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第104話
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ある程度離れた場所で、私はユラの背を降りた。
「ここまで来れば大丈夫よね……?」
不安になりながらも、ユラをそっと撫でる。
「怖かったでしょう?もう大丈夫よ」
自分にも言い聞かせるかのように私は言葉を呟いた。
「セルは無事かしら……」
自分達が安全圏と思われる場所へ避難できた事で、私達を助けてくれたヒーローの事が心配になってきた。セルも大きな狼だが、あの熊もかなり大きかった。
だからと言って、先ほどの場所に戻る程の勇気はない。
……というか、ここ……どこだろう。
闇雲に走ってきてしまった私は、少し冷静になり辺りを見回す。帰り道からは外れてしまった様だ。私は急に不安になった。
何処かに見覚えはないかと、キョロキョロしていると、向こうの方から銀色の姿が近づいて来ていた。
私は思わず
「セル!」
とその獣の名を呼んだ。
「ユラ、ここで待っててね」
セルは狼だ。ユラが怖がるかもしれないと、私はユラにそう言ってから、彼女の側を離れる。ユラは鼻をブルブルと鳴らしながら、私の言葉を理解した様にその場に大人しく留まった。
私はゆっくりとセルに近づく。そこでレナード様の言葉を思い出した。あくまでもセルは動物だから、不用意に近づいてはいけないと。
そんな私の気持ちを察したかの様にセルは私と少し距離をとった場所で立ち止まる。その姿はとても雄々しく、パッと見る限りでは怪我はないように思えた。
「……セル、あなたは無事?怪我はしていない?」
つい、いつもの調子でユラに話かけるように、セルにも声をかけた。……まぁ、返事はないがジッと私を見つめる彼の眼は『大丈夫だ』と告げている様だった。
「助けてくれたのね、ありがとう」
私がそう言うと、セルは今来た道を振り返る。そして、私の方をもう一度見つめた。
私が不思議に思っていると、セルはくるりと向きを変え、今来た道を戻り始めた。そして少し歩くとまたピタリと止まり、私を振り返る。まるで付いて来いとい言われている様だ。私が迷子になっている事までセルにはお見通しらしい。
「ま、待ってて!ユラを連れて来るから!」
私は走ってユラの元へと戻ると急いでその背に乗った。
セルは私達を先導するように歩いている。私とユラは少しだけ距離を保ちながら、その後を追った。
「ここまで来れば大丈夫よね……?」
不安になりながらも、ユラをそっと撫でる。
「怖かったでしょう?もう大丈夫よ」
自分にも言い聞かせるかのように私は言葉を呟いた。
「セルは無事かしら……」
自分達が安全圏と思われる場所へ避難できた事で、私達を助けてくれたヒーローの事が心配になってきた。セルも大きな狼だが、あの熊もかなり大きかった。
だからと言って、先ほどの場所に戻る程の勇気はない。
……というか、ここ……どこだろう。
闇雲に走ってきてしまった私は、少し冷静になり辺りを見回す。帰り道からは外れてしまった様だ。私は急に不安になった。
何処かに見覚えはないかと、キョロキョロしていると、向こうの方から銀色の姿が近づいて来ていた。
私は思わず
「セル!」
とその獣の名を呼んだ。
「ユラ、ここで待っててね」
セルは狼だ。ユラが怖がるかもしれないと、私はユラにそう言ってから、彼女の側を離れる。ユラは鼻をブルブルと鳴らしながら、私の言葉を理解した様にその場に大人しく留まった。
私はゆっくりとセルに近づく。そこでレナード様の言葉を思い出した。あくまでもセルは動物だから、不用意に近づいてはいけないと。
そんな私の気持ちを察したかの様にセルは私と少し距離をとった場所で立ち止まる。その姿はとても雄々しく、パッと見る限りでは怪我はないように思えた。
「……セル、あなたは無事?怪我はしていない?」
つい、いつもの調子でユラに話かけるように、セルにも声をかけた。……まぁ、返事はないがジッと私を見つめる彼の眼は『大丈夫だ』と告げている様だった。
「助けてくれたのね、ありがとう」
私がそう言うと、セルは今来た道を振り返る。そして、私の方をもう一度見つめた。
私が不思議に思っていると、セルはくるりと向きを変え、今来た道を戻り始めた。そして少し歩くとまたピタリと止まり、私を振り返る。まるで付いて来いとい言われている様だ。私が迷子になっている事までセルにはお見通しらしい。
「ま、待ってて!ユラを連れて来るから!」
私は走ってユラの元へと戻ると急いでその背に乗った。
セルは私達を先導するように歩いている。私とユラは少しだけ距離を保ちながら、その後を追った。
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