかし特に突っ込まずに車を発進させた。
目的地は都内のテレビ局。生放送の音楽番組の収録で、午前中にリハーサルがある。
結構距離があるので、りつさんとMASATOさんは車内で朝食を取っている。
KyoyaさんとKoheiさんは今日披露する曲の話をしていて、その表情は非常に真剣だ。
いつも同じように演奏して見えるが、毎回思いがあって演奏している。そのことがよくわかって、翔は改めて、このグループが好きだと思った。
渋滞もなく、都内のスタジオにたどり着く。車のまま受付を通過し、建物内の駐車場に車を停める。
Koheiさんがクロユリさんを起こしている間に、他のメンバーで楽器を車から運び出す。
それぞれ楽器を持って、楽屋に向かう。通り過ぎる人たちに挨拶をしながら、目的地にたどり着き、扉を開ける。
楽器を置き、時間を確認すれば、まだまだリハーサルまでは時間がある。
翔は特にやることはないが、楽器の確認をしている皆さんの楽器の音色や、話し声を聞いているだけで結構楽しい。
お茶を飲んでいたら、不意にKyoyaさんと目が合った。
にっこりと微笑まれ、翔もつられて笑う。
いつ見ても綺麗な顔だな、なんてぼーっと考えていたら、りつさんが不思議そうな顔をした。
「来るときも思ったけど、きょうちゃんとかけるっち仲直りしたの?」
きょうちゃんとは、Kyoyaさんのことだろう。りつさんの言葉を聞いて、クロユリさんとKoheiさんも一緒にうなずく。
「相当根に持ってたのになー」
Koheiさんがそう言えば、Kyoyaさんは大きなため息を吐いた。
「別に根に持ってない。ちゃんと謝ったよ」
りつさんが「え~?」と楽しそうに笑う。
「根に持ってたじゃん。帰りずーっと機嫌悪かったしさ~。僕が、泣いてるのって?って聞いたら、すんごい怖い顔で睨んできたし~」
「大人げない」
クロユリさんもりつさんに賛同する。MASATOさんとKoheiさんもうなずいた。
Kyoyaさんは苦々しい顔をしていたが、翔の方を見ると、うかがうように眉を下げた。
「本当に根に持ってませんからね……?」
そんな心配そうな顔をしなくても、翔はもう一切疑ってはいない。
安心してもらえるように、翔は笑った。
「はい!昨日ちゃんと聞きましたから、疑ってませんよ」
Kyoyaさんがほっとした顔をする。
「昨日?」とりつさんが首を傾げた。
「昨日事務所で会ったんだよ。プレゼント届いてるって連絡あったから。」
翔が話す前にKyoyaさんがそう言い、なるほどと皆さんがうなずく。
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