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第88話
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「バーバラっていつもお姉様の味方ね。そんなんだから結婚出来ないのよ」
……私の味方をする事とバーバラが独身な事と、何が関係あるのか……と言いたくなったが、辺境の地まで付いてきて貰った事でバーバラがますます縁遠くなっているのかもしれない……と思うと私も何も言えなくなってしまう。すると……
「お言葉ですが、私にも結婚を考えている方ぐらいおります!!」
と言うバーバラの言葉に、
「え?!バーバラ、お付き合いしている方が居るの?!知らなかったわ!どなたなの?」
と私は素直に喜びの声を上げた。今はナタリーがハロルドを誘惑していたことなんて、頭の中からすっかり消え失せた。
バーバラは顔を赤くしながら、
「……庭師のトミーです……」
と小さな声で相手の名前を告げた。
「トミー?まぁ!全然知らなかったわ。え?いつからお付き合いを?」
ついつい好奇心から尋ねてしまう。
「辺境伯領に着いて少しして……。奥様のお部屋に飾るお花の相談に乗っていただいていて仲良くなりました……」
恥ずかしいのか、消え入りそうな声でそう言うバーバラが可愛らしい。
「トミーは真面目で優しいもの。二人お似合いよ」
私は日焼けした顔に、白い歯を見せて笑うトミーの顔を思い出していた。
彼はバーバラより少し歳下だが、とても真面目でレナード様も褒めていらした。私は姉のようなバーバラの幸せに心から喜んでいた。
しかし、それを面白くないと思う人間が一名……。
「ふん!!馬鹿馬鹿しい。庭師?そんな人と結婚したって、贅沢も出来ないし、一生働き続けなきゃいけないのよ?それじゃあ、何の為に結婚するのよ」
そう言ったナタリーに私は
「ナタリー……。楽をする為に結婚するわけではないのよ?貴族には貴族の、平民には平民の役割がある。それは結婚しても変わらないわ」
逆に結婚してからの方がやるべき事が多くなるのだけど、ナタリーはそれすら理解していないのかしら?
「辺境伯に嫁いだ人にそんな事を言われても、何とも思わないわ。結局、何にもしなくても贅沢出来る人に何を言われても響かない」
「ナタリー、貴女、結婚したら何もしなくても貴族は贅沢が出来るとでも思っているの?」
「領地を経営したりするのって旦那さんの仕事じゃない。私達女性は、お茶会開いたり、夜会に参加したりすれば良いだけでしょう?まぁ、貧乏な貴族に嫁いだらそうはいかないかもしれないけど、私は伯爵令嬢よ?それ以下の家に嫁ぐ気ないもの」
そう言ったナタリーはプイッと横を向いた。私はナタリーの綺麗な横顔を眺めながら、どうしてこんな娘になってしまったのだろう……と不思議に思っていた。
「ナタリー様……。私は一生奥様に仕えるつもりですし、トミーだって体が動く限り庭師としてグレイグ辺境伯にお仕えするつもりです。もちろん歳を取って仕事が出来なくなる時は来るでしょうが、それまでは一生懸命働きます。しかし、それは私達にとっては『生きる事』なのです。お金を稼ぐ手段である事は間違いありません。でもそれと同じぐらいに仕事を生き甲斐としています。決してそれは不幸せな事ではありません」
バーバラの言葉にナタリーはこちらに視線を寄越すと、
「そんなの口だけよ。皆、楽して贅沢したい。当たり前じゃない。綺麗事を並べたって白々しいとしか思えないわ」
とバーバラを馬鹿にした様にそう言った。
ストーン伯爵家は特別裕福という訳ではないが、決してお金に困った事はない。ナタリーがここまでお金に執着する理由が私にはさっぱり分からなかった。
……私の味方をする事とバーバラが独身な事と、何が関係あるのか……と言いたくなったが、辺境の地まで付いてきて貰った事でバーバラがますます縁遠くなっているのかもしれない……と思うと私も何も言えなくなってしまう。すると……
「お言葉ですが、私にも結婚を考えている方ぐらいおります!!」
と言うバーバラの言葉に、
「え?!バーバラ、お付き合いしている方が居るの?!知らなかったわ!どなたなの?」
と私は素直に喜びの声を上げた。今はナタリーがハロルドを誘惑していたことなんて、頭の中からすっかり消え失せた。
バーバラは顔を赤くしながら、
「……庭師のトミーです……」
と小さな声で相手の名前を告げた。
「トミー?まぁ!全然知らなかったわ。え?いつからお付き合いを?」
ついつい好奇心から尋ねてしまう。
「辺境伯領に着いて少しして……。奥様のお部屋に飾るお花の相談に乗っていただいていて仲良くなりました……」
恥ずかしいのか、消え入りそうな声でそう言うバーバラが可愛らしい。
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私は日焼けした顔に、白い歯を見せて笑うトミーの顔を思い出していた。
彼はバーバラより少し歳下だが、とても真面目でレナード様も褒めていらした。私は姉のようなバーバラの幸せに心から喜んでいた。
しかし、それを面白くないと思う人間が一名……。
「ふん!!馬鹿馬鹿しい。庭師?そんな人と結婚したって、贅沢も出来ないし、一生働き続けなきゃいけないのよ?それじゃあ、何の為に結婚するのよ」
そう言ったナタリーに私は
「ナタリー……。楽をする為に結婚するわけではないのよ?貴族には貴族の、平民には平民の役割がある。それは結婚しても変わらないわ」
逆に結婚してからの方がやるべき事が多くなるのだけど、ナタリーはそれすら理解していないのかしら?
「辺境伯に嫁いだ人にそんな事を言われても、何とも思わないわ。結局、何にもしなくても贅沢出来る人に何を言われても響かない」
「ナタリー、貴女、結婚したら何もしなくても貴族は贅沢が出来るとでも思っているの?」
「領地を経営したりするのって旦那さんの仕事じゃない。私達女性は、お茶会開いたり、夜会に参加したりすれば良いだけでしょう?まぁ、貧乏な貴族に嫁いだらそうはいかないかもしれないけど、私は伯爵令嬢よ?それ以下の家に嫁ぐ気ないもの」
そう言ったナタリーはプイッと横を向いた。私はナタリーの綺麗な横顔を眺めながら、どうしてこんな娘になってしまったのだろう……と不思議に思っていた。
「ナタリー様……。私は一生奥様に仕えるつもりですし、トミーだって体が動く限り庭師としてグレイグ辺境伯にお仕えするつもりです。もちろん歳を取って仕事が出来なくなる時は来るでしょうが、それまでは一生懸命働きます。しかし、それは私達にとっては『生きる事』なのです。お金を稼ぐ手段である事は間違いありません。でもそれと同じぐらいに仕事を生き甲斐としています。決してそれは不幸せな事ではありません」
バーバラの言葉にナタリーはこちらに視線を寄越すと、
「そんなの口だけよ。皆、楽して贅沢したい。当たり前じゃない。綺麗事を並べたって白々しいとしか思えないわ」
とバーバラを馬鹿にした様にそう言った。
ストーン伯爵家は特別裕福という訳ではないが、決してお金に困った事はない。ナタリーがここまでお金に執着する理由が私にはさっぱり分からなかった。
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