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第一章 大迷宮クレバス
38話 賢者との別れの時
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リイヴの住まう大迷宮クレバス最終100階層で過ごすようになってから一ヶ月が経過しようとしていた。
どうして懐中時計が壊れているのに正確な時間が把握できるのか?
その理由は100階層の天井に埋まっている巨大な二つの魔晄石のお陰だった。
右の少し赤みがかった魔晄石が太陽、左の黄色がかった魔晄石が月の役割らしい。時間によってどちらか片方が発光して擬似的に迷宮内で朝、昼、夜を演出してくれる。そのお陰で久しぶりに地上に居るような感覚で過ごすことが出来て、時間が何となくだが把握出来た。
ここ一ヶ月はとにかく充実した日々だった。
毎日ふかふかのベットで起きて、カルミナティの美味し朝ごはんを食べる。昼間は水辺でリイヴとカルミナティの紅茶とお菓子を囲みながら様々な会話をして日向ぼっこをする。それが終わって夜になればカルミナティの美味し夜ご飯を食べて眠りにく。たまにカルミナティと手合わせをしたりしなかったりをひていたらこんなに時間が経っていた。
「本当にお世話になりました」
「ああ。達者でな」
今日はそんな日々に別れを告げなければいけない日である。
正直、毎日が充実し快適すぎて少し長居をしすぎた。もう少しここでゆっくりしていきたい気持ちもあるが、十分に傷も癒えたしそろそろ外に戻らなければいけない。
上に待たせている人がいる。
戻らなければ本当に忘れ去られてしまう。早く帰って生きてる事を知らせなければ。
「ファイク殿。こちら帰る時のお弁当とラーナの好きなお菓子の詰め合わせです。よろしければ持っていってください」
「おお! ありがとうカルミナティ、助かるよ」
「キュキュィ!」
フリルがあしらわれた白いエプロンを身につけて小屋から出てきたカルミナティが風呂敷に包んだ大きめの弁当を手渡してくる。
なんともミスマッチな格好のカルミナティだが、これでいて料理の腕は超一級品だ。こいつの料理がもう食べられないと思うとかなり心惜しい。
「これからのご活躍を願っております」
「ありがとう。そっちも色々と頑張れよ」
「ありがとうございます」
貰った弁当を影の中に入れてカルミナティと硬い握手を交わす。
腕を斬られたり、木端微塵に殺したりと出会いは最悪だったが、この一ヶ月でカルミナティとは随分と打ち解けた。
もうかなり古くからつるんでいるマブダチなのではと思ってしまうほどだ。モンスターだが。
「うん。二人が仲良くなってくれて私も嬉しいよ。カルミナティや私にとって滅多に……いやもう二度と来ない客人だ。ここ一ヶ月はとても楽しかったよ。本当にありがとう」
「そんなこちらこそありがとうございます。色々と貴重なお話や、役立つ知識を聞けて楽しかったです。それにこんな装備まで貰ってしまって……本当にいいんですか?」
身に纏ったどう見ても高価そうな装備に申し訳ない気分になってくる。
今俺が装備している防具は以前適当な武具やで買った耐性付きの紺色のジャケットやその下の胸当て、黒ズボン、ブーツではなく。リイヴが物置小屋の奥底に眠らせていた防具一式だ。今まで使っていた防具は今回の迷宮攻略で既にボロボロになり使い物にならなくなってしまった。
それを見かねたリイヴが装備を譲ってくれたのだ。
それがなんともまあド肝を抜く性能をしていた。
全魔法属性耐性と斬撃打撃の耐性も付いた暗い灰色のフード付きローブコートに、同じ耐性付きの黒いスラックス、移動速度と疲労軽減が付いたブーツと見た目も去ることながら性能も一級品の装備だったのだ。
こんなの迷宮都市は疎か王都にある腕利きの鍛冶屋でもお目にかかることの出来ない防具だ。いやらしい話になってしまうが金額にしてみればとんでもない額になってしまうだろう。
それを譲ってもらうのは気が引けてくる。
「ああ、構わないよ。それは元々スカーの物だからね。持ち主……ひいてはその弟子に返すだけさ」
しかし俺のそんな気持ちを他所にリイヴは平然と頷く。
……というか──
「え。これスカーの物だったんですか?」
「そうだよ」
──どうしてスカーの防具一式をリイヴが持っているのだろうか?
