塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした

雨宮 叶月

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夏休み②

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朝、LUCENTの雑誌撮影は順調に進んでいた。私の段取りが良く、ロケ班との連携もスムーズ。モデルのメンバーたちも海辺での撮影に映えて、順調に午前中で全行程を終えることに成功した。

撮影終了後、スタッフは撤収。メンバーたちは解放され、ようやく本当の“休暇モード”へ突入。

佐伯が誰よりも早く水着に着替えてビーチに走っていく。

「きゃーっ! ひっっっっさしぶりの海ー!! やば! 波たっか! え、これ泳げるやつ!?」

ノリノリで砂浜を走り回る佐伯。水着は派手なビビッドピンクのフリル付き。本人は「ナチュラルセクシー」とか言ってるが、派手なだけ。

そんな中、私は日陰のビーチチェアに腰を下ろした。

白とネイビーのストライプパラソルの下。サングラスをかけ、シンプルなホワイトの水着を身に着けていた。露出は意外と多い。洗練されたシルエットが逆に目を引く。

今日だけ特別にある売店?で海のお兄さんに頼んで買った、ソーダ味の棒アイス。手には、溶けかけの雫が細い指をつたう。

その姿を見て、メンバーたちがざわついた。

「え、やば……黒宮さん、モデルかと思った……」

「脚なっっが。てか腰のライン綺麗すぎん?」

「かっこいい、というより美しい……」

「なんかあの棒アイスすら高級に見えるの、なんで?」

私はそれを意に介すことなく、涼しげ。

「ふふっ、これこそが究極のスローライフ、、、!」

サングラスの奥の視線があちらを向いた。

「……あれぇ? 佐伯さん、すっごく元気ですねぇ♡ もう日焼け止め落ちちゃったんじゃないですかぁ?」

「……は? うっさいわ」

佐伯はぷいっとそっぽを向いたが、明らかに視線は私のスタイルを気にしている。

「てかそれ、どこのブランド? そんな水着、通販で売ってないんだけど」

「ん~? 一点物ですぅ♡」

「え。そういうマウントとってくるの?」

「え~♡ 気にしないでくださぁい♡ “適切な休暇”ですから♡」

再びバチバチとした火花。


一方、霧島と天城はテントの影で飲み物を飲んでいた。

「……いやマジであれって戦いなんだよな?」

「うん。あのアイスの溶ける速度まで計算に入れてそうで怖い」

「俺たちの“海”となんか違くね……?」

「うん。たぶん俺たちは、素直に海を楽しんでいい人種」

そして夏の午後が、ゆるやかに進んでいくのだった――
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