勇者パーティーの賢者、女奴隷を買って無人島でスローライフする

黒須

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一章

第32話 奴隷が増えた!

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 大切な話?いったいなんだろう?まぁ俺には関係ないか……。

「あら、どんなお話かしら?ウィスタ、話してちょうだい」

 ヨハンナさんが優しい声で問いかける。

「私は暫くゴロウの家で農業や魔法を勉強したいのです。彼は学びたいことがあれば教えてくれると言ってくれました。家を出る許可を頂けないでしょうか?」

「ダメだ」

「あなた、ウィスタが我儘を言うことなんてないのだから、ちゃんと聞いてあげなきゃ」

「だってさ、おまえ、あの良い子だったウィスタが男と同棲だよ!?」

「あら、素敵じゃない。ふふっ、わたしは良いと思うわよ。ゴロウちゃんはどうかしら?」

 ウィスタシア、うちで勉強したいのか……まぁ実際に作物を弄りながら教えた方が効率は良いかもしれないな。

「俺は構いませんよ」

「ふふっ、よかったわね、ウィスタ」

「はい……」

 ウィスタシアは頬染めて微笑む。それを見たアルベルトが悔しそうに親指の爪を噛んで。

「ぐぬぬ!ウィスタに何かあったら僕も君の家に住むからねっ。ははははっ!」

 領地経営より娘を優先すんのかよ!

「でも、この場合、農業はどうなるのかしら、ゴロウちゃん?」
「そうだー!そうだー!」

「始めは荒地や森の開墾かいこん、道、水路の整備から始めます……。それが終わってから本格的に種蒔き……、ただそうなると、来いゴロウズ!」

 異次元倉庫から俺の周りに30体のゴロウズ達がズズズっとゆっくり出現する。
 彼等は異次元倉庫にストックしている個体で繁忙期の増員用。ストックまだまだたくさんある。
 貸し出すゴロウズは1体で良いと思ってたけど、30体くらいいた方が開墾作業は早く進んでウィスタシアも早く実家に帰れるだろう。

「ゴロウ君、これはなんだい?」

「ゴロウズといって俺の分身体です。彼等に任せれば早く終わりますよ。それとドクバックの記憶を見てご存知だとは思いますが、現在ヴォグマン領では大飢饉が起こり民は飢えています」

「知っているよ。他の大六天魔卿に協力を要請したいところだけど、戦争の負債が響いて他も厳しいようだね。困ったな……」

 すると隅で大人しくしていた。赤いドレスを着た少女が話しに入ってきた。
 
「芋がなければケーキを食べれば良いじゃない?あはははっw」

 なんだこのブルジョアは?
 まぁウィスタシアの歴史を見て知っているがな。

 彼女はウィスタシアの妹で歳は16歳。ただし約4年間、回廊魔石に封印されていたから体は12歳のまま成長が止まっている。髪はショートヘアで顔はウィスタシアに似ているが、目尻がキリっとしたウィスタシアとは対照的で彼女の目尻はおっとりした感じ。

「シャルロット、芋がなければケーキは作れないのだぞ」

「冗談もわからないなんてぇ~お姉ちゃんってほんと堅物ぅうぅ~。そんなんじゃ彼氏に嫌われちゃうよっ?www」

「なっ!彼氏じゃない!い、今は……」

「今は?ふーん?じゃあシャルが奪っちゃおっかなぁ~www」

 とシャルロットは邪悪な笑みを浮かべる。
 なんだこのメスガキ欲しがり妹は!?

「おほん、シャル、今はゴロウ君と大事な話をしている。静かにしてくれないか?」

「はーい♪」

 アルベルトは溜息を吐いてから。

「すまないね」

「いえ。それで食料を少しお貸しますので、領民に上手く分配してください。それと開墾の終わった土地から順に、成長の速い作物を植えていきましょう」

 家畜飼料の米、麦、モロコシ、ガボチャ等がかなり余っているからそれを貸し出して、ヴォグマン領の生活が安定してきたら返してもらう。代わりに木材を貰ってもいいな。
 とにかく領民に食わせないと体が動かない。ゴロウズは手伝うが実際に仕事するのは領民だ。