「……どうしてリイヴさんが?」
一体どんな理由でリイヴがスカーの防具を持っているというのだろうか。
単純な好奇心で目の前のエルフに質問をしてみる。
「いつだったか……そうだ、確かあれはスカーがまだファイク君と同じ……いや二つ、三つほど歳が上だった頃──」
「──ッ!? おいリイヴ! その話はやめろ!!」
突然慌てた様子でスカーがリイヴの言葉を遮るがそれでも彼女は止まらない。
「彼と交合した時に忘れていったものをずっと保管していたのさ」
「……」
「交合って……交合?」
「ああセッ〇スだよ」
「ぶふっ!?」
何の気恥しや迷いを感じさせずリイヴが言い放つ。
え!!二人ってそういう間柄だったの!?
トンデモ発言に脳内は混乱する。
「おや、ファイク君には少し刺激が強すぎたかな? しかし、君も成人したいい大人なのだろう? これぐらいの事で動揺しては先が思いやられるな」
イタズラが成功した幼子のような得意げなリイヴの笑み。
「……魔法にしか興味がないと思ってたけどヤルことはヤッてたんだなスカー……」
「おい、そこで俺に話を振るな」
それに俺は何も言い返せず、逃げるようにスカーにぶん投げる。
「なんだいなんだい、スカーまで恥ずかしがっちゃって。悲しいなぁ、私の初めてを奪って於いて知らないフリをするんだねキミは?」
「クソっ。イキイキと楽しそうな顔をしやがって……」
悔しそうに呟くスカーに、リイヴはその実に楽しそうな笑みは深くなっていく。
何の気なしにした質問だったが、まさかこんなやぶ蛇が出てくるとは思わなんだ。こんな話、デリカシーのない陽キャじゃなければ太刀打ち出来ないだろ。
そんな事を心の中で吐いていると鶴の一声が掛る。
「……リイヴ様。あまり長話をするのはどうかと……」
その声の主は掃除に洗濯、料理、戦闘と何でもござれの執事モンスターのカルミナティだ。
「む。そうだな。スカーとファイク君の反応が童貞のソレで面白くてついいじってしまった」
「はあ……お二人が旅立たれて寂しいのは分かりますが程々にしてください」
反省の色が見えない主とそれを宥める従者。本当にいいコンビである。
動転していた気を落ち着かせる為に所在が顕になった装備を見るが、複雑な気分になる。
スカーが遠い昔に使っていた装備……サイズ感もピッタリだし、スカーの若い頃は背丈や体格は俺と対して変わらなかったのだろう。それがまた複雑さを増幅させる。
「さて、お巫山戯はこれくらいにしてだ。これからどうするつもりなんだい?」
今までの緩い雰囲気から一転。リイヴは表情を澄ます。
これから……彼女の質問は俺が今後の身の振り方をどうするのかと言ったものだった。
元々俺の目的は世界最強の魔法使い……世界に存在する大迷宮を全て踏破して、その知られざる謎を解き明かすことだ。まだ大迷宮の一つしか完全攻略していない。今後も世界の各地に存在する大迷宮を攻略するつもりでいたが、リイヴの話でそれを続けていいのか分からなくなってしまった。
スカーの目的達成もまだだ。「世界から魔法の消失を防ぐ」これは具体的にどうすればいいのか分からないままだが、取り敢えず元凶は今回のことで分かった。スカー達賢者の『知識』を独占しようとする各国の治者……奴らが原因で魔法技術は停滞して行った。
スカーがこの話を踏まえてどうするのか、まだ結論は出ていないが、仮に元凶を潰す方向性になったとしても、たかが人一人が大国を相手取ることなどできるわけが無い。元凶を潰す事になろうとも仲間は必要だ。例えば俺と同じ固有魔法を授かった同胞だとか……。
「そうですね。どうするにせよ、とりあえずは各国のお偉いさんたちの目に付かないようにひっそりと各大迷宮に行ってみようと思います。その間で色々と今後の目的を明確にしていければ良いかなと……俺とスカーだけじゃできることなんて限られてるし、リイヴさんの言う『運命』とやらを頼ってみます」
「そうか……本当は私も君たちの旅に同行出来れば良かったのだが、私にも色々とやらなければいけないのとがある。今はここを離れる事ができないんだ。すまないね」
「いいえ。気にしないでください。ここまでしてくれたんです。十分すぎますよ」
頭を下げるリイヴに慌てて顔を上げるように言う。
抹消された歴史の知識、賢者たちの知識、大迷宮の知識、魔法の知識、その他、数え切れないほどの知識をこの一ヶ月で彼女から貰った。それに譲ってもらった俺には不釣り合いすぎる装備たち。本当に十分すぎる。
「そう言って貰えると助かるよ。今すぐには難しいが、来たるるべき日には必ず君達の力になろう」
「はい。頼りにしてます」
