【完結】だらしないオジサンは嫌いですか？

見られた…

「今日はここにしようか…」

とある資料室に目をつけ、周囲に人がいないことを確認して中に入る。万が一、人が入って来ても晴れないように奥の方へ進む。

野菜中心のオカズを前にため息が出る。

昔はどれだけ高カロリーを食べようが反対に筋肉に変えてしまう勢いだったのに。もう何年前からか気づかないうちに増えて行った皮下脂肪は頑固に纏わりついている。
自分のお腹を見て凹んでは食べてを繰り返しながら過ごす休憩時間。

ガチャッ

ドアが開く音がしたが、ここにいれば誰にもバレないだろうと息を潜めて誰かが出ていくのを待つ。

「あれ、部長？」

そうして聞こえて来た声にビクッと身体が震える。
今一番会いたくない、一番見られないくない人に見られてしまった…

「い、伊澤…」

「部長どうしてこんなところでご飯を？」

「あぁ、ちょっと見ておきたい資料があってな。仕事時間に資料室に籠るのも良くないから、食べながら見ようと思ったんだ。」

我ながら無理やりすぎる良い訳に内心涙を流しながら、どうにか騙されてくれないかという思いを込めて思い人に視線を向ける。

「そうなんですね！俺は次の会議に使う資料をもっと詳しくしたくて…部長がいらっしゃる会議にお粗末な資料を持っていけないですから！」

なんて可愛いこと言ってくる。そんなこと言うと、このオジサンが勘違いをしてしまうだろう！