「援助してくれるのは助かるな。よろしく頼むよ」
「ゴロウちゃん、私からもお願いするわ。ウィスタシアのこともよろしくね」

「では、こちらも契約書を作成しておきます」

「ふっ、そうしてくれ」

 まさかウィスタシアが暫く残ることになるとは思わなかったが、まぁいいか。
 これで全て終わり。帰ろう。

「ウィスタシアに何かあったら承知しないよ。わかっていると思うけど」

「わかってますよ。大切にします。それじゃあとはゴロウズに任せて俺は帰ります。ウィスタシア行こうか」

「ああ。……父上、母上行って参ります」

「僕は反対だからね!」
「ウィスタ、行ってらっしゃい」

 俺が転移魔法を発動させると。

「ゴロウ元気でな!たまには遊びに来いよ!」
「ゴロウ、またお姉さんと遊んでね~」
「ゴロウ殿、お達者で」
「がっはははは!ゴロウまた会おう」

 ヴァンパイアの皆から手を振られた。
 そして――。

「えっ!?」

 シャルロットが俺に抱き着く。

「パパママ、シャルも行ってきまーす♪」

「「「「「えええええええええええ!?」」」」」

 転移魔法は無事発動し俺達3人はセブンランドの俺の部屋に転移するのであった。




 ~~~ おまけ① ~~~

 俺の部屋にて。
 シャルロットが俺に抱き着いたまま転移してしまった。

「すごーーーーいっ!!これって神代魔法の転移魔法でしょ」
「あのな、シャルロット、何故ついてきた?」
「だってぇ~、面白そうなんだもーん」
 とシャルロットは俺の胸にギュッと抱き着く。

「ゴロウが迷惑だろう」
「ゴロウさんはぁ~、シャルがいたら……嫌?」
 とあざとい困り顔の上目遣いで俺を見詰めてくる。

 困ったメスガキだな。

「ふん、迷惑ではないがアルベルトさんが心配するだろう。今聞いてみるから、帰ってこいと言ったら今すぐ送り返すぞ」

 で、ゴロウズを使ってアルベルトに聞いてみた。すると。

「暫く俺の下で世間を見てこいって言ってるな……」

「やったぁぁあーー!これからよろしくね。お姉ちゃん、ゴロウ♡」

 こうして一人減る予定が、逆に一人増えてしまったのであった。チーン



 ~~~ おまけ② ~~~

 ゴロウズの見た目は体はシルバーの金属で頭はボーリング玉サイズの赤い魔石でできたゴーレム。それが声を出す。ゴロウと同じ声色を。

「アルベルトさん、シャルロットを送り返しましょうか?」

「これ喋るのかい!?それにさっきのは転移魔法だね。始祖様も使っていたな。君本当に凄いよ」

「いえ、大したことは……」

「……うん、シャルはとても我儘でね。少し世間を学んだ方が良いから、暫く君が預かってくれないかい?厳しくしてもらって構わないよ」

「……わかりました。俺、厳しくするのは得意ですから」

「そうかい。頼もしいね」

「ドクバックはどうしますか?」

「うちのウィスタを奴隷にしたんだ。今すぐ殺してやりたいがそうもいかない。このままだと死んでしまうし、暫く回廊魔石に封印しておくよ。あの中、肉体の時間は止るからね」



 回廊魔石にドクバックを封印し、この部屋にいたドクバックの兵や女を拘束してから、ヴァンパイア族、ゴロウズ一行は転移魔法でヴォグマンの城へ飛んだ。


 ゴロウズがアルベルトに尋ねる。

「先程お話しした食料を出したいのですが、倉庫はありますか?」

 城の外にある超巨大な倉庫内でゴロウズが異次元倉庫から穀物を出す。
 直ぐに倉庫はいっぱいになってしまった。

「凄いな。こんなにたくさんの食料を貸してくれるのかい?うちの領地は人口が少ないから、これだけあれば暫く持つね」

 驚くアルベルトやヴァンパイア族の皆にゴロウズは飄々と答える。

「これ、お貸する食料の十分の一ですよ?」

「「「「「えええええええええ!?」」」」」

「領民の皆さんに腹いっぱい食べてもらって、働いてもらいましょう」

 とゴロウズは明るい声で言うのであった。







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