誓いを立てるように胸に手を当てたリイヴに俺は頷く。
「じゃあもう行きます」
これ以上ここにいては決意が揺らぐ。それ程までにここでの暮らしは穏やかで充実していた。
俺は話を切り上げて別れの挨拶をする。
「うん。この湖を超えた奥に転移魔法陣が刻まれた台座がある。それを使えば転移された50階層に戻る事が出来る。そこからはいつも通り各階層を上れば帰れる」
湖の先にある小さな森を指さしてリイヴは上に戻る方法を改めて教えてくれる。
「……それではまた」
彼女の言葉に頷いて歩き出す。
「ファイク殿お元気で!」
「くれぐれも気をつけろよ」
背後から最後にそんな別れの言葉が聞こえて俺はそれに手を振って答える。
そうして俺は大迷宮クレバス最終100階層を後にした。
・
・
・
「あの……」
「ねえねえいいでしょアイリス? そろそろ一緒に迷宮に行ってくれてもいいじゃないサ~」
「……」
時刻はちょうど昼前。隣で溌剌とした太陽のように暖かい声がして、私の体を大きく揺らす。それに私は何も答えることが出来ない。
季節は巡り寒々しかった季節はいつの間にか何処かへと消えてしまった。
晩春の月、私は今日も彼の帰りを待っていた。
あの日からもう一年が経とうとしていた。目まぐるしく季節は変われど、彼は大迷宮からは出てきてはくれない。もう随分と見慣れた景色は一向に変わらない。
ただ彼が戻らないという事実だけが変わらず。その他の色々なことは変わってしまった。
例えば、最終50階層までが確認された大迷宮クレバスは国や探索者協会の度重なる厳重な調査を経て、正式に完全攻略が成されたと発表された。
一時は50階層以降の階層が存在するのではと言われていた大迷宮クレバスだが、50階層以降の階段の未確認、50階層のボスモンスターのリポップがされなかった、大きく分けてこの二つの要因で完全にそれ以上大迷宮には階層が存在しないと認定され、完全攻略となった。
それに付随するようにして一番最初に50階層へ到達し、ボスモンスターを倒したことになったマネギル率いるSランククラン『獰猛なる牙』は世界で初めて大迷宮を完全踏破した探索者クランとして、全世界から称えられることになった。
迷宮都市クレバスでは何日も彼らを祝福するパレードが行われ、マネギル達『獰猛なる牙』はメイジェンス王国国王ガルデオム・メイジェンス四世から直々に勲章を承ることになった。
これにより迷宮都市クレバスは更なる探索者や商人、観光客で賑わうことになる。完全攻略が成されたとは言え、大迷宮の資源はまだ尽きてはない。寧ろ、今が最高潮なのではと言われるほど大迷宮クレバスからは多くの財宝や魔導具が出土していた。
私の周りの物事がどんどん変化していく。
そんな感覚と共に私の時間は進む気配はない。しかしもう一度言うが私の周りは変化していく。
「そろそろ折れてくれてもいいんじゃナーイ?」
例えば、今こうして私に声をかけてきている女性。
名前をルルカ・アイルトン。確か歳の方は私の二つ上だと言っていたので19、茶髪のくせっ毛が可愛らしい女性だ。
三ヶ月ほど前にとある事をきっかけにこの広場で出会い、それ以来こうして私の事を怖がることなく近づくようになった。
「すみません……迷宮にはもう行けないんです。もしもう一度私があそこに足を踏み入れるとするなら──」
「──ファイクさんと一緒に。でしょ? もうそれは耳にタコができるくらい聞いたヨ」
私の次の言葉を奪って言ったルルカは苦笑する。
彼女も完全攻略が成された大迷宮クレバスのお零れに少しでも肖ろうと、別の迷宮都市から拠点をここに移してきた探索者の一人だった。
3人組のクラン『可憐なる狩人』のリーダーで、出会ってからこうして頻繁に私をクランに誘ってくる。
「はい。ですからすみません。ルルカさんのクランに入ることは出来ません」
「あーあー! 聞こえナーイ! 何か言ったアイリス!?」
「……」
駄々っ子のように耳を塞ぐルルカを私は見つめることしか出来ない。
彼女には申し訳ないが、私は他の誰かとあの大迷宮に入る気はあの時から微塵もなかった。
「そのアイリスの想い人は帰らなくなってから一年が経つんダロ? 出会ったばかりの私がこう言うのもなんだケド、そろそろ気持ちを切り替えて前を向かないト。いつまでもこうしてそのファイクとやらの帰りをここで待っている訳にもいかないダロ?」
「……」
ルルカの言っていることは正しい。
分かっていた。いつまでも現実から目を背けて、ここで日がな一日彼の帰りを待っていても何も変わらないことなんて。そんな事などとうの昔に分かっていた。
