【完結】偽聖女め!死刑だ!と言われたので逃亡したら、国が滅んだ

富士とまと

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「大きな浄化魔法って何か気になる、早く使えよ」
「あはは、どうせ大したことないだろうが、もし本当にすごいことができるならやっぱり聖女だって認めてやってもいいよ」
「くっくっく、もし聖女だったら隣国に連れていってもらいなよ、側室くらいにはしてもらえるんじゃない?確か13番目になるっけ?」
 ここで今浄化魔法を最大で発動したら、隣国にまで影響しちゃうけれど、いいのかな?と疑問に思うと、前世の私が【いいに決まってんじゃんっ!自業自得だから問題ないっ!むしろお礼言われるね!】と煽ってくる。
「ほら、一番大きな浄化魔法とやらを使って見ろよ!」
「世界が輝いて見えるんですかぁ?」
「そんな魔法なんてないんだろどうせ!嘘ついて騙そうとしたら、不敬だぞ」
「そうそう、王族、ここに4人いるんだし、4人に不敬働いたら、やっぱり……」
「死ぬしかないな」
「仕方ないか、そりゃ」
「庶民が王族に嘘ついた」
「多くの国民もだましていた」
「誰もお前を助けちゃくれねぇな」
 【しかし、最大の浄化魔法って、どうなるんだろうね?徐々に効果が表れるのかな?】
 と、私が脳内で魔法を発動していると前世の私が首を傾げる。
 【少なくとも、死刑を回避できればそれでいい】
 【まぁそうだよねぇ】
「殿下、式が始まります、お急ぎください!」
「どちらにいらっしゃいますか?陛下もお待ちです」
 裏庭に人の声が聞こえてきた。
「やべぇ、汚い女に構ってるばあいじゃねぇわ」
「義姉だった庶民、さっさと出て行って二度と顔を見せないでくださいね」
「ばいばーい、あ、路銀恵んであげる」
 ぽんっと金貨が1枚放り投げられた。
 それで終わり。
 彼らは裏庭から出て行った。
 残された私は、金貨を拾うと、そのまま校舎の裏口から学園を出た。
「魔法、発動しちゃったけど、本当に何が起こるんだろう?」
 私の独り言に、脳内で前世の私が答える。
 【さぁねぇ。まぁどうでもいいじゃん。とにかくあいつらと縁が切れるなんてこんなにうれしいことは無いよ!卒業式の間は”私”を探すことはないだろうから、その間にできるだけ遠くに見つからないように逃げよう!】
 うん、そうだよね。もう二度と関わりたくない。
「でも、最大の浄化魔法って、腐敗を浄化する……なんの腐敗を浄化するんだろう?」
 前世の私が脳内で笑っている。
 【しっかし、聖女の浄化魔法を使われるの恐れて貴族の養女にして皇太子の婚約者にまでしたのに……アホばっかりで本末転倒とかwクソ笑えるんだけどw】
 どうも、前世の私は何を浄化するか分かっているようだ。
 あの場に腐った物はなかった。
 【物だけじゃないんだよ、腐るのは。腐敗するのは……。人も、政治も、国も……】
 【え?何?】
 前世の私が何か大事なことを言った気がしたけれど、どうやって逃げようか考えていて聞き逃してしまった。
 【何でもないよ。とりあえず制服は目立つから着替えるところから、あと、絶対条件としてこの国と隣国以外に行きましょう】
「そうだね」
 殿下たちにとって、金貨1枚ははした金かもしれないけれど、庶民にとってみれば大金だ。
 ぎゅっと金貨を握り締め、急いで古着屋へと向かった。
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