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第37話
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朝食の席に着くと、鍛錬を終えたレナード様も入って来た。
「鍛錬、お疲れ様でした」
「いや……うん。騎士団の仕事は……三日休みを貰ってるんだが、身体を動かさないと……耐えられなくて…」
耐えられなくて?鍛錬を一日でも休むのは耐えられないって事かしら?
体を動かす事があまり得意ではない私にはわからないけれど、騎士ってそんなものなのかもしれない。
「き、今日は……天気も良いし……出掛けないか?」
突然レナード様がそう言うので、私は嬉しくなって、
「よろしいんですか?是非!」
と私は笑顔で答えていた。
「馬に乗れるか?」
「いえ……乗馬は苦手で…」
何度か挑戦した事はあるが、どうにも馬との相性が悪かったのか、乗りこなせるには程遠い結果となってしまった。ハロルドはそんな私に『令嬢は馬車に乗ってれば良いんだから、無理する必要ないだろ?』ってどうでもよさそうにそう言ってたっけ。
「なら、俺と一緒に乗れば良い」
そう言うレナード様に私は、
「いつか、乗馬を教えていただいても良いでしょうか?」
とおずおずと尋ねてみた。また、女には必要ないと言われてしまうかしら?
「乗馬か?分かった。なら、エリンに合う馬を選ぶ所から始めよう」
「本当ですか?ありがとうございます」
私が礼を言うと、
「……大したことではない……」
とレナード様はちょっぴり口角を上げた。
「じゃあ乗るぞ」
と言ったレナード様は私の腰を掴むと、まるで子どもを高い高いする様に持ち上げて馬に乗せた。
「ヒャア!?」
私が目を丸くしているうちに私の後ろにヒラリとレナード様が乗る。
レナード様の馬は真っ黒で大きい。目線が驚くほど高くなって、少し怖かった。
「俺が居る。大丈夫だ」
と私の腰を片手で抱いたレナード様は手綱を片手に持ち、ゆっくりと馬を歩かせ始めた。
少しずつ馬は加速していくが、後ろに居るレナード様の安心感が半端なく、私は少しずつ、その速度も楽しめる様になって来た。
馬は森の中へと入って行く。その先に、大きな湖があって、その湖畔で馬は静かに止まった。
レナード様が先に降りると、また私を子どもの様に抱えて下ろした。
レナード様は私に腕を差し出すと
「少し……歩こう」
と湖の周りを私の歩幅に合わせて、ゆっくりと歩き始めた。
私もレナード様の腕に手をかけながら、
「素敵な場所ですね」
と話しかける。
湖には水鳥の親子が気持ち良さそうに湖面をスイスイと移動していた。
「可愛いな……」
と言うレナード様に、私も
「本当に。可愛らしいですね。親子とっても仲が良さそうです」
と答える。すると、
「あ、いや……まぁ、うん。そうだな」
と頭を掻く。あれ?水鳥の話ではなかったのかしら?
「…………」
会話が続かない。レナード様は寡黙な方なので仕方ないが、私も話題が豊富な方ではない。
私は朝食に向かう廊下で話したハリソン様の事を思い出し、疑問に思っていた事を尋ねる事にした。
「レナード様、お訊きしたい事があるのですが」
「ん?何だ?」
「私は嫁ぐまで、レナード様がクラーク子爵を賜るのだと思っていました。元々レナード様はクレイグ辺境伯を継ぐ事に?」
「あぁ。うちは一応実力主義だ。兄上より俺が相応しかった……それだけだ」
「その事を……ハリソン様はご納得されていないのでは?」
私がそう言うと、レナード様は歩みを止めて、
「……何か言われたのか?」
と少し怖い顔をした。
「鍛錬、お疲れ様でした」
「いや……うん。騎士団の仕事は……三日休みを貰ってるんだが、身体を動かさないと……耐えられなくて…」
耐えられなくて?鍛錬を一日でも休むのは耐えられないって事かしら?
体を動かす事があまり得意ではない私にはわからないけれど、騎士ってそんなものなのかもしれない。
「き、今日は……天気も良いし……出掛けないか?」
突然レナード様がそう言うので、私は嬉しくなって、
「よろしいんですか?是非!」
と私は笑顔で答えていた。
「馬に乗れるか?」
「いえ……乗馬は苦手で…」
何度か挑戦した事はあるが、どうにも馬との相性が悪かったのか、乗りこなせるには程遠い結果となってしまった。ハロルドはそんな私に『令嬢は馬車に乗ってれば良いんだから、無理する必要ないだろ?』ってどうでもよさそうにそう言ってたっけ。
「なら、俺と一緒に乗れば良い」
そう言うレナード様に私は、
「いつか、乗馬を教えていただいても良いでしょうか?」
とおずおずと尋ねてみた。また、女には必要ないと言われてしまうかしら?
「乗馬か?分かった。なら、エリンに合う馬を選ぶ所から始めよう」
「本当ですか?ありがとうございます」
私が礼を言うと、
「……大したことではない……」
とレナード様はちょっぴり口角を上げた。
「じゃあ乗るぞ」
と言ったレナード様は私の腰を掴むと、まるで子どもを高い高いする様に持ち上げて馬に乗せた。
「ヒャア!?」
私が目を丸くしているうちに私の後ろにヒラリとレナード様が乗る。
レナード様の馬は真っ黒で大きい。目線が驚くほど高くなって、少し怖かった。
「俺が居る。大丈夫だ」
と私の腰を片手で抱いたレナード様は手綱を片手に持ち、ゆっくりと馬を歩かせ始めた。
少しずつ馬は加速していくが、後ろに居るレナード様の安心感が半端なく、私は少しずつ、その速度も楽しめる様になって来た。
馬は森の中へと入って行く。その先に、大きな湖があって、その湖畔で馬は静かに止まった。
レナード様が先に降りると、また私を子どもの様に抱えて下ろした。
レナード様は私に腕を差し出すと
「少し……歩こう」
と湖の周りを私の歩幅に合わせて、ゆっくりと歩き始めた。
私もレナード様の腕に手をかけながら、
「素敵な場所ですね」
と話しかける。
湖には水鳥の親子が気持ち良さそうに湖面をスイスイと移動していた。
「可愛いな……」
と言うレナード様に、私も
「本当に。可愛らしいですね。親子とっても仲が良さそうです」
と答える。すると、
「あ、いや……まぁ、うん。そうだな」
と頭を掻く。あれ?水鳥の話ではなかったのかしら?
「…………」
会話が続かない。レナード様は寡黙な方なので仕方ないが、私も話題が豊富な方ではない。
私は朝食に向かう廊下で話したハリソン様の事を思い出し、疑問に思っていた事を尋ねる事にした。
「レナード様、お訊きしたい事があるのですが」
「ん?何だ?」
「私は嫁ぐまで、レナード様がクラーク子爵を賜るのだと思っていました。元々レナード様はクレイグ辺境伯を継ぐ事に?」
「あぁ。うちは一応実力主義だ。兄上より俺が相応しかった……それだけだ」
「その事を……ハリソン様はご納得されていないのでは?」
私がそう言うと、レナード様は歩みを止めて、
「……何か言われたのか?」
と少し怖い顔をした。
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