婚約者の貴方が「結婚して下さい!」とプロポーズしているのは私の妹ですが、大丈夫ですか?

初瀬 叶

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第45話

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ミネルバは部屋に入ると、

「おかえりなさい、エリン」
と言って座っている私に抱きついた。

「……ええ……ただいま……」
おかえりなさい?ん?おかしくはないけど……何だかおかしい。

ミネルバは私から離れると、何の躊躇いもなく兄の隣の席へと座って、ジュードと微笑み合っている。……何なのこの甘い雰囲気は……?

私が目を丸くしていると、

「僕達、婚約したんだ」
と兄は少しはにかみながらそう言った。

「え?!お兄様とミネルバが?」

「そうなの。エリンに知らせようと思っていたところに、伯父様の事があって……バタバタしているうちに今日になってしまったの」
と私の問いにミネルバはちょっともじもじしながら答えた。

「二人がそんな話になっているなんて……思いもよらなかったわ」
私はまだ驚きが続いていて、口をポッカリと開けて二人を見ていた。

二人は見つめ合ってはニコニコして、もじもじして、赤くなって、俯いて……を繰り返している。まるで……恋人同士だ。

確かに、ミネルバも婚約者を決めていなかった事を思い出した。ミネルバはいつもアンソニーに婚約者が居ない事ばかりを私に愚痴っていたので、そういえはミネルバの婚約者について深く考えていなかった。……もしやミネルバって……お兄様が好きだった……とか?

「僕が伯爵を継いだタイミングで婚約したんだ。正直、僕は足が思うように動かないし、夜会に行くのも難しいかもしれない。そんな僕と結婚する人はきっと苦労するだろうと思えば、婚約者を決める気にもならなかったんだけど……ミネルバが僕を支えていきたいと……そう言ってくれたんだ」
お兄様はそう言うと、隣に座るミネルバの手を握った。

「エリンには恥ずかしくて言えなかったけれど、小さな頃からジュードの事が好きだったの。
でも、私達は従兄妹だし、ジュードには婚約者も居たし。諦めるしかないと思っていたのだけど、今回の事があって……。ジュードを支えて生きていけるなら、私はそれだけで幸せだもの」
ミネルバはとても幸せそうにそう言って微笑んだ。

……親友なのに、彼女の想いに気づかなかった。よく、私と一緒にお兄様の悪口を言っていたはずなのに。……なんだか申し訳なかったわ。好きな人の悪口を言ったりして。

「そうだったの……全く気づいていなかったわ」

「フフフッ。悟らせない様に気をつけていたもの。だから、エリンからマリアベル様との婚約を解消したと教えてもらった時は、嬉しかったし、ジュードが行方不明になっていた時は、心配で夜も眠れなかったの」
ミネルバは少し眉を下げて、私にそう言った。
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