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第15話
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その後もナタリーはハロルドとパトリック伯爵家についての不満や愚痴を言い続けた。
ガタン
「ご馳走様でした。マージと交代してくるわ」
私はこれ以上聞いていられなくなって、夕食を急いで食べ終わると、席を立ち上がった。
「あら、デザートは?」
と尋ねる母に、
「お父様の側で食べるわ。まだ少し課題が残ってるの」
課題は嘘だ。だが、やらなければならない事があるのは本当。だが、それをここで口に出すつもりはない。
私が食堂を出ようとすると、ナタリーが、
「お姉様、折角ハロルドがあげるって言ったドレスを断ったんですってね。もったいなーい。相手は変わったのかもしれないけど、どうせ結婚するんだから、それを着れば無駄なお金を使わなくて済んだのに」
と声を掛けてきた。
自分のドレスを作るお金は無駄ではなくて、私のドレスを作る事は無駄なお金なのね。
ナタリーはどうしていつもこんな物言いなのだろう。悪気はないのかもしれないがイラッとする。
私が振り返ると、母は不思議そうに首を傾げていた。ナタリーは何故かニヤニヤしている。……悪気はあったのかもしれない。
「レナード様が既にドレスは準備を始めて下さってるの。必要ない物を貰ったって邪魔なだけだわ」
と私が答えれば、
「へぇー。でもレナード様って子爵なんでしょう?お金あんまりないんじゃない?」
と物凄く失礼な事を言うナタリーに、母が、
「ナタリー、馬鹿な事を言わないで。クレイグ辺境伯様は国王陛下の従弟の方。王家の血族なのよ?我が国有数の資産をお持ちだわ」
「そうなの?でもお姉様が嫁ぐのは何とかっていう子爵になるんでしょう?関係ないじゃない」
「確かにそうだけれど……」
と母は口籠る。まぁ、ナタリーの言っている事は事実だが、クレイグ辺境伯を馬鹿にするのは、身の程知らずだ。
「ナタリー、爵位だけでものを見てはいけないわ。それに『何とか』ではなく、『クラーク子爵』よ。貴女も結婚したら社交界で立ち回らなくてはならないのだから、ちゃんと勉強したら?そんな事では足元を掬われるわよ?」
と私か言えば、
「お姉様……もしかして悔しいの?爵位は爵位。これは国に認められたものなんだから、それで判断するのは当然でしょう?結婚も……妹に先を越されるのはカッコ悪いかもしれないけど、恨むなら倒れたお父様と、行方を眩ませたお兄様を恨んでね」
とナタリーは半笑いで言った。
「ナタリー!」
と言う声と『パシン!』という音が同時に響く。椅子から立ち上がった母が、ナタリーの頬を打っていた。
「お父様はご病気なのよ!?何て酷い事を言うの!」
母は父をとても愛している。ナタリーは言ってはいけない事を口にしたのだ。
ガタン
「ご馳走様でした。マージと交代してくるわ」
私はこれ以上聞いていられなくなって、夕食を急いで食べ終わると、席を立ち上がった。
「あら、デザートは?」
と尋ねる母に、
「お父様の側で食べるわ。まだ少し課題が残ってるの」
課題は嘘だ。だが、やらなければならない事があるのは本当。だが、それをここで口に出すつもりはない。
私が食堂を出ようとすると、ナタリーが、
「お姉様、折角ハロルドがあげるって言ったドレスを断ったんですってね。もったいなーい。相手は変わったのかもしれないけど、どうせ結婚するんだから、それを着れば無駄なお金を使わなくて済んだのに」
と声を掛けてきた。
自分のドレスを作るお金は無駄ではなくて、私のドレスを作る事は無駄なお金なのね。
ナタリーはどうしていつもこんな物言いなのだろう。悪気はないのかもしれないがイラッとする。
私が振り返ると、母は不思議そうに首を傾げていた。ナタリーは何故かニヤニヤしている。……悪気はあったのかもしれない。
「レナード様が既にドレスは準備を始めて下さってるの。必要ない物を貰ったって邪魔なだけだわ」
と私が答えれば、
「へぇー。でもレナード様って子爵なんでしょう?お金あんまりないんじゃない?」
と物凄く失礼な事を言うナタリーに、母が、
「ナタリー、馬鹿な事を言わないで。クレイグ辺境伯様は国王陛下の従弟の方。王家の血族なのよ?我が国有数の資産をお持ちだわ」
「そうなの?でもお姉様が嫁ぐのは何とかっていう子爵になるんでしょう?関係ないじゃない」
「確かにそうだけれど……」
と母は口籠る。まぁ、ナタリーの言っている事は事実だが、クレイグ辺境伯を馬鹿にするのは、身の程知らずだ。
「ナタリー、爵位だけでものを見てはいけないわ。それに『何とか』ではなく、『クラーク子爵』よ。貴女も結婚したら社交界で立ち回らなくてはならないのだから、ちゃんと勉強したら?そんな事では足元を掬われるわよ?」
と私か言えば、
「お姉様……もしかして悔しいの?爵位は爵位。これは国に認められたものなんだから、それで判断するのは当然でしょう?結婚も……妹に先を越されるのはカッコ悪いかもしれないけど、恨むなら倒れたお父様と、行方を眩ませたお兄様を恨んでね」
とナタリーは半笑いで言った。
「ナタリー!」
と言う声と『パシン!』という音が同時に響く。椅子から立ち上がった母が、ナタリーの頬を打っていた。
「お父様はご病気なのよ!?何て酷い事を言うの!」
母は父をとても愛している。ナタリーは言ってはいけない事を口にしたのだ。
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