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大型企画の代表責任者は?③
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プロジェクト初日、スタジオ。
「おはようございまーす!あっ、スタジオ使うタイミング、今日からちょっと調整入りまーす!」
朝から高らかな声で現場入りしたのは佐伯だった。
「私、現場との連携担当ってことで、今後しばらくこっち張り付きますから!細かいところもどんどん拾いますね!」
スタッフが軽く会釈を返すが、表情には戸惑いが浮かんでいる。
「……あれ、今日って、佐伯さん来る予定でしたっけ?」
「え? 黒宮さんに聞いてません?私、“現場フィードバック担当”ってことで、ここ張り付くんです。まぁ私がいた方がやりやすいかなって思って。」
そう言って、勝手にスタジオのホワイトボードにスケジュールを走り書きし始める。
「じゃあ、この日とこの日はリハ多めにして、あと……」
「佐伯さん」
背後から私が声をかけた。
「その修正、まだ事前に共有されてませんけど?」
「え? あ、今ちょっと先に現場とすり合わせてるだけです~。黒宮さんが上に報告するんですよね?」
「そうですねぇ♡ でも“仮調整”でも、正式ルート通さないと“報告”できなくなっちゃいますぅ♡」
「……別にいいじゃん、それくらい」
「いいえ♡ 現場に負担かけると、後々“管理側”の責任になっちゃいますからぁ♡ “私のせい”になるのだけはご勘弁くださぁい♡」
そう言って、私はボードのスケジュールに赤線を引き、もとに戻した。
佐伯は一瞬ムッとした顔をしたが、すぐに笑顔を貼りつける。
「ま、黒宮さんって“堅い”ですもんね~。私は“柔軟に対応するタイプ”なんで。」
「え~♡“柔軟”って、“勝手にやる”とは違いますからねぇ♡」
□
翌日、部長とのミーティング。
「黒宮、現場から“情報が二重で入ってくる”って声あったぞ。何かトラブってるか?」
「いえ。現場の皆さん、“混乱”されないように、今朝から一本化に進めてます。」
「一本化?」
「はい。“佐伯さんの現場提案”と、“私の進行管理”で分かれていた部分を、一本化しようと思っていました。いま、“佐伯さんからもらった案”を基に、全体構成に落とし込んでいるところです。」
「おお、それなら安心だな。あの子、ちょっと勢いで先走るところあるからなぁ」
「はい。 しかし“現場感覚”って、大事ですから、 頑張ってもらいたいですね。」
□
数日後、現場。
「え、ちょっと待って、それ……また黒宮さんに修正入ったの?」
佐伯がスタジオで声を荒げた。スタッフが困った顔をする。
「いや、佐伯さんの案自体は通ってますよ。ただ、進行表の形式が黒宮さんのやつでまとめられてるってだけで……」
「またか……!」
「すみません、でも現場では黒宮さんのフォーマットが一番使いやすいって話が多くて……」
佐伯は唇を噛んだまま、何も言えず黙った。
「おはようございまーす!あっ、スタジオ使うタイミング、今日からちょっと調整入りまーす!」
朝から高らかな声で現場入りしたのは佐伯だった。
「私、現場との連携担当ってことで、今後しばらくこっち張り付きますから!細かいところもどんどん拾いますね!」
スタッフが軽く会釈を返すが、表情には戸惑いが浮かんでいる。
「……あれ、今日って、佐伯さん来る予定でしたっけ?」
「え? 黒宮さんに聞いてません?私、“現場フィードバック担当”ってことで、ここ張り付くんです。まぁ私がいた方がやりやすいかなって思って。」
そう言って、勝手にスタジオのホワイトボードにスケジュールを走り書きし始める。
「じゃあ、この日とこの日はリハ多めにして、あと……」
「佐伯さん」
背後から私が声をかけた。
「その修正、まだ事前に共有されてませんけど?」
「え? あ、今ちょっと先に現場とすり合わせてるだけです~。黒宮さんが上に報告するんですよね?」
「そうですねぇ♡ でも“仮調整”でも、正式ルート通さないと“報告”できなくなっちゃいますぅ♡」
「……別にいいじゃん、それくらい」
「いいえ♡ 現場に負担かけると、後々“管理側”の責任になっちゃいますからぁ♡ “私のせい”になるのだけはご勘弁くださぁい♡」
そう言って、私はボードのスケジュールに赤線を引き、もとに戻した。
佐伯は一瞬ムッとした顔をしたが、すぐに笑顔を貼りつける。
「ま、黒宮さんって“堅い”ですもんね~。私は“柔軟に対応するタイプ”なんで。」
「え~♡“柔軟”って、“勝手にやる”とは違いますからねぇ♡」
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翌日、部長とのミーティング。
「黒宮、現場から“情報が二重で入ってくる”って声あったぞ。何かトラブってるか?」
「いえ。現場の皆さん、“混乱”されないように、今朝から一本化に進めてます。」
「一本化?」
「はい。“佐伯さんの現場提案”と、“私の進行管理”で分かれていた部分を、一本化しようと思っていました。いま、“佐伯さんからもらった案”を基に、全体構成に落とし込んでいるところです。」
「おお、それなら安心だな。あの子、ちょっと勢いで先走るところあるからなぁ」
「はい。 しかし“現場感覚”って、大事ですから、 頑張ってもらいたいですね。」
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数日後、現場。
「え、ちょっと待って、それ……また黒宮さんに修正入ったの?」
佐伯がスタジオで声を荒げた。スタッフが困った顔をする。
「いや、佐伯さんの案自体は通ってますよ。ただ、進行表の形式が黒宮さんのやつでまとめられてるってだけで……」
「またか……!」
「すみません、でも現場では黒宮さんのフォーマットが一番使いやすいって話が多くて……」
佐伯は唇を噛んだまま、何も言えず黙った。
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