勇者パーティーの賢者、女奴隷を買って無人島でスローライフする

黒須

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二章

第88話 奴隷とクロマグロ

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 それから俺は3人に、アズダールの現状とそれを踏まえた上で早急にやらなければならないことを伝えた。そして、アズダールの国王を操った犯人の情報も話した。

 その後、モモと、ついでにモモと一緒に教室で学習していたティアニーを呼んで、6人で今後つくる商会の構想を話し合った。

「ウィスタシアさんも協力してくれるし、あたしこのメンバーならいけると思う!絶対に成功させよう!」

 笑顔でそう言うモモに、アズダールの3人は真剣な顔で頷く。



 一方その頃――。

 沖堤防で釣りをするココノ、フォン、ウィスタシアをゴロウズおれは眺めていた。

「えいっなのぉーーっ!」

 ココノがルアーを投げる。

「おおー!ココノは非力なのに私より遠くに飛ぶな」

 驚くウィスタシアにココノはエヘン顔で答える。

「重力と竿のしなりを利用して投げるから力はいらないの!ウィスタシアも頑張るの!」

「ああ、私も実家に魚を送りたいから頑張るよ!」

 するとココノの竿に。

「掛かったの!大きいのっ!ココノん、運動神経5だから無理なのぉおおおー!」

「ココノ!」

 海に引きずられるココノの背後にウィスタシアが回りココノの腰を引っ張る。

「くっ、なんてパワーだ!」
「のおおおおおおおっ!ウィスタシアの運動神経は8だから、ココノんと足して13だけど無理なのぉー!」

 運動神経の数値はココノ達キッズが勝手に言っている数字だ。
 俺は二人に声を掛ける。

「代わろうか?」

 すると大急ぎで駆けつけたフォンがココノの竿に手を掛けた。

「アッチが釣る!ゴロウは見てて!」
「頼んだのん!」
「フォン、任せた!」

 皆に自分で考える力や自主性を身につけてもらう為に、俺は基本的に口出しや手伝いをしない約束をしている。
 でも危なくなったら助けよう。

 ココノから託されたフォンが馬鹿力で竿を立てた!

「うりゃぁああああああ!」

「フォンの運動神経は62だからいけるの!」
「私達もフォンを引っ張ろう!3人の運動神経を足せば73になる!より強力になる筈だ!」

 ウィスタシア、真面目な顔で言ってるけど5+8+62=75だぞ!
 必死に竿を引くフォンもウィスタシアの計算ミスに気付いたようだ!

「違うよ、ウィスタシア!81だよっ!」

「75なのぉーーっ!!」

「「えっ!?」」

「とにかくフォンを手伝うの!」
「ああ、そうだな!」

「すっごい力!でも負けないよぉー!おりゃあああーーっ!」

 フォンがリールを巻き、ココノとウィスタシアがフォンを支える。

 30分くらい格闘していると魚体が浮いてきた。

「おおー!凄い!クロマグロだぞ!」

 沖からクロマグロが釣れるのは珍しい。しかも2メートル近くあるから150キロはありそうだぞ。
 びっくりする俺にフォンが叫ぶ。

「ゴロウ!網ですくって!」
「大き過ぎて入らないの!でも逃がしたくないの!ゴロウ!」
「ゴロウ、頼む!もう腰が限界だ」

 やっと頼ってもらえた。

「大丈夫だ」

 俺は転移魔法でクロマグロを堤防の上に移動たせた。
 陸に上がったマグロがビチビチと体を振って暴れている。

「「「やっっったぁあああああ!」」」

「おっきぃー!」
「凄く太いの!」

 3人とも大喜びだ。フォンとココノが嬉しくてピョンピョン飛び跳ねている。キッズは元気だなぁ。

「ああ、こんなに大きいとは思わなかったよ」

 ウィスタシアは手で腰を抑えて笑顔だけど、しんどい顔をしているな。
 やられまくった女がこんな顔をしているのを薄い本で見たことがある……。

「早速血抜きして今夜は刺身にしよう。それとこんなに食べ切れないからアルベルトに少しお裾分けしてやるか。ココノ、フォンいいか?」

「もちろんだよ!にひひひひ!」
「ウィスタシアのお父さんにも食べてもらいたいの!」

「すまないな……、ありがとう……」

 こうして、皆笑って釣りを終えるのであった。





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