それでも私にはここで彼の帰りを待つことしか出来なかった。もう一度あそこに、彼との思い出がたくさんあるあの大迷宮に、彼の死に向き合うのが怖いのだ。
「私たちのクランはそんなに強いわけじゃないシ。せいぜい潜っても25階層までがいい所だから、丸々一年のブランクがあるアイリスでも問題なく探索できると思うヨ。良かったら今からでも一緒に探索しに行かナイ?」
優しく私の手を取り寄り添ってくれるルルカ。
彼女の申し出はとても嬉しかった。こうして素っ気ない態度で何度も誘いを断る私を、ルルカは気にした様子もなく明るく前向きに私の背中を押そうとしてくれている。
こんな私なんかに大事な迷宮に入る時間を削ってまで会いに来てくれて、こうして誘ってくれる彼女には感謝しかない。
けれど──
「すみません。やはり私は行くことができません」
──私はそれでも前に進むことが出来ない。
「……そっカ。毎回毎回無理言ってごめんネ。また日を改めさせてもらうヨ」
「申し訳ありません」
「イイヨイイヨ! 私が好きでやってる事だし……それに諦めるつもりも毛頭ないカラ! いつか絶対に探索しようネ!」
そう言って満面の笑みを浮かべるルルカに私は申し訳ない気持ちになってくる。
今の私ではどうやっても彼女の期待に答えることは出来ない。こんなにも誠実に私と向き合ってくれているのに、それに答えられない自分が嫌になってくる。
「お! やっぱり今日もここにいたねアイリスちゃん!」
そんな自己嫌悪に陥っていると正面から薄っぺらな男の声が聞こえてくる。
声のした方を見遣ればそこには半年前……まだ寒い季節の日に声を掛けてきた青髪の軽薄そうな男がいた。
「あっ! 何しに来たのさチャーロット! 残念ながらアイリスは今私と楽しくお話中だから暇じゃないよ!!」
声を掛けてきた軽薄男に私が反応する前に、威嚇するようなルルカの尖り声がする。
「チッ……なんだおチビなルルカもいたのか、小さすぎて気づかなかったぜ。なんだ? またしつこくアイリスちゃんをクランに誘ってたのか?」
「なんだト!? 私はチビじゃナイ! 目ん玉腐ってんのカッ!!」
「あーうるさいうるさい。そんな下品な言葉まで使っちゃって、アイリスちゃんにお前のその汚い言葉遣いが移ったらどう責任を取るつもりだ?、」
「かーっ! ムカツクッ! 今日という今日はボコボコにしてやるんだカラ!!」
隣に座っていたルルカは勢いよく立ち上がり軽薄男の方を睨む。
「ハッ! 高々Cランクの探索者がBランク探索者の俺に適うとでも?」
この男もルルカと同様に私に声を掛けてくる一人だ。よく食事やお茶のお誘いをしつこいぐらいにしてくる。
初めて声を掛けてきた時はそのしつこさから腹が立ち追い返してしまったが、その後も懲りずにこうして私に声をかけてくるようになった。
「たったの一つしか変わらないじゃないカ! 今日もコテンパンにしてやるヨ!!」
「言ってろチビ!」
いがみ合う二人はどんどん興奮していく。
そんな二人を見ながら思う。
本当に私の周りは変わってしまった。
昔ならばこうして私に声をかけてくれたのは彼ぐらいだったというのに、今は彼女らをきっかけに誰かに声をかけられることが増えた。
どんどん変わっていってしまう。私の知っているこの都市は私と彼を置いてどんどんその姿形を変えていく。
それが良い事か悪い事なのかは私からは何も言えない。
……ただ。
私の隣に彼が居ないのがどうしても、一年たった今でも納得いかなかった。
私に関係する目の前で起きていることがどうにも私には無関係の事にしか思えなかった。
「────ッ!!」
そんな虚ろな視界の中、依然として口論するルルカと軽薄男の隙間から大迷宮が見えた。
それは幻覚。気のせいだったのかもしれない。
「アイリス?」
「アイリスちゃん?」
突然ベンチから立ち上がった私を二人は不思議そうに見つめる。
もう一度しっかりとその目で大迷宮の方を見る。
「………ッ……ファイ……ク……さん……ッ!!」
その見覚えのある姿に自然と涙が込み上げてくる。
見間違いでもなければ幻覚でもない。その人影は確かに私がこの一年待ち続けた人のモノだ。
「!!」
「ちょっ。アイリス!?」
自然と体が動き出す。全速力でその人の元へと駆け出す。
それはずっとずっとずっとずっと、会いたかった最愛なる人。
私の走る速度はさらに跳ね上がる。涙で歪む視界の中、確実に彼との距離は縮まって行く。
あと数歩で彼の元へと着く。そう確信した瞬間に私は彼の胸へと飛び込んだ。
「ファイクさんッ!!!!」
「……アイリス?」
懐かしい私を呼ぶ声がする。
どうして懐中時計が壊れているのに正確な時間が把握できるのか?
