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第13話
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私とレナード様との婚約はお互い顔を合わせる事なく、すんなりと同意に至った。ナタリーの時も絵姿すら見ていないのだから、別に問題はない。
「エリン、ちょっと良いかい?」
私は学園から戻って来て、馬車を降りて直ぐにハロルドに話しかけられた。ハロルドと言葉を交わすのは約一ヶ月半ぶりだ。
「何?ナタリーなら屋敷に居るのではない?」
心の傷は、時間が少しずつ癒してくれた。まだ二人が一緒に居る所を見るのは少し痛みを伴うが、それにも慣れてきた。
「君の為に用意していたウェディングドレスなんだけど、ナタリーには少し大きいし、彼女はどうしても着るのは嫌だと言うんだ」
……たから何?
「そう。ならばナタリーの為に急いで作らせたら?」
「流石に後半月では間に合いそうにないから、既製品に手を加えて直しているところ。で、君のドレスなんだけどさ、クレイグ辺境伯の次男との婚約が決まったんだろ?なら、君にプレゼントするから、それを結婚式で着たらどうかと思って」
……この人、こんなにデリカシーのない人だったかしら?
「ハロルド様、パトリック伯爵家のお金で作ったドレスを着るなんて……クレイグ辺境伯がお許しになるはずないでしょう?
そのドレスは……捨てて下さって構わないわ」
私は、呆れながらも冷静を保ち、屋敷の方へ歩を進めた。ハロルドはその後ろから、
「なんか勿体無いよなぁ。ナタリーのサイズに作り直すって言ってもナタリーは首を縦に振らなかったし」
とぶつぶつ言っているが、私は無視をし続けた。
私は相変わらず父の部屋で学園の課題をしながら、父の様子を見守っていた。
「もう半月で卒業だというのに、ギリギリまで課題に追われるなんて」
と言う私に、
「ふふふ。いつの日かそんな日々を懐かしく思う時がやってきますよ」
とバーバラはお茶を注ぎながらそう笑った。
その時、
「どうして!?どうして結婚式が延期なの?!」
とナタリーの大きな声が廊下から聞こえた。
「どうしたのかしら?騒がしいわね」
私は扉の方へ目を向ける。バーバラは、
「ちょっと様子を見てきましょうか?」
と少しの好奇心を覗かせながら、部屋を出て行った。
ナタリーの声に混じって聞こえるのはハロルドの声だ。二人は少し言い争っている様に思える。
私は『またか』と心の中で呟いた。
最近、ナタリーはハロルドと良く喧嘩をしていた。理由は知らないし、知りたくもないが、母曰く『ナタリーの我が儘が原因よ』という事らしい。
今、私は殆どナタリーと話をする事はない。それは別にナタリーを避けているから、とかではなく、私が忙しいのと、ナタリーはいつもハロルドと居るから。それが理由だ。
「エリン、ちょっと良いかい?」
私は学園から戻って来て、馬車を降りて直ぐにハロルドに話しかけられた。ハロルドと言葉を交わすのは約一ヶ月半ぶりだ。
「何?ナタリーなら屋敷に居るのではない?」
心の傷は、時間が少しずつ癒してくれた。まだ二人が一緒に居る所を見るのは少し痛みを伴うが、それにも慣れてきた。
「君の為に用意していたウェディングドレスなんだけど、ナタリーには少し大きいし、彼女はどうしても着るのは嫌だと言うんだ」
……たから何?
「そう。ならばナタリーの為に急いで作らせたら?」
「流石に後半月では間に合いそうにないから、既製品に手を加えて直しているところ。で、君のドレスなんだけどさ、クレイグ辺境伯の次男との婚約が決まったんだろ?なら、君にプレゼントするから、それを結婚式で着たらどうかと思って」
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「ハロルド様、パトリック伯爵家のお金で作ったドレスを着るなんて……クレイグ辺境伯がお許しになるはずないでしょう?
そのドレスは……捨てて下さって構わないわ」
私は、呆れながらも冷静を保ち、屋敷の方へ歩を進めた。ハロルドはその後ろから、
「なんか勿体無いよなぁ。ナタリーのサイズに作り直すって言ってもナタリーは首を縦に振らなかったし」
とぶつぶつ言っているが、私は無視をし続けた。
私は相変わらず父の部屋で学園の課題をしながら、父の様子を見守っていた。
「もう半月で卒業だというのに、ギリギリまで課題に追われるなんて」
と言う私に、
「ふふふ。いつの日かそんな日々を懐かしく思う時がやってきますよ」
とバーバラはお茶を注ぎながらそう笑った。
その時、
「どうして!?どうして結婚式が延期なの?!」
とナタリーの大きな声が廊下から聞こえた。
「どうしたのかしら?騒がしいわね」
私は扉の方へ目を向ける。バーバラは、
「ちょっと様子を見てきましょうか?」
と少しの好奇心を覗かせながら、部屋を出て行った。
ナタリーの声に混じって聞こえるのはハロルドの声だ。二人は少し言い争っている様に思える。
私は『またか』と心の中で呟いた。
最近、ナタリーはハロルドと良く喧嘩をしていた。理由は知らないし、知りたくもないが、母曰く『ナタリーの我が儘が原因よ』という事らしい。
今、私は殆どナタリーと話をする事はない。それは別にナタリーを避けているから、とかではなく、私が忙しいのと、ナタリーはいつもハロルドと居るから。それが理由だ。
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