60 / 97
二章
第60話 奴隷とR18映画鑑賞
しおりを挟む遺跡観光後は自宅の日本行き転移魔方陣の上に飛んで、日本に転移した瞬間渋谷駅へ飛んだ。
「こ、ここは……いったい!?」
「日本っていう生前俺がいた世界だよ」
駅前のスクランブル交差点に出現したのだが、周りにいた人達は一瞬俺達を見て、すぐに視線を戻し歩き去っていった。
都内の人は基本的に忙しいし他人に興味ないからね。
まだ時間がある。これからお昼を食べよう。
ビルや人混みに戸惑い、キョロキョロと周りを見るウィスタシアに俺は声を掛けた。
「ウィスタシア、こっちだ」
「あ、ああ、それにしても凄い人だな……。皆貴族なのか?全員上等な服を着ている」
「こっちじゃこれが普通なんだよ」
異世界では平民は貧しくて、毛皮とか藁で編んだ服を着ている。彼女がそう思うのも無理はないだろう。
「道も建物も全て1枚の岩でできている……あれは城なのか……」
「ビルって言うんだ。地面はアスファルトな。こっちじゃ普通だから」
「そうなのか……」
滅茶苦茶強張ってるな……。
鎌倉時代の人を連れてきたら、こんな感じになるのだろうな。
で、歩き出すと派手な格好をした少女に声を掛けられた。
『ちょっと待つっスよぉ~。お兄さぁ~~ん!』
女は俺にスマホを向けている。これ、撮影しているな……。
『自分、NouTuberで、たまこインタビューチャンネルってのやってるんスけど、知ってるスか?』
『知らんな。それ撮ってるだろ?』
『顔は映してないっス!』
『迷惑だから撮らないで。じゃ俺達行くところあるから』
で、歩き出すと女も付いてきて俺の横を歩く。スマホはしまってくれたが、聞いてもいないことをベラベラと喋ってくる。
『自分、まだ登録者1000人くらいなんで知らないッスよね~w。 ねぇねぇ、さっき突然現れたっスよね!めっちゃ凄いっス!ちょっとインタビューさせてくださいよ~!あれって手品っスかぁ!?』
こいつどこまで付いてくるんだ。
『魔法だよ魔法。俺、異世界人なんで』
『え?マジっスか!!最高っスね(笑)。つか、ちょッ!よく見たら彼女さん、めーーーっちゃ綺麗じゃないっスかぁーー!!えええええぇえええぇぇ!!コスプレっスか!超超超ちょぉーー可愛いぃ~!やっばぁ~~~ッ!』
「ゴロウ、こいつ何を言っている?」
ウィスタシアは日本語がわからない。
「付きまとわれて迷惑している」
「殺すか?」
「殺さない、殺さない」
『ええぇぇえぇ!!ちょ何語ぉ!?もしかしてロシア語でデレたんスかぁ~?』
あんたを殺すって言ったんだよな……。
異世界じゃ人の命が銀貨1枚より軽いなんてことがあるから注意しろよ。
さて、デートの邪魔だから消えてもらおう。
第五位階精神魔法、服従音吐!
『俺達の動画は削除して、あそこの電柱に1時間インタビューしてこい』
『了解っスぅ~!』
笑顔の女は舌をペロと出して、ウインクしながら敬礼すると電柱の元へ向かった。
スマホを弄っているからさっき撮影した動画は削除していることだろう。
一件落着だ。
◇
俺はウィスタシアを連れてカフェに入った。
「ここでお昼を食べる。メニューから好きなのを選んで」
「見事な絵だな……」
「写真っていうんだよ。ウィスタシアの好みだとコレとか、コレなんか好きじゃないか?」
俺はメニューの写真を指差していく。
「これがいい……」
「BLTサンドだな。飲み物はオレンジジュースでいいか?」
「うん」
俺は店員を呼んで注文を済ませた。
すると対面に座るウィスタシアは深刻な顔で口を開く。
「ゴロウ……」
「ん?」
「私にはわからないことだらけだ。こんなとんでもない世界があるなんて知らなかった……。ゴロウは何でも知っていて本当に凄いな……」
「俺なんてまだまだだよ。今日だって初めて女の子とデートだから、正直何をすれば君が喜んでくれるかわからなくて、いっぱいいっぱいになっているし……」
はっきり言って俺には女のことなど、さっぱりわからない!
「そ、それって、私のことをたくさん考えてくれているってことだよな?」
「恥ずかしい話、その通りだ。ずっとウィスタシアのことばかり考えてる……。流石にキモいよな……」
「そそそそんなことはないぞ……! ま、まぁ私はゴロウと一緒にいられたら何をしていても楽しいよ……」
「そう言ってくれると助かるよ……」
それから料理が運ばれてきてた。
食事中、目が合うと頬を染めた彼女はそっぽを向いてしまう。目を合わせてくれない。
さっきの俺の発言、キモかったか!?
◇
お昼を食べた後は個人経営の小さな映画館へ入った。
これから観るのはR18映画。
初デートで、例えばラブホに入って二人でずっとAVを見るのはどう考えても無し。それでR18映画でお茶を濁すことにした。
前回水晶で見た無修正裏ビデオと比べれば、ウィスタシアさん的に物足りないと思うが……!
映画館入場の際の身分証確認は〈服従音吐〉で何とかして、映画は日本語だから昨日レモニカに貸した翻訳イヤフォンをウィスタシアの耳に付けさせた。
翻訳イヤフォンの音は女性の機械音声を採用。
俺の声で女の喘ぎ声を再現してウィスタシアに聞かせるのは俺の精神崩壊に繋がる為、ゴロウズを駆使して今朝までに改良版を完成させた!!
映画は濡れ場の多い恋愛作品、「愛してる」と言い合いながら滅茶苦茶可舌を絡ませるディープキスシーンが5分くらい続いたり、全裸で激しく絡み合うベッドシーンも多くて、ただやるだけのAVよりエロかった!
最初こそ巨大スクリーンに驚いていたウィスタシアだが、彼女は終始夢中になって映画を観ていた。
感情移入しやすい性格なのか上映中、緊迫したシーンなると俺の手を握る彼女の手に力が入ったりしていた。
2時間の上映が終わり外に出ると辺りはすっかり真っ暗になっている。
「どうだった?」
「とても面白かったよ!ずっとドキドキしていた……。 なぁゴロウ。我が種族にキスという習慣はないが、ゴロウはしたことあるの?……キス」
「ないよ」
「ふ、ふーん。そ、そうか……」
つか、女と手を繋いだのも今日が初めてだし!因みに子供はノーカウントね。
時刻は20時。
こっちの世界と異世界では約4時間半、時間がズレている。
異世界では今15時半頃だ。
17時に家に帰るからあと1時間半、二人で過ごせるわけか。
俺達はビルの物陰から東京湾沿いにある綺麗な夜景が見える海の公園へ転移した。
夜になるとカップルがイチャイチャすることで有名なスポットだ……!
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる