21 / 99
21.誤解は解けたが……
しおりを挟む
「違います!!ギル様、僕は……」
「お前の立場を分からせてやらないとな」
そうだ、レイモンドに奪われるくらいなら、ルカの体を俺だけのものにしてしまおう。考えればとても簡単なことだった。そうだ、既にルカは俺に売られてきたのだから。
(その命を生かすも殺すも俺の自由だ、ああ、可哀そうに……)
ベッドに無理やり投げるように落とされたルカが怯えた瞳でこちらを見ている、なんとか逃げようとしたが、その動きは止めてしまおう。
「動くな」
ブルブルと震えながらも動けなくなったルカを見て俺は邪悪な、本当の魔王のような笑みを浮かべている。
(なんて、可哀そうなんだルカ。愛してもいない邪悪で執念深い男にお前は好かれてしまったんだ)
胸の中を狂おしい感情が占めていく、それはとてもとても昏いもので、本来なら絶対にルカに向けたくなかったものだ。それなのに、今、俺はルカにただ、その暗い闇のような感情を向けてしまっている。
「あの、ギル様……僕を殺すのですか??」
「殺す??まさか、お前を殺すなんてそんな勿体ないことするわけがない。そんなことするくらいなら……」
ふるえる可哀そうなルカの耳元で「壊すよ」と囁く。途端ルカの顔色が青から白に代わるのが分かる。元々真っ白い陶磁器のように美しいルカの肌がさらに白くなるのを見て、何故か興奮していた。
(ああ、この白い肌の色を染め変えてやりたいな、美しい色に……ルカに相応しい薔薇色に……)
「ごめんなさい、ごめんなさい、レイモンドさんとギル様の関係を否定してすいません。おふたりの幸せを祈っているので、どうか壊さないでください、ゆるしてください、ゆるしてください」
震えて泣くルカ。可愛いな、綺麗だな、ああ、全部全部ほしいな……ただ、今変なこと言わなかったか。スイッチが完全に入ってしまっているけれど、これは聞いてみる必要があるな。
「ルカ、今、俺とレイモンドの関係といったが……」
「おふたりがハードゲイでも僕は否定しませんから、お願いです、僕は僕を」
泣いて縋りついてくる可愛いルカエル、えっ、ちょっと待てなんで俺とレイモンドがハードゲイなんだ。そんな関係はない。俺はいまにも気絶しそうな愛らしいルカのその唇にキスを落とす。
落ち着かせるような軽いキスだったが、ルカはびっくりしている。ああ、なんて柔らかい唇だろう。
「俺はレイモンドと付き合っていない。ルカ、お前がレイモンドが好きなのだろう??」
「えっ、違います。僕に好きな人は今いませんよ」
びっくりしたように答えるルカ。ルカは天使だから嘘が付けない。だとしたら……俺は誤解していたのか。
「ルカはレイモンドが好きじゃない。誤解。そうかよかった」
思わず可愛いルカを抱きしめていた。
「あ、あの……ギル様……」
「ルカ、好きだ、ずっとお前だけが好きなんだ、白薔薇のお姫様」
俺の言葉にルカの目が見開くのが分かる。
「なんで、僕の黒歴史をギル様がご存じなのですか!?」
「お前の立場を分からせてやらないとな」
そうだ、レイモンドに奪われるくらいなら、ルカの体を俺だけのものにしてしまおう。考えればとても簡単なことだった。そうだ、既にルカは俺に売られてきたのだから。
(その命を生かすも殺すも俺の自由だ、ああ、可哀そうに……)
ベッドに無理やり投げるように落とされたルカが怯えた瞳でこちらを見ている、なんとか逃げようとしたが、その動きは止めてしまおう。
「動くな」
ブルブルと震えながらも動けなくなったルカを見て俺は邪悪な、本当の魔王のような笑みを浮かべている。
(なんて、可哀そうなんだルカ。愛してもいない邪悪で執念深い男にお前は好かれてしまったんだ)
胸の中を狂おしい感情が占めていく、それはとてもとても昏いもので、本来なら絶対にルカに向けたくなかったものだ。それなのに、今、俺はルカにただ、その暗い闇のような感情を向けてしまっている。
「あの、ギル様……僕を殺すのですか??」
「殺す??まさか、お前を殺すなんてそんな勿体ないことするわけがない。そんなことするくらいなら……」
ふるえる可哀そうなルカの耳元で「壊すよ」と囁く。途端ルカの顔色が青から白に代わるのが分かる。元々真っ白い陶磁器のように美しいルカの肌がさらに白くなるのを見て、何故か興奮していた。
(ああ、この白い肌の色を染め変えてやりたいな、美しい色に……ルカに相応しい薔薇色に……)
「ごめんなさい、ごめんなさい、レイモンドさんとギル様の関係を否定してすいません。おふたりの幸せを祈っているので、どうか壊さないでください、ゆるしてください、ゆるしてください」
震えて泣くルカ。可愛いな、綺麗だな、ああ、全部全部ほしいな……ただ、今変なこと言わなかったか。スイッチが完全に入ってしまっているけれど、これは聞いてみる必要があるな。
「ルカ、今、俺とレイモンドの関係といったが……」
「おふたりがハードゲイでも僕は否定しませんから、お願いです、僕は僕を」
泣いて縋りついてくる可愛いルカエル、えっ、ちょっと待てなんで俺とレイモンドがハードゲイなんだ。そんな関係はない。俺はいまにも気絶しそうな愛らしいルカのその唇にキスを落とす。
落ち着かせるような軽いキスだったが、ルカはびっくりしている。ああ、なんて柔らかい唇だろう。
「俺はレイモンドと付き合っていない。ルカ、お前がレイモンドが好きなのだろう??」
「えっ、違います。僕に好きな人は今いませんよ」
びっくりしたように答えるルカ。ルカは天使だから嘘が付けない。だとしたら……俺は誤解していたのか。
「ルカはレイモンドが好きじゃない。誤解。そうかよかった」
思わず可愛いルカを抱きしめていた。
「あ、あの……ギル様……」
「ルカ、好きだ、ずっとお前だけが好きなんだ、白薔薇のお姫様」
俺の言葉にルカの目が見開くのが分かる。
「なんで、僕の黒歴史をギル様がご存じなのですか!?」
0
あなたにおすすめの小説
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる