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第33話
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「今からお披露目だ」
折角来てくれたミネルバとアンソニーとの挨拶もそこそこに、レナード様にそう言われた。
私は誰に?と思いながらもあれよあれよという間に、バブーシュに乗せられ領地の街をパレードする事になった。ミネルバとアンソニーには必死に手を振ってみたのだが、何だが申し訳ない。
しかし………クレイグ辺境伯領で私をお披露目して何になるのだろう。不思議だ。
ゴトゴトと揺れる馬車に私が姿勢を崩しそうになると、
「よ、寄り掛かって良い」
とレナード様は私の肩をそっと抱いた。
その様子に街の人々が歓声を上げる。
「レナード様は領民の皆様に慕われているのですね」
私は沿道に集まった多くの人々を見てそう言った。クラーク子爵領でも皆がこうして私を歓迎してくれるかしら?私は少し不安になる。
「……騎士団団長になるからな……」
とボソッと言うレナード様に私は首を捻る。
「……クラーク子爵を賜っても、この辺境伯騎士団に……?」
と言う私の疑問に、
「……?何を言ってる?クラーク子爵になるのは兄上だ」
とレナード様は答えた。
「ええっ???」
と私は声と共に思わず立ち上がるも、馬車の揺れのせいで私はストンとレナード様の膝の上に腰を下ろしてしまった。
「ご、ごめんなさい」
私が直ぐ様立ち上がろうとするのを、
「あ、危ないからそのまま……」
とレナード様は私の腰を抱いた。
私はレナード様の膝に横抱きの様な格好で腰掛けたままだ。
それを見た観衆はまた沸いた。……は、恥ずかしい。
「あの……重たいので」
と小声で言う私に、
「軽い。もっと食え」
と一言レナード様は言ったっきり、私の腰から手を離してくれる事は無かった。
領地で一番栄えている街を一周し、私達は辺境伯邸へと戻って来た。
私が着くと母は既に帰り支度を済ませている所だった。
「お母様……もうお戻りになるのね」
寂しい気持ちになるが、父の事も気になるので、引き止める事は出来ない。
「ええ。貴女の花嫁姿も見れたし、パレードも」
「パレードなんて聞いていなかったから、びっくりしたわ」
「私もよ!王都でパレードなんて……王族でもなければ……」
と母は言葉を切って、
「……そう言えば王家の血が入っていたのだったわ。そう考えると由緒正しいお家にエリンは嫁いだのね」
とそう言った。私はその言葉に急に不安になる。
「……実は……レナード様がこのクレイグ辺境伯を継ぐみたいなの」
「私もさっきそれを聞いた所。理由は……貴女はレナード様にでも聞くと良いわ。私達は皆勘違いしていたみたいね」
「お母様……私に務まるかしら?」
と私が少し眉を下げると、母は私の肩に手を置いて
「貴女なら大丈夫よ。自信を持って!」
と励ましてくれた。自信……中々難しい事を言う。
私は馬車に乗り父の元へと帰る母を、見送った。
ミネルバ達も既に帰路についたと言う。
「……お別れは済んだか?」
と背後から声がかかる。
振り返ると難しそうな顔をしたレナード様が居る。
「はい。母に出席して貰えて良かったです。このドレス姿を見せる事が出来たのも……」
そう言って私はドレスに施された見事な刺繍にそっと手を触れた。
「………気に入ったか?」
「はい、とても!王都でもこんなに美しい刺繍は見たことありません。一度しか袖を通さないなんて……勿体なく感じます」
と私が言えば、何故かレナード様は顔を赤くして俯いた。
折角来てくれたミネルバとアンソニーとの挨拶もそこそこに、レナード様にそう言われた。
私は誰に?と思いながらもあれよあれよという間に、バブーシュに乗せられ領地の街をパレードする事になった。ミネルバとアンソニーには必死に手を振ってみたのだが、何だが申し訳ない。
しかし………クレイグ辺境伯領で私をお披露目して何になるのだろう。不思議だ。
ゴトゴトと揺れる馬車に私が姿勢を崩しそうになると、
「よ、寄り掛かって良い」
とレナード様は私の肩をそっと抱いた。
その様子に街の人々が歓声を上げる。
「レナード様は領民の皆様に慕われているのですね」
私は沿道に集まった多くの人々を見てそう言った。クラーク子爵領でも皆がこうして私を歓迎してくれるかしら?私は少し不安になる。
「……騎士団団長になるからな……」
とボソッと言うレナード様に私は首を捻る。
「……クラーク子爵を賜っても、この辺境伯騎士団に……?」
と言う私の疑問に、
「……?何を言ってる?クラーク子爵になるのは兄上だ」
とレナード様は答えた。
「ええっ???」
と私は声と共に思わず立ち上がるも、馬車の揺れのせいで私はストンとレナード様の膝の上に腰を下ろしてしまった。
「ご、ごめんなさい」
私が直ぐ様立ち上がろうとするのを、
「あ、危ないからそのまま……」
とレナード様は私の腰を抱いた。
私はレナード様の膝に横抱きの様な格好で腰掛けたままだ。
それを見た観衆はまた沸いた。……は、恥ずかしい。
「あの……重たいので」
と小声で言う私に、
「軽い。もっと食え」
と一言レナード様は言ったっきり、私の腰から手を離してくれる事は無かった。
領地で一番栄えている街を一周し、私達は辺境伯邸へと戻って来た。
私が着くと母は既に帰り支度を済ませている所だった。
「お母様……もうお戻りになるのね」
寂しい気持ちになるが、父の事も気になるので、引き止める事は出来ない。
「ええ。貴女の花嫁姿も見れたし、パレードも」
「パレードなんて聞いていなかったから、びっくりしたわ」
「私もよ!王都でパレードなんて……王族でもなければ……」
と母は言葉を切って、
「……そう言えば王家の血が入っていたのだったわ。そう考えると由緒正しいお家にエリンは嫁いだのね」
とそう言った。私はその言葉に急に不安になる。
「……実は……レナード様がこのクレイグ辺境伯を継ぐみたいなの」
「私もさっきそれを聞いた所。理由は……貴女はレナード様にでも聞くと良いわ。私達は皆勘違いしていたみたいね」
「お母様……私に務まるかしら?」
と私が少し眉を下げると、母は私の肩に手を置いて
「貴女なら大丈夫よ。自信を持って!」
と励ましてくれた。自信……中々難しい事を言う。
私は馬車に乗り父の元へと帰る母を、見送った。
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「……お別れは済んだか?」
と背後から声がかかる。
振り返ると難しそうな顔をしたレナード様が居る。
「はい。母に出席して貰えて良かったです。このドレス姿を見せる事が出来たのも……」
そう言って私はドレスに施された見事な刺繍にそっと手を触れた。
「………気に入ったか?」
「はい、とても!王都でもこんなに美しい刺繍は見たことありません。一度しか袖を通さないなんて……勿体なく感じます」
と私が言えば、何故かレナード様は顔を赤くして俯いた。
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