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明るい?
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「颯真くんってさ、誰にでも優しくて、場を明るくできるタイプじゃん? 私、そういうタイプと波長合うんだよね~」
控室に入るなり、佐伯詩織がさっそく言った。
その向かいで望月颯真は、ニコニコといつもの笑顔で「え~、ほんとっすか? 嬉しいな~」と返していたが、目だけは死んでいた。
――またですか、みたいな目だった。
□
「じゃあ今日は望月さん中心に、今後のSNS対応方針のすり合わせと、取材の受け答え確認をお願いします」
「はい!」
「っていうか、私そういう“コメント作る系”得意なんですよね! メンバーの代わりに答えてあげたり、けっこう適役だと思うんです!」
……誰が頼んだ。
「でも私、そういうのって“素”が大事だと思ってて。だから無理に台本通り答えると、逆に不自然に見えるっていうか?」
「じゃあ佐伯さん、例として答えてみてくださいます?」
「えっ?」
「“最近よく聴く音楽は?”って質問がきた場合、望月さんに代わってなんて答えますか?」
「えーっと、そうですね~、颯真くんって明るいし、ポップ系? なんかアイドルっぽいやつ? あ、でも意外とギャップで洋楽とか?」
「ふわっとしてますね♡」
「じゃ、なんて答えるのが正解なんですか?」
望月が笑いながら言った。
「最近は落語聴いてます。“間”の勉強に」
佐伯、目をまんまるにして絶句。
「……え、なんで」
「いやいや、笑わせる“間”って、勉強になるんすよ」
「マジで……? え、ちょっと、ギャップ……すご……」
「佐伯さん、息してくださ~い♡」
□
その後も、佐伯の“自分アゲ”は続いた。
「私、メンバーの笑いどころってけっこう見抜けるんですよ? 颯真くんってツッコミ側だし!」
「……僕、だいたいスベるの見て笑ってる側っすけどね」
「え? そうだったの?」
「“ツッコミ”ってより、“静観”って感じっすね」
「あっ……でも私、“静観してる人を笑わせる自信”あるんで!」
颯真がにこにこと笑いながら私に言った。
「黒宮さんって……こういう時どうやって耐えてるんすか?」
「お薬の時間ですぅ♡」
「その返し、好きです」
□
休憩中、佐伯が他のスタッフに軽く吹聴していた。
「颯真くんって、なんか最近“私といる時が一番楽しそう”に見えません? やっぱ私、ムードメーカーなんですよ~」
それを聞いていた霧島がぽつりと一言。
「……そもそも“楽しそう”って言われる時点で、本人は楽しくない可能性ある」
「深いな」
天城が感心していた。
会議が終わり、私と望月が隅で少し確認していたとき。
「そういや、黒宮さん。あの“逆ハイテンション”処理、いつもどうしてるんですか?」
「企業秘密です。でも望月さん、どんな相手にも崩さないの、すごいですね」
「いやいや、僕も人間なんで。実は、無になってる時間あります」
「……じゃあ、あの笑顔は?」
「防御です。ある意味、僕も塩です」
「へ~♡ 仲間ですねぇ♡」
控室に入るなり、佐伯詩織がさっそく言った。
その向かいで望月颯真は、ニコニコといつもの笑顔で「え~、ほんとっすか? 嬉しいな~」と返していたが、目だけは死んでいた。
――またですか、みたいな目だった。
□
「じゃあ今日は望月さん中心に、今後のSNS対応方針のすり合わせと、取材の受け答え確認をお願いします」
「はい!」
「っていうか、私そういう“コメント作る系”得意なんですよね! メンバーの代わりに答えてあげたり、けっこう適役だと思うんです!」
……誰が頼んだ。
「でも私、そういうのって“素”が大事だと思ってて。だから無理に台本通り答えると、逆に不自然に見えるっていうか?」
「じゃあ佐伯さん、例として答えてみてくださいます?」
「えっ?」
「“最近よく聴く音楽は?”って質問がきた場合、望月さんに代わってなんて答えますか?」
「えーっと、そうですね~、颯真くんって明るいし、ポップ系? なんかアイドルっぽいやつ? あ、でも意外とギャップで洋楽とか?」
「ふわっとしてますね♡」
「じゃ、なんて答えるのが正解なんですか?」
望月が笑いながら言った。
「最近は落語聴いてます。“間”の勉強に」
佐伯、目をまんまるにして絶句。
「……え、なんで」
「いやいや、笑わせる“間”って、勉強になるんすよ」
「マジで……? え、ちょっと、ギャップ……すご……」
「佐伯さん、息してくださ~い♡」
□
その後も、佐伯の“自分アゲ”は続いた。
「私、メンバーの笑いどころってけっこう見抜けるんですよ? 颯真くんってツッコミ側だし!」
「……僕、だいたいスベるの見て笑ってる側っすけどね」
「え? そうだったの?」
「“ツッコミ”ってより、“静観”って感じっすね」
「あっ……でも私、“静観してる人を笑わせる自信”あるんで!」
颯真がにこにこと笑いながら私に言った。
「黒宮さんって……こういう時どうやって耐えてるんすか?」
「お薬の時間ですぅ♡」
「その返し、好きです」
□
休憩中、佐伯が他のスタッフに軽く吹聴していた。
「颯真くんって、なんか最近“私といる時が一番楽しそう”に見えません? やっぱ私、ムードメーカーなんですよ~」
それを聞いていた霧島がぽつりと一言。
「……そもそも“楽しそう”って言われる時点で、本人は楽しくない可能性ある」
「深いな」
天城が感心していた。
会議が終わり、私と望月が隅で少し確認していたとき。
「そういや、黒宮さん。あの“逆ハイテンション”処理、いつもどうしてるんですか?」
「企業秘密です。でも望月さん、どんな相手にも崩さないの、すごいですね」
「いやいや、僕も人間なんで。実は、無になってる時間あります」
「……じゃあ、あの笑顔は?」
「防御です。ある意味、僕も塩です」
「へ~♡ 仲間ですねぇ♡」
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