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第11話
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「お姉様のウェディングドレスは嫌!だって……地味なんだもん!」
今日もまたハロルドはナタリーに会いに来ている。元婚約者の居る家に来ないで、自分の屋敷に呼べば良いのに……。二人の姿を見るとまだ胸が痛む私は、目をそらしながら、テラスを通り過ぎた。
「お母様、この書類には目を通したわ。次は何を手伝えば良いかしら?」
父の執務机に父の代わりに陣取っているのは母だ。
「あぁ、エリンありがとう。実は貴女に話があるのよ……」
と母は視線を落とす。……きっとあまり嬉しい話ではないのだろう。
「あまり貴女には楽しい話じゃないんだけど……少し長くなりそうだから、そこに座って」
私は母に指された椅子に腰掛けた。
母は私の前に座って、
「ナタリーは学園を辞めたわ。まぁ、女生徒の中には結婚で中退する事も珍しくないから、それは良いんだけど。貴女とハロルド様は約二ヶ月後に結婚する予定だったでしょう?それって……」
「私の卒業と、パトリック伯爵の帰国を待っての事ね」
「そうなの。実は貴女と婚約解消した事をパトリック伯爵はまだ知らないみたいなのよね」
パトリック伯爵は隣国へ仕事の為に行っており、帰国は二ヶ月後の予定だ。
「そうなの?でも、伯爵夫人は了承されているんでしょう?なら問題ないのではなくて?」
「まぁ……。彼女は昔からあまり誰にも反抗する事が苦手な娘だったから……」
学園時代の学友であったパトリック伯爵夫人の事を思い出す様に、母はそう言った。
しかし、私にはもうどうでも良い事だ。母は何が言いたいのだろう。
「そう……。でも、もう私には関係のない事だわ」
と少し俯く私に、
「あぁ、ごめんなさい。貴女にこんな話をして。伯爵の居ない隙に色々と決めてしまって良かったのかと不安になったの」
母の気持ちも分からなくはない。
私とハロルドの婚約を決めたのはパトリック伯爵だ。婚約を解消した事、ナタリーを新しい婚約者にした事。その全てを伯爵の許可を得ずにやってしまった事に不安を覚えたのだろう。しかもうちの父親はあの状態。母はその責任を自分が全て負うのではないかと怖くなった様だ。
「全てはハロルド……様がお決めになった事。責任は彼にあるのだから、彼が何とかするのではないかしら?」
少し言葉が冷たく聞こえたかもしれないが、私にもまだ痛む心があるのだ。
「そう……よね。悪かったわ。でね、ここからが本題なのだけど、貴女に話と言うのはね……」
と話し始めた母に私は驚いていた。話ってこれじゃないの?別にあるの?
今日もまたハロルドはナタリーに会いに来ている。元婚約者の居る家に来ないで、自分の屋敷に呼べば良いのに……。二人の姿を見るとまだ胸が痛む私は、目をそらしながら、テラスを通り過ぎた。
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父の執務机に父の代わりに陣取っているのは母だ。
「あぁ、エリンありがとう。実は貴女に話があるのよ……」
と母は視線を落とす。……きっとあまり嬉しい話ではないのだろう。
「あまり貴女には楽しい話じゃないんだけど……少し長くなりそうだから、そこに座って」
私は母に指された椅子に腰掛けた。
母は私の前に座って、
「ナタリーは学園を辞めたわ。まぁ、女生徒の中には結婚で中退する事も珍しくないから、それは良いんだけど。貴女とハロルド様は約二ヶ月後に結婚する予定だったでしょう?それって……」
「私の卒業と、パトリック伯爵の帰国を待っての事ね」
「そうなの。実は貴女と婚約解消した事をパトリック伯爵はまだ知らないみたいなのよね」
パトリック伯爵は隣国へ仕事の為に行っており、帰国は二ヶ月後の予定だ。
「そうなの?でも、伯爵夫人は了承されているんでしょう?なら問題ないのではなくて?」
「まぁ……。彼女は昔からあまり誰にも反抗する事が苦手な娘だったから……」
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しかし、私にはもうどうでも良い事だ。母は何が言いたいのだろう。
「そう……。でも、もう私には関係のない事だわ」
と少し俯く私に、
「あぁ、ごめんなさい。貴女にこんな話をして。伯爵の居ない隙に色々と決めてしまって良かったのかと不安になったの」
母の気持ちも分からなくはない。
私とハロルドの婚約を決めたのはパトリック伯爵だ。婚約を解消した事、ナタリーを新しい婚約者にした事。その全てを伯爵の許可を得ずにやってしまった事に不安を覚えたのだろう。しかもうちの父親はあの状態。母はその責任を自分が全て負うのではないかと怖くなった様だ。
「全てはハロルド……様がお決めになった事。責任は彼にあるのだから、彼が何とかするのではないかしら?」
少し言葉が冷たく聞こえたかもしれないが、私にもまだ痛む心があるのだ。
「そう……よね。悪かったわ。でね、ここからが本題なのだけど、貴女に話と言うのはね……」
と話し始めた母に私は驚いていた。話ってこれじゃないの?別にあるの?
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