その理由は100階層の天井に埋まっている巨大な二つの魔晄石のお陰だった。
右の少し赤みがかった魔晄石が太陽、左の黄色がかった魔晄石が月の役割らしい。時間によってどちらか片方が発光して擬似的に迷宮内で朝、昼、夜を演出してくれる。そのお陰で久しぶりに地上に居るような感覚で過ごすことが出来て、時間が何となくだが把握出来た。
ここ一ヶ月はとにかく充実した日々だった。
毎日ふかふかのベットで起きて、カルミナティの美味し朝ごはんを食べる。昼間は水辺でリイヴとカルミナティの紅茶とお菓子を囲みながら様々な会話をして日向ぼっこをする。それが終わって夜になればカルミナティの美味し夜ご飯を食べて眠りにく。たまにカルミナティと手合わせをしたりしなかったりをひていたらこんなに時間が経っていた。
「本当にお世話になりました」
「ああ。達者でな」
今日はそんな日々に別れを告げなければいけない日である。
正直、毎日が充実し快適すぎて少し長居をしすぎた。もう少しここでゆっくりしていきたい気持ちもあるが、十分に傷も癒えたしそろそろ外に戻らなければいけない。
上に待たせている人がいる。
戻らなければ本当に忘れ去られてしまう。早く帰って生きてる事を知らせなければ。
「ファイク殿。こちら帰る時のお弁当とラーナの好きなお菓子の詰め合わせです。よろしければ持っていってください」
「おお! ありがとうカルミナティ、助かるよ」
「キュキュィ!」
フリルがあしらわれた白いエプロンを身につけて小屋から出てきたカルミナティが風呂敷に包んだ大きめの弁当を手渡してくる。
なんともミスマッチな格好のカルミナティだが、これでいて料理の腕は超一級品だ。こいつの料理がもう食べられないと思うとかなり心惜しい。
「これからのご活躍を願っております」
「ありがとう。そっちも色々と頑張れよ」
「ありがとうございます」
貰った弁当を影の中に入れてカルミナティと硬い握手を交わす。
腕を斬られたり、木端微塵に殺したりと出会いは最悪だったが、この一ヶ月でカルミナティとは随分と打ち解けた。
もうかなり古くからつるんでいるマブダチなのではと思ってしまうほどだ。モンスターだが。
「うん。二人が仲良くなってくれて私も嬉しいよ。カルミナティや私にとって滅多に……いやもう二度と来ない客人だ。ここ一ヶ月はとても楽しかったよ。本当にありがとう」
「そんなこちらこそありがとうございます。色々と貴重なお話や、役立つ知識を聞けて楽しかったです。それにこんな装備まで貰ってしまって……本当にいいんですか?」
身に纏ったどう見ても高価そうな装備に申し訳ない気分になってくる。
今俺が装備している防具は以前適当な武具やで買った耐性付きの紺色のジャケットやその下の胸当て、黒ズボン、ブーツではなく。リイヴが物置小屋の奥底に眠らせていた防具一式だ。今まで使っていた防具は今回の迷宮攻略で既にボロボロになり使い物にならなくなってしまった。
それを見かねたリイヴが装備を譲ってくれたのだ。
それがなんともまあド肝を抜く性能をしていた。
全魔法属性耐性と斬撃打撃の耐性も付いた暗い灰色のフード付きローブコートに、同じ耐性付きの黒いスラックス、移動速度と疲労軽減が付いたブーツと見た目も去ることながら性能も一級品の装備だったのだ。
こんなの迷宮都市は疎か王都にある腕利きの鍛冶屋でもお目にかかることの出来ない防具だ。いやらしい話になってしまうが金額にしてみればとんでもない額になってしまうだろう。
それを譲ってもらうのは気が引けてくる。
「ああ、構わないよ。それは元々スカーの物だからね。持ち主……ひいてはその弟子に返すだけさ」
しかし俺のそんな気持ちを他所にリイヴは平然と頷く。
……というか──
「え。これスカーの物だったんですか?」
「そうだよ」
──どうしてスカーの防具一式をリイヴが持っているのだろうか?
「……どうしてリイヴさんが?」
一体どんな理由でリイヴがスカーの防具を持っているというのだろうか。
単純な好奇心で目の前のエルフに質問をしてみる。
「いつだったか……そうだ、確かあれはスカーがまだファイク君と同じ……いや二つ、三つほど歳が上だった頃──」
「──ッ!? おいリイヴ! その話はやめろ!!」
突然慌てた様子でスカーがリイヴの言葉を遮るがそれでも彼女は止まらない。
「彼と交合した時に忘れていったものをずっと保管していたのさ」
「……」
「交合って……交合?」
「ああセッ〇スだよ」
「ぶふっ!?」
何の気恥しや迷いを感じさせずリイヴが言い放つ。
え!!二人ってそういう間柄だったの!?
トンデモ発言に脳内は混乱する。
「おや、ファイク君には少し刺激が強すぎたかな? しかし、君も成人したいい大人なのだろう? これぐらいの事で動揺しては先が思いやられるな」
イタズラが成功した幼子のような得意げなリイヴの笑み。
「……魔法にしか興味がないと思ってたけどヤルことはヤッてたんだなスカー……」
「おい、そこで俺に話を振るな」
それに俺は何も言い返せず、逃げるようにスカーにぶん投げる。
「なんだいなんだい、スカーまで恥ずかしがっちゃって。悲しいなぁ、私の初めてを奪って於いて知らないフリをするんだねキミは?」
「クソっ。イキイキと楽しそうな顔をしやがって……」
悔しそうに呟くスカーに、リイヴはその実に楽しそうな笑みは深くなっていく。
何の気なしにした質問だったが、まさかこんなやぶ蛇が出てくるとは思わなんだ。こんな話、デリカシーのない陽キャじゃなければ太刀打ち出来ないだろ。
そんな事を心の中で吐いていると鶴の一声が掛る。
「……リイヴ様。あまり長話をするのはどうかと……」
その声の主は掃除に洗濯、料理、戦闘と何でもござれの執事モンスターのカルミナティだ。
「む。そうだな。スカーとファイク君の反応が童貞のソレで面白くてついいじってしまった」
「はあ……お二人が旅立たれて寂しいのは分かりますが程々にしてください」
反省の色が見えない主とそれを宥める従者。本当にいいコンビである。
動転していた気を落ち着かせる為に所在が顕になった装備を見るが、複雑な気分になる。
スカーが遠い昔に使っていた装備……サイズ感もピッタリだし、スカーの若い頃は背丈や体格は俺と対して変わらなかったのだろう。それがまた複雑さを増幅させる。
「さて、お巫山戯はこれくらいにしてだ。これからどうするつもりなんだい?」
今までの緩い雰囲気から一転。リイヴは表情を澄ます。
これから……彼女の質問は俺が今後の身の振り方をどうするのかと言ったものだった。
元々俺の目的は世界最強の魔法使い……世界に存在する大迷宮を全て踏破して、その知られざる謎を解き明かすことだ。まだ大迷宮の一つしか完全攻略していない。今後も世界の各地に存在する大迷宮を攻略するつもりでいたが、リイヴの話でそれを続けていいのか分からなくなってしまった。
スカーの目的達成もまだだ。「世界から魔法の消失を防ぐ」これは具体的にどうすればいいのか分からないままだが、取り敢えず元凶は今回のことで分かった。スカー達賢者の『知識』を独占しようとする各国の治者……奴らが原因で魔法技術は停滞して行った。
スカーがこの話を踏まえてどうするのか、まだ結論は出ていないが、仮に元凶を潰す方向性になったとしても、たかが人一人が大国を相手取ることなどできるわけが無い。元凶を潰す事になろうとも仲間は必要だ。例えば俺と同じ固有魔法を授かった同胞だとか……。
「そうですね。どうするにせよ、とりあえずは各国のお偉いさんたちの目に付かないようにひっそりと各大迷宮に行ってみようと思います。その間で色々と今後の目的を明確にしていければ良いかなと……俺とスカーだけじゃできることなんて限られてるし、リイヴさんの言う『運命』とやらを頼ってみます」
「そうか……本当は私も君たちの旅に同行出来れば良かったのだが、私にも色々とやらなければいけないのとがある。今はここを離れる事ができないんだ。すまないね」
「いいえ。気にしないでください。ここまでしてくれたんです。十分すぎますよ」
頭を下げるリイヴに慌てて顔を上げるように言う。
抹消された歴史の知識、賢者たちの知識、大迷宮の知識、魔法の知識、その他、数え切れないほどの知識をこの一ヶ月で彼女から貰った。それに譲ってもらった俺には不釣り合いすぎる装備たち。本当に十分すぎる。
「そう言って貰えると助かるよ。今すぐには難しいが、来たるるべき日には必ず君達の力になろう」
「はい。頼りにしてます」
誓いを立てるように胸に手を当てたリイヴに俺は頷く。
「じゃあもう行きます」
これ以上ここにいては決意が揺らぐ。それ程までにここでの暮らしは穏やかで充実していた。
俺は話を切り上げて別れの挨拶をする。
「うん。この湖を超えた奥に転移魔法陣が刻まれた台座がある。それを使えば転移された50階層に戻る事が出来る。そこからはいつも通り各階層を上れば帰れる」
湖の先にある小さな森を指さしてリイヴは上に戻る方法を改めて教えてくれる。
「……それではまた」
彼女の言葉に頷いて歩き出す。
「ファイク殿お元気で!」
「くれぐれも気をつけろよ」
背後から最後にそんな別れの言葉が聞こえて俺はそれに手を振って答える。
そうして俺は大迷宮クレバス最終100階層を後にした。
・
・
・
「あの……」
「ねえねえいいでしょアイリス? そろそろ一緒に迷宮に行ってくれてもいいじゃないサ~」
「……」
時刻はちょうど昼前。隣で溌剌とした太陽のように暖かい声がして、私の体を大きく揺らす。それに私は何も答えることが出来ない。
季節は巡り寒々しかった季節はいつの間にか何処かへと消えてしまった。
晩春の月、私は今日も彼の帰りを待っていた。
あの日からもう一年が経とうとしていた。目まぐるしく季節は変われど、彼は大迷宮からは出てきてはくれない。もう随分と見慣れた景色は一向に変わらない。
ただ彼が戻らないという事実だけが変わらず。その他の色々なことは変わってしまった。
例えば、最終50階層までが確認された大迷宮クレバスは国や探索者協会の度重なる厳重な調査を経て、正式に完全攻略が成されたと発表された。
一時は50階層以降の階層が存在するのではと言われていた大迷宮クレバスだが、50階層以降の階段の未確認、50階層のボスモンスターのリポップがされなかった、大きく分けてこの二つの要因で完全にそれ以上大迷宮には階層が存在しないと認定され、完全攻略となった。
それに付随するようにして一番最初に50階層へ到達し、ボスモンスターを倒したことになったマネギル率いるSランククラン『獰猛なる牙』は世界で初めて大迷宮を完全踏破した探索者クランとして、全世界から称えられることになった。
迷宮都市クレバスでは何日も彼らを祝福するパレードが行われ、マネギル達『獰猛なる牙』はメイジェンス王国国王ガルデオム・メイジェンス四世から直々に勲章を承ることになった。
これにより迷宮都市クレバスは更なる探索者や商人、観光客で賑わうことになる。完全攻略が成されたとは言え、大迷宮の資源はまだ尽きてはない。寧ろ、今が最高潮なのではと言われるほど大迷宮クレバスからは多くの財宝や魔導具が出土していた。
私の周りの物事がどんどん変化していく。
そんな感覚と共に私の時間は進む気配はない。しかしもう一度言うが私の周りは変化していく。
「そろそろ折れてくれてもいいんじゃナーイ?」
例えば、今こうして私に声をかけてきている女性。
名前をルルカ・アイルトン。確か歳の方は私の二つ上だと言っていたので19、茶髪のくせっ毛が可愛らしい女性だ。
三ヶ月ほど前にとある事をきっかけにこの広場で出会い、それ以来こうして私の事を怖がることなく近づくようになった。
「すみません……迷宮にはもう行けないんです。もしもう一度私があそこに足を踏み入れるとするなら──」
「──ファイクさんと一緒に。でしょ? もうそれは耳にタコができるくらい聞いたヨ」
私の次の言葉を奪って言ったルルカは苦笑する。
彼女も完全攻略が成された大迷宮クレバスのお零れに少しでも肖ろうと、別の迷宮都市から拠点をここに移してきた探索者の一人だった。
3人組のクラン『可憐なる狩人』のリーダーで、出会ってからこうして頻繁に私をクランに誘ってくる。
「はい。ですからすみません。ルルカさんのクランに入ることは出来ません」
「あーあー! 聞こえナーイ! 何か言ったアイリス!?」
「……」
駄々っ子のように耳を塞ぐルルカを私は見つめることしか出来ない。
彼女には申し訳ないが、私は他の誰かとあの大迷宮に入る気はあの時から微塵もなかった。
「そのアイリスの想い人は帰らなくなってから一年が経つんダロ? 出会ったばかりの私がこう言うのもなんだケド、そろそろ気持ちを切り替えて前を向かないト。いつまでもこうしてそのファイクとやらの帰りをここで待っている訳にもいかないダロ?」
「……」
ルルカの言っていることは正しい。
分かっていた。いつまでも現実から目を背けて、ここで日がな一日彼の帰りを待っていても何も変わらないことなんて。そんな事などとうの昔に分かっていた。
それでも私にはここで彼の帰りを待つことしか出来なかった。もう一度あそこに、彼との思い出がたくさんあるあの大迷宮に、彼の死に向き合うのが怖いのだ。
「私たちのクランはそんなに強いわけじゃないシ。せいぜい潜っても25階層までがいい所だから、丸々一年のブランクがあるアイリスでも問題なく探索できると思うヨ。良かったら今からでも一緒に探索しに行かナイ?」
優しく私の手を取り寄り添ってくれるルルカ。
彼女の申し出はとても嬉しかった。こうして素っ気ない態度で何度も誘いを断る私を、ルルカは気にした様子もなく明るく前向きに私の背中を押そうとしてくれている。
こんな私なんかに大事な迷宮に入る時間を削ってまで会いに来てくれて、こうして誘ってくれる彼女には感謝しかない。
けれど──
「すみません。やはり私は行くことができません」
──私はそれでも前に進むことが出来ない。
「……そっカ。毎回毎回無理言ってごめんネ。また日を改めさせてもらうヨ」
「申し訳ありません」
「イイヨイイヨ! 私が好きでやってる事だし……それに諦めるつもりも毛頭ないカラ! いつか絶対に探索しようネ!」
そう言って満面の笑みを浮かべるルルカに私は申し訳ない気持ちになってくる。
今の私ではどうやっても彼女の期待に答えることは出来ない。こんなにも誠実に私と向き合ってくれているのに、それに答えられない自分が嫌になってくる。
「お! やっぱり今日もここにいたねアイリスちゃん!」
そんな自己嫌悪に陥っていると正面から薄っぺらな男の声が聞こえてくる。
声のした方を見遣ればそこには半年前……まだ寒い季節の日に声を掛けてきた青髪の軽薄そうな男がいた。
「あっ! 何しに来たのさチャーロット! 残念ながらアイリスは今私と楽しくお話中だから暇じゃないよ!!」
声を掛けてきた軽薄男に私が反応する前に、威嚇するようなルルカの尖り声がする。
「チッ……なんだおチビなルルカもいたのか、小さすぎて気づかなかったぜ。なんだ? またしつこくアイリスちゃんをクランに誘ってたのか?」
「なんだト!? 私はチビじゃナイ! 目ん玉腐ってんのカッ!!」
「あーうるさいうるさい。そんな下品な言葉まで使っちゃって、アイリスちゃんにお前のその汚い言葉遣いが移ったらどう責任を取るつもりだ?、」
「かーっ! ムカツクッ! 今日という今日はボコボコにしてやるんだカラ!!」
隣に座っていたルルカは勢いよく立ち上がり軽薄男の方を睨む。
「ハッ! 高々Cランクの探索者がBランク探索者の俺に適うとでも?」
この男もルルカと同様に私に声を掛けてくる一人だ。よく食事やお茶のお誘いをしつこいぐらいにしてくる。
初めて声を掛けてきた時はそのしつこさから腹が立ち追い返してしまったが、その後も懲りずにこうして私に声をかけてくるようになった。
「たったの一つしか変わらないじゃないカ! 今日もコテンパンにしてやるヨ!!」
「言ってろチビ!」
いがみ合う二人はどんどん興奮していく。
そんな二人を見ながら思う。
本当に私の周りは変わってしまった。
昔ならばこうして私に声をかけてくれたのは彼ぐらいだったというのに、今は彼女らをきっかけに誰かに声をかけられることが増えた。
どんどん変わっていってしまう。私の知っているこの都市は私と彼を置いてどんどんその姿形を変えていく。
それが良い事か悪い事なのかは私からは何も言えない。
……ただ。
私の隣に彼が居ないのがどうしても、一年たった今でも納得いかなかった。
私に関係する目の前で起きていることがどうにも私には無関係の事にしか思えなかった。
「────ッ!!」
そんな虚ろな視界の中、依然として口論するルルカと軽薄男の隙間から大迷宮が見えた。
それは幻覚。気のせいだったのかもしれない。
「アイリス?」
「アイリスちゃん?」
突然ベンチから立ち上がった私を二人は不思議そうに見つめる。
もう一度しっかりとその目で大迷宮の方を見る。
「………ッ……ファイ……ク……さん……ッ!!」
その見覚えのある姿に自然と涙が込み上げてくる。
見間違いでもなければ幻覚でもない。その人影は確かに私がこの一年待ち続けた人のモノだ。
「!!」
「ちょっ。アイリス!?」
自然と体が動き出す。全速力でその人の元へと駆け出す。
それはずっとずっとずっとずっと、会いたかった最愛なる人。
私の走る速度はさらに跳ね上がる。涙で歪む視界の中、確実に彼との距離は縮まって行く。
あと数歩で彼の元へと着く。そう確信した瞬間に私は彼の胸へと飛び込んだ。
「ファイクさんッ!!!!」
「……アイリス?」
懐かしい私を呼ぶ声がする。
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