21 / 97
一章
第21話 奴隷達の目標
しおりを挟む「最後は俺か。俺はゴロウ・ヤマダ、17歳だ。皆には快適に暮らせるよう衣食住を保証する。それと色々学べる場があった方が良いから勉学や魔法、農業等を教えようと思っている」
これは一応聞いておいた方がいいか……。
「それで君達に聞きたいことがある。皆は奴隷ではなくなったわけだが、今直ぐもしくは、将来的にここを出て自分の道を進みたい子は手を上げて欲しい」
即座にヒオリ、ティアニー、アストレナが手を上げた。続けてレモニカとヒルデビアが手を上げる。一呼吸置いてラウラ、犬のモモ、狐のフォンが手を上げて、少し遅れてだるそうに猫のタマが小さく手を上げた。
手を挙げなかったのは兎のココノとヴァンパイアのウィスタシア。
「ココノは明日家に帰るんだよな?」
「うん。ココノん早くおうちに帰りたいの……」
ウィスタシアは国に帰ってもらうから……。つまり、全員出ていくってことか!!
まぁそれならそれでいいか……。俺の寿命は長い。こいつ等を自立できるまで育てたら、またのんびり女探しをしよう。
「私もいつかふらっと出ていくかもな。まぁ行く宛はないがな。ところでお前、何故私達を買ったんだ?」
ヤリ目だけど?
オブラートに言うなら嫁探し?ただ、これから出ていく奴等にそんなこと言っても虚しいだけだな。
適当に何か言っておこう。
「実験だよ」
「「「「 実験? 」」」」
「ああ、俺が君達に最高の教育を施し、皆が国に戻って、この腐りきった世の中がどう変わるのか見てみたかったんだ」
「つまり、あんたは世の中を変えたいってこと?」
ティアニー聞かれた。
「それは違うな。世界を変えたいか変えたくないかを判断するのは君達だ。俺は知識や技術の提供と皆がやりたいことをサポートするだけだ」
「私は変えたい、クロイセンを。朝から晩まで死にそうになるまで働いているのに、今日食べる芋を買えない国なんて絶対におかしいもの!」
「そう思うなら、それが叶う力をティアニーに与える」
「おのー、ゴロウさん、あたし商人になりたいんだ。あたしにできるかな?」
とモモが言う。
「なら勉強しないとな。教えてやるよ」
「ボクは冒険者になって、捜し物をしたいかな。その為に強くなりたい。だから魔法を教えて欲しい」
「もちろん教えてやる」
「そ、某にも剣術を教えていただけないでしょうか!?」
「アカシックレコードに記録された世界最強の剣技を教えよう」
「おおー!」
「他の皆もここで学びたいことがあれば協力は惜しまない。ただし、さっきも言ったけど、俺はこの世界になるべく関わらないように生きている。だからここから出て色々協力してやることはできない」
とその時、料理担当のゴロウズが顔を出した。
「できたけど、運んでいいか?」
「ああ、頼む。あとは食事しながら話そう」
ゴロウズが俺達12人が座る座敷テーブルに手をかざすとテーブルの上全体が白く輝き、全員分の料理が出現した。
異次元倉庫内で予め用意しておいて、それを出現させたのだ。
「「「「「「えーっ!?」」」」」」
「わわわわけがわからないです!」
「ボク、夢を見てるのかな……」
「美味しそうですわ……美味しそうなのですが……」
「本当に不思議なことばかりです」
「あの~ゴロウさん、さっきも商会で何も無いところに服とか料理がポンポン出たけどどうなってるの?」
「モモ殿、妖術ですよ妖術。それより早く食べましょう!なんと美味しそうなのでしょう!某涎が……じゅる」
「空間操作系の魔法だろう。魔力光と術式を見るに先程、我々がここに転移した魔法と同じ類のものだな」
やはりヴァンパイア族は魔法に強いな。
「ウィスタシア、その通りだ。空間、時間、次元に干渉する魔法だよ。商会からここに転移するときも別の次元を通過している」
皆料理に刮目して話を聞いていないな。
「取り敢えず食べよう!作りたてだから冷めないうちに。一応うちでは食べる前に『いただきます』と言う決まりになっている。俺が言うから皆も続けて言ってくれ」
「「「いただきます?」」」
「こっちの世界では言わない言葉だけど、俺がいた世界では食材の命に感謝と敬意を込めてそう言うんだ。うちで食事するときはこのルールは守ってもらう。じゃぁいくぞ、俺が言った後、皆も言ってくれ」
俺は一呼吸置いてから落ち着いた声で言う。
「いただきます」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
17
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる