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第6章:変わらない心
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しおりを挟む「先生は、体が密着していたほうが安心しますか?」
「んっ、そ、そうかもしれません……」
「押し倒されるのは怖い?」
「少し、怖くなるかも……? でも小公爵様になら、大丈夫かも……」
「ではいつか試してみましょう。今日は私に抱きついたままで」
エヴァルトは深侑の頬にキスを落としながら、ガウンの中に入れた手を滑らせる。桃のように丸みを帯びているそこを撫でられ、下着の縁を指先でカリッと引っ掻かれた。
「ぁっ、そ、そこは……!」
「どんな感じがしますか? 先生が嫌がることはしたくないので、教えてください」
「うう……っ。腰がぞわぞわして、変な感じです……」
「なるほど。快感に変わる手前ですね」
「ひぁっ」
下着の上から敏感な部分を指先でとんとんタップされ、ぐっと押し込まれる。驚いて腰が引けた深侑の細い腰をしっかり支えたエヴァルトは、先日からよく触れるようになった胸の突起を口に含んだ。
「や、ま、待って! 両方はダメ……っ」
「大丈夫です、先生。私から与えられる快感だけを拾ってください」
「えゔぁるとさま、ぁ……!」
秘部を触っていたエヴァルトの手はいつの間にか前に移動していて、下着の中で反り立つ深侑の性器を大きな手で包み込んだ。
「まって、だめ、だめだめだめ……!」
「駄目じゃないから、先生……体も心も素直になってみてください」
「ふぁー……っ」
あまりに強い刺激に深侑の視界にはチカチカと火花が散って、それと同時にエヴァルトの手の中に精を吐き出した感覚を覚える。やってしまったと瞬時に後悔したが、エヴァルトから「いい子でしたね」と顔中に口付けられ、深い口付けまでされると羞恥心も消え失せた。
「あ、あの、あの、しょうこうしゃくさま……」
「ん……? どうしました?」
「俺も、小公爵様の……したいです」
「え?」
深侑がおずおずとエヴァルトの足の間に身をかがめ、膨らんでいるそこを撫でる。ごくり、生唾を飲み込む音が頭上からしたので顔を上げると、欲情的な表情のエヴァルトと目が合った。
「いや、いやいや、待ってください。先生はそんなことはしなくていいですから!」
「どうしてですか? 俺も小公爵様にしてあげたい、のに……」
してもらうばかりでは嫌なのだと、上目遣いでそう告げるとエヴァルトは眉間に皺を寄せて「……無理だと思ったらすぐにやめてくださいよ……?」と言いながら了承した。
深侑はこくこく頷いて、寝巻きのズボンにそっと手をかける。少しずらすと、自分のものより大きさのあるエヴァルトの性器が現れて目を丸くした。
「お、おっきい……」
「あの、嬉しいですが本当に無理しないでください……」
「だ、だいじょうぶです!」
何が大丈夫なのか自分でも分からなかったが、深侑は謎の自信でエヴァルトに奉仕する覚悟を決めた。自分も男なのでどういうポイントが気持ちいいのか、どうされたら気持ちいいのかは分かっているつもりだ。
潤滑剤がないので自分の唾液をたらりと垂らし、傷をつけないように弱々しく手を上下に動かしてみる。「んん……」とくぐもった声が上から聞こえてきたので、エヴァルトにとって悪くはないことが分かった。
「あ、コラ、先生……ッ!」
「んむ……」
深侑は思わず、先端をぺろりと舐めたあと口に含んだ。こんなことを自主的にしたことはないが、エヴァルトを気持ちよくしたいという一心で口内に迎え入れる。
わざと深侑がしているわけではないが、深い口付けをしている時よりも激しく卑猥な音が部屋の中に響いて、その音を出している張本人のほうが恥ずかしさに顔を赤くさせた。
「んっ、先生、そこまでしなくてもいいですから!」
「んむむ」
「咥えながら喋らないでください!」
「ぷぁ……だって、小公爵様の、舐めたいって思ってしまって……だめ、でしたか?」
「……っは~~~ッ、もう、好きにしてください……」
「じゃ、じゃあ、続きやってみます!」
「本当に……何事も経験ですね、“先生”」
エヴァルトからお許しが出たので、深侑は嬉々として続けた。血管が浮き出ている大きいそれを一気に含むことはできないが、手淫も混ぜながら舌で愛撫していく。時折びくっと跳ねるのでエヴァルトも絶頂が近いのかと思い、口に含みながらちらりと深侑が顔を上げると、深侑の体のほうがびくっと震えてしまった。
「……ッ先生」
苦しそうな低い声で深侑を呼び、眉をひそめて快感に耐えているエヴァルトと目が合うと深侑の心は何とも言えない感情に支配された。
「達しそうです……離して、いただけます、か……!」
「んん……」
「先生? せんせ、……ミユ! 本当にこのままでは出てしまうので、離してください!」
「んむっ」
「離しません、じゃないです! さすがにあなたの口の中になんて……ッ」
深侑がじゅっと一層強く吸うと、口の中でどくんっと跳ねた。正直、美味しいとは言えないものが口の中いっぱいに広がったがエヴァルトを離さなかったのは自分なので、こくりとそれを嚥下した。
「も、もしかして飲んだんですか!?」
「はい……飲めました」
「飲めました、じゃないですよ! ああもう、こんなことをする予定はなかったのに!」
エヴァルトが吐き出したものをすっかり飲んでしまった深侑の身を案じ、ベッドサイドに置いていた水を無理やり飲ませた。
性的な行為にトラウマがあってパニック状態になった人と同一人物とは思えないほど積極的に口淫をした深侑をエヴァルトは優しく抱きしめ、ぐりぐりと額を押し付けた。
「……あまり頑張りすぎないでください、先生」
「へ?」
「それで嫌われたらと思うと、さすがに堪えます……」
「自分からしたいって言ったんですから、小公爵を嫌いになる理由にはならないと思いますが……」
「はぁ、全く……あなたには敵いませんよ、ミユ」
気を許しているのはお互いだからだと再認識した甘い夜だったが、その翌日に地獄に落とされるとは二人とも想像していなかった。
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