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第三章 愛の逃避行
厄介な残党
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翌朝、木の穴蔵から外に出ようとした時だった。穴蔵から出るや否や剣が振り下ろされそうになり、トルデンが手でそれを受け止めた。トルデンの手から血が滴る。剣を振り下ろした相手はグルファン王国の騎士だった。オークスに従い、オレを牢屋に閉じ込めた騎士の1人だ。
もう一度、その騎士が振り下ろそうとした時、トルデンが雷の刃を放った。そいつは魔力が高いのかオレたちの存在をはっきりと認識していた。
「トルデン、よせっ!」
トルデンが殺しかねない勢いで次の雷の刃を放とうとしたので近づき、やめるように言うと、トルデンはオレを押しのけた。その隙に男は敵わないと思ったのか逃げ出した。
「……いてっ、何するんだよ」
「近づいてはダメです」
「そんなことよりその怪我大丈夫なのかよ?」
トルデンにもう一度近づこうとした時、トルデンはまたオレに触れないように押しのけた。
「友也が触れると能力が使われてしまうので、触ってはダメです」
トルデンはこんな状況だというのに、そんなことを言う。
「別に大丈夫だ。血を早く止めないと」
「ダメです!私のことは放っておいてください。別に私は怪我してもいいんです。私があなたを守れるなら別に死んだって構わない」
「何言ってんだ、お前!」
トルデンの言葉に怒り、手がわなわなと震えた。怒鳴り声をあげたオレに驚いた表情をするも、トルデンも譲らない。前もそうだった。トルデンは、「毒だと分かっていて飲んだ」「仕方がなかった」と言っていた。あの時も理解できずに頭に血が上った。今、その怒りの正体が何かに気付いた。
「お前、オレが助けた命だぞ!もっと大事にしろよっ!」
トルデンの胸倉を掴み、罵るように叫んだ。トルデンは目を丸くしてこちらをみた。
「えぇ……えぇ、そうですね。友也が助けてくれたこの命。大切にしないとですね。ごめんなさい、友也」
「……分かったなら別にいい。もし次、同じこと言ったら友達やめる……」
「約束します。もう二度と言いません。友也とはずっと友達でいたいから」
「それよりも、それ早く手当てするぞ」
怪我を貰い受けて欲しくないと言うのなら、尚更早く怪我の手当てをしないといけない。トルデンもオレの意図を理解したのか、穴蔵に戻り、傷に効くと言う薬草を置いて包帯でぐるぐる巻きにした。手で直接触れると怪我を貰ってしまうため、当たらないように慎重に巻く。トルデンの綺麗な手のひらが赤く染まってしまい、包帯を巻きながらオレの存在がトルデンを苦しめているんじゃないかと思った。その様子を見てトルデンが「友也?」と声かけた。
「なぁ、オレのせいでごめん。あの時も今日のことも。トルデンがずっと魔術を使うのを嫌がっていたのにオレのせいで……。それにマルア国も……」
「やめて、友也。それ以上言わないで。私は後悔してない」
「でも……」
「それ以上言ったら、友達やめますよ?」
今度はトルデンがそう言った。その言葉に真剣みはなく、先ほどのお返しだという意志表示だ。お互いに今日のことは水に流そうと受け入れ、笑い合った。
「なんだかんだオレとトルデンって似た者同士で相性いいのかもな!」
オレもトルデンも頑固だし、まぁ見た目とか金持ちとか王子とかは除いてだけど。無邪気にオレがそう言うと何故かトルデンは頬を赤く染めてそっぽを向いた。あれ?相性良くなかったのか?いいと思ったんだけどな。
もう一度、その騎士が振り下ろそうとした時、トルデンが雷の刃を放った。そいつは魔力が高いのかオレたちの存在をはっきりと認識していた。
「トルデン、よせっ!」
トルデンが殺しかねない勢いで次の雷の刃を放とうとしたので近づき、やめるように言うと、トルデンはオレを押しのけた。その隙に男は敵わないと思ったのか逃げ出した。
「……いてっ、何するんだよ」
「近づいてはダメです」
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「何言ってんだ、お前!」
トルデンの言葉に怒り、手がわなわなと震えた。怒鳴り声をあげたオレに驚いた表情をするも、トルデンも譲らない。前もそうだった。トルデンは、「毒だと分かっていて飲んだ」「仕方がなかった」と言っていた。あの時も理解できずに頭に血が上った。今、その怒りの正体が何かに気付いた。
「お前、オレが助けた命だぞ!もっと大事にしろよっ!」
トルデンの胸倉を掴み、罵るように叫んだ。トルデンは目を丸くしてこちらをみた。
「えぇ……えぇ、そうですね。友也が助けてくれたこの命。大切にしないとですね。ごめんなさい、友也」
「……分かったなら別にいい。もし次、同じこと言ったら友達やめる……」
「約束します。もう二度と言いません。友也とはずっと友達でいたいから」
「それよりも、それ早く手当てするぞ」
怪我を貰い受けて欲しくないと言うのなら、尚更早く怪我の手当てをしないといけない。トルデンもオレの意図を理解したのか、穴蔵に戻り、傷に効くと言う薬草を置いて包帯でぐるぐる巻きにした。手で直接触れると怪我を貰ってしまうため、当たらないように慎重に巻く。トルデンの綺麗な手のひらが赤く染まってしまい、包帯を巻きながらオレの存在がトルデンを苦しめているんじゃないかと思った。その様子を見てトルデンが「友也?」と声かけた。
「なぁ、オレのせいでごめん。あの時も今日のことも。トルデンがずっと魔術を使うのを嫌がっていたのにオレのせいで……。それにマルア国も……」
「やめて、友也。それ以上言わないで。私は後悔してない」
「でも……」
「それ以上言ったら、友達やめますよ?」
今度はトルデンがそう言った。その言葉に真剣みはなく、先ほどのお返しだという意志表示だ。お互いに今日のことは水に流そうと受け入れ、笑い合った。
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オレもトルデンも頑固だし、まぁ見た目とか金持ちとか王子とかは除いてだけど。無邪気にオレがそう言うと何故かトルデンは頬を赤く染めてそっぽを向いた。あれ?相性良くなかったのか?いいと思ったんだけどな。
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