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第61話
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『バーン!!』
応接室の扉が思いっきり開いて、怒りのオーラを纏ったパトリック伯爵が出て来た。レナード様は私を後ろに隠すようにする。
パトリック伯爵は私達を見て、
「失礼!!」
と大股で横を通り過ぎた。開いた扉からは青い顔をしたハロルド様と泣いているナタリー、呆れた表情のお兄様に、頭を抱えた母が見えた。
執事が伯爵を追いかけて玄関ホールへ向かうが、その顔には焦りが見えた。
どうしよう……応接室に入って事情を聞くべきなのだろうが、ちっとも気が乗らない。入りたく……ない。
そんな中、ハロルドと目が合う。ハロルドは気まずそうに目を逸らした。
……何をやらかしたのかしら?あ!お母様、やはりあの女性の事を持ち出して……そう私が考えていると、執事がため息を吐きながら戻ってくるのが見える。
その執事に私より先にレナード様が声を掛けた。
「何があった?」
執事はチラリと応接室の中を見て
「ちょっとこちらへ」
と私とレナード様を別室へと案内した。
「え?ナタリーとハロルド様が?!」
私は思わず驚いて口を押さえた。……もしや……あの日かしら?
「はい……あまり大きな声で言える事ではないですが、ハロルド様もお認めになりましたので、これでハロルド様とナタリーお嬢様との婚約は解消とはならないはずです。ナタリー様にとっては『良かった』と言えるかもしれませんが、パトリック伯爵としては不本意だったのでしょう。それにジュード様も奥様も……そんな形で結婚を認めさせたくはなかったようで……皆がモヤモヤと」
執事がまた大きなため息を吐いた。
「では……結婚は?」
レナード様が尋ねると
「もう少しでハロルド様の誕生日。改めて話し合う日を設けなければなりませんが、近々となる事は間違いないでしょう」
……どうも私はまた直ぐに王都へと舞い戻らなければならなくなりそうだ。
私達は執事と別れ、当初の目的地であった、父の部屋へと赴いた。
「お父様、今日辺境伯領へと戻りますね」
父がゆっくりと瞬きをした。
すると、レナード様が
「一度、父と一緒にお会いしましたね。縁あってエリンと結婚する事が出来ました。……エリンを幸せにすると誓いますので、安心してください」
と父に向かって力強く宣言した。
父の唇が震えている。片方の目からは涙が零れ、ギュッと瞬きを繰り返す。父が喜んでくれているのだと分かって、私も思わず泣きそうになってしまった。
応接室の扉が思いっきり開いて、怒りのオーラを纏ったパトリック伯爵が出て来た。レナード様は私を後ろに隠すようにする。
パトリック伯爵は私達を見て、
「失礼!!」
と大股で横を通り過ぎた。開いた扉からは青い顔をしたハロルド様と泣いているナタリー、呆れた表情のお兄様に、頭を抱えた母が見えた。
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どうしよう……応接室に入って事情を聞くべきなのだろうが、ちっとも気が乗らない。入りたく……ない。
そんな中、ハロルドと目が合う。ハロルドは気まずそうに目を逸らした。
……何をやらかしたのかしら?あ!お母様、やはりあの女性の事を持ち出して……そう私が考えていると、執事がため息を吐きながら戻ってくるのが見える。
その執事に私より先にレナード様が声を掛けた。
「何があった?」
執事はチラリと応接室の中を見て
「ちょっとこちらへ」
と私とレナード様を別室へと案内した。
「え?ナタリーとハロルド様が?!」
私は思わず驚いて口を押さえた。……もしや……あの日かしら?
「はい……あまり大きな声で言える事ではないですが、ハロルド様もお認めになりましたので、これでハロルド様とナタリーお嬢様との婚約は解消とはならないはずです。ナタリー様にとっては『良かった』と言えるかもしれませんが、パトリック伯爵としては不本意だったのでしょう。それにジュード様も奥様も……そんな形で結婚を認めさせたくはなかったようで……皆がモヤモヤと」
執事がまた大きなため息を吐いた。
「では……結婚は?」
レナード様が尋ねると
「もう少しでハロルド様の誕生日。改めて話し合う日を設けなければなりませんが、近々となる事は間違いないでしょう」
……どうも私はまた直ぐに王都へと舞い戻らなければならなくなりそうだ。
私達は執事と別れ、当初の目的地であった、父の部屋へと赴いた。
「お父様、今日辺境伯領へと戻りますね」
父がゆっくりと瞬きをした。
すると、レナード様が
「一度、父と一緒にお会いしましたね。縁あってエリンと結婚する事が出来ました。……エリンを幸せにすると誓いますので、安心してください」
と父に向かって力強く宣言した。
父の唇が震えている。片方の目からは涙が零れ、ギュッと瞬きを繰り返す。父が喜んでくれているのだと分かって、私も思わず泣きそうになってしまった。
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