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第23話
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私が庭に出ると気配を察したのか、レナード様がこちらを向いた……と思ったら俯いた。何故?
レナード様の手には模造刀が握られているが……外は雨だ。そう、先程からポツリポツリと雨が降り始めていたのに、何故か濡れる事も構わずにレナード様はそこに立っていた。
「レナード様、濡れてしまいます!どうされたのです?」
私が走り寄って声を掛けると、
「……色々と発散していた」
とわけの分からない事を呟いて、
「俺は良いが君が濡れるのは困る。屋敷へ戻れ」
と私を手でシッシッと追い払う。言葉と行動が合っていない。
「では、レナード様も戻りましょう」
私がそう言えば、
「もう少し剣を振っていく」
と私から目を逸らして、また剣を握り直した。
「ダメです。レナード様が戻ると言うまで、私も此処に居ます」
「ダメだ。風邪をひく」
「レナード様だって風邪をひきます」
「俺はひかん」
押し問答を続けるも、私が
「クシュン」
と一つくしゃみをすると、レナード様は慌てふためいて、
「ほら、戻れ。俺も戻るから」
と私の腕を掴んで屋敷へと引っ張って行った。
屋敷に入るとレナード様は『バッ!』と手を離して何故か後退った。
すると、バーバラが布を手に駆け寄る。
「お二人とも雨に濡れて……どうされたのです?!」
「私は湯浴みをするから、それはレナード様へ渡して」
とバーバラが手にした布を取るとレナード様へと渡した。
「俺は大丈夫だ」
「いえ、お客様に風邪をひかれては困ります」
私は無理やりその布をレナード様へ押し付けながら
「そう言えば……レナード様は湯浴みをされたのではなかったのです?」
と疑問を口にした。
「した。が、どうにも悶々とするから……」
とレナード様は口籠る。レナード様って……運動しないと眠れないタイプなのかしら?
布を二人で押し付け合っていると、不意に私とレナード様の手が触れてしまう。
「あっ……」
と私が声を出すのと、同時にレナード様の手が異様に早いスピードで引っ込められた。
さっき、私から距離を取った事といい、今のスピードといい……そんなに私の事が嫌なのかしら……?と凹んでしまう。しかし『嫌いですか?』なんて尋ねる勇気はないので、
「勝手に触れてしまい申し訳ありません。私は失礼しますので」
と頭を下げて、私は踵を返した。
その背中に、
「ち……違っ……!」
と言うレナード様の声が追いかけて来たが、私は振り返らずにその場を去った。
そう言えば母の所に顔を出すつもりだったのに、私の頭から、すっかりとそれは抜け落ちていた。
レナード様の手には模造刀が握られているが……外は雨だ。そう、先程からポツリポツリと雨が降り始めていたのに、何故か濡れる事も構わずにレナード様はそこに立っていた。
「レナード様、濡れてしまいます!どうされたのです?」
私が走り寄って声を掛けると、
「……色々と発散していた」
とわけの分からない事を呟いて、
「俺は良いが君が濡れるのは困る。屋敷へ戻れ」
と私を手でシッシッと追い払う。言葉と行動が合っていない。
「では、レナード様も戻りましょう」
私がそう言えば、
「もう少し剣を振っていく」
と私から目を逸らして、また剣を握り直した。
「ダメです。レナード様が戻ると言うまで、私も此処に居ます」
「ダメだ。風邪をひく」
「レナード様だって風邪をひきます」
「俺はひかん」
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「クシュン」
と一つくしゃみをすると、レナード様は慌てふためいて、
「ほら、戻れ。俺も戻るから」
と私の腕を掴んで屋敷へと引っ張って行った。
屋敷に入るとレナード様は『バッ!』と手を離して何故か後退った。
すると、バーバラが布を手に駆け寄る。
「お二人とも雨に濡れて……どうされたのです?!」
「私は湯浴みをするから、それはレナード様へ渡して」
とバーバラが手にした布を取るとレナード様へと渡した。
「俺は大丈夫だ」
「いえ、お客様に風邪をひかれては困ります」
私は無理やりその布をレナード様へ押し付けながら
「そう言えば……レナード様は湯浴みをされたのではなかったのです?」
と疑問を口にした。
「した。が、どうにも悶々とするから……」
とレナード様は口籠る。レナード様って……運動しないと眠れないタイプなのかしら?
布を二人で押し付け合っていると、不意に私とレナード様の手が触れてしまう。
「あっ……」
と私が声を出すのと、同時にレナード様の手が異様に早いスピードで引っ込められた。
さっき、私から距離を取った事といい、今のスピードといい……そんなに私の事が嫌なのかしら……?と凹んでしまう。しかし『嫌いですか?』なんて尋ねる勇気はないので、
「勝手に触れてしまい申し訳ありません。私は失礼しますので」
と頭を下げて、私は踵を返した。
その背中に、
「ち……違っ……!」
と言うレナード様の声が追いかけて来たが、私は振り返らずにその場を去った。
そう言えば母の所に顔を出すつもりだったのに、私の頭から、すっかりとそれは抜け落ちていた。
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