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第111話
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ありがたい事にミネルバからの返事には、私の知りたい事の全てが詰まっていた。
「これはまた……驚きだな」
私がミネルバからの手紙をレナード様に見せると、レナード様は目を丸くしながら、ミネルバの几帳面な文字を目で追っていた。
「はい。慌てて結婚した理由はミネルバの妊娠……の様です」
ミネルバからの手紙には『あまり大きな声で言える事ではないんだけど……』と妊娠の事を書いてあった。順番をうるさく言う人もいるだろうから……と結婚を急いだのだそうだ。同じく結婚式もそうだ。せっかくのドレスが着られなくなる前に……と急遽来月にしたのだと書いてあった。
最近は領地と王都を行ったり来たりしていたのだが、ミネルバはもう、一人領地に越したらしい。
領地との往復が体の負担にならないうちにというミネルバの気持ちはとても理解出来る。
「兄の事は……まぁ、手が早いとしか言えませんが、おめでたい事なので、正直嬉しいです。しかし、ナタリーの事が……」
「あぁ。この家は元々ストーン伯爵家と繋がりが?」
「いえ。初めて聞きました。でもミネルバ曰く、今後共同事業を始めるとか。兄がここまで家の為の縁談に拘るとは思っていませんでした。ナタリーはこの縁談に納得はいっていない様ですが……レナード様はこちらの方をご存知ですか?」
「まぁ……な。確か歳が……五十を過ぎていたような。男爵だが、商会を営んでいてある程度金はある……結構野心家だった覚えがあるな。
男爵領はストーン伯爵領と割と近くて、確か山の麓の小さな領だ」
「五十過ぎ……。後妻とは書いていましたが、そんなに歳上だとは。下手をすれば父より歳上かも。
ミネルバも書いていますが、兄はナタリーを許しておらず、これ以上ストーン家に迷惑をかけるなら、修道院行きも視野に入れていたそうです。その二択で……」
「ナタリーが嫌がる方を選んだ……か。ジュードは本当に妹君を許していない様だ」
そう言うとレナード様は私へ手紙を寄越した。
ミネルバの手紙にはこうも書いてあった。母も、もうナタリーについては兄の方針に従い口を出さないと。
ハロルドとの結婚式での出来事で、流石の母もナタリーを更生する事は諦めた様だった。自分達がナタリーを甘やかしたせいだから……と。
今の当主は兄だ。ハロルドとのあれこれでナタリーがストーン家に損害を与えたのは間違いない。
「せめて、最後にストーン家の役に立て……という事らしいですが……かえってご迷惑になりませんかね。ナタリーを……その……妻として迎えるのは」
私は思わずナタリーの再婚相手である、ボーエン男爵に少し同情してしまった。
「これはまた……驚きだな」
私がミネルバからの手紙をレナード様に見せると、レナード様は目を丸くしながら、ミネルバの几帳面な文字を目で追っていた。
「はい。慌てて結婚した理由はミネルバの妊娠……の様です」
ミネルバからの手紙には『あまり大きな声で言える事ではないんだけど……』と妊娠の事を書いてあった。順番をうるさく言う人もいるだろうから……と結婚を急いだのだそうだ。同じく結婚式もそうだ。せっかくのドレスが着られなくなる前に……と急遽来月にしたのだと書いてあった。
最近は領地と王都を行ったり来たりしていたのだが、ミネルバはもう、一人領地に越したらしい。
領地との往復が体の負担にならないうちにというミネルバの気持ちはとても理解出来る。
「兄の事は……まぁ、手が早いとしか言えませんが、おめでたい事なので、正直嬉しいです。しかし、ナタリーの事が……」
「あぁ。この家は元々ストーン伯爵家と繋がりが?」
「いえ。初めて聞きました。でもミネルバ曰く、今後共同事業を始めるとか。兄がここまで家の為の縁談に拘るとは思っていませんでした。ナタリーはこの縁談に納得はいっていない様ですが……レナード様はこちらの方をご存知ですか?」
「まぁ……な。確か歳が……五十を過ぎていたような。男爵だが、商会を営んでいてある程度金はある……結構野心家だった覚えがあるな。
男爵領はストーン伯爵領と割と近くて、確か山の麓の小さな領だ」
「五十過ぎ……。後妻とは書いていましたが、そんなに歳上だとは。下手をすれば父より歳上かも。
ミネルバも書いていますが、兄はナタリーを許しておらず、これ以上ストーン家に迷惑をかけるなら、修道院行きも視野に入れていたそうです。その二択で……」
「ナタリーが嫌がる方を選んだ……か。ジュードは本当に妹君を許していない様だ」
そう言うとレナード様は私へ手紙を寄越した。
ミネルバの手紙にはこうも書いてあった。母も、もうナタリーについては兄の方針に従い口を出さないと。
ハロルドとの結婚式での出来事で、流石の母もナタリーを更生する事は諦めた様だった。自分達がナタリーを甘やかしたせいだから……と。
今の当主は兄だ。ハロルドとのあれこれでナタリーがストーン家に損害を与えたのは間違いない。
「せめて、最後にストーン家の役に立て……という事らしいですが……かえってご迷惑になりませんかね。ナタリーを……その……妻として迎えるのは」
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