令嬢は鞭を振るが逃げられない

ロキ

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66話

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いつもの様に午前中はテレジアさんとお勉強。午後は軽く訓練場で兵士達を叩きのめ・・・いや、しばい・・・、一緒に訓練をして今はディアス様とおやつの時間になりましたわ。

今日はディアス様に討伐イベントの話しをするから執務室でまったりとお茶を飲みませんか?と言いお茶をしている・・・のだけど、一向に話せないでいる。

「リリー、こっちも美味しいよ?はい、あーん・・・」

「え、あーん・・・むぐ、美味しいですわ。あの、ディアス様?私、お話しがあるので少し給餌するのを・・・モグモグ、だから止めて下さい!」

さっきから私の口にヒョイヒョイお菓子を入れて、話させてくれなく困っている。

「さっきからディアス様がお菓子を口にどんどん入れてくるから私の!口の中の!水分が無くなりましたわ!」

私が一気に言ったらディアス様の食べさせる手が止まった。今の内に私は目の前に置かれていた紅茶を掴み飲み干した!

「ゴッゴッゴキュッ!・・・はぁ、生き返りましたわー」

「リリーお替りいるか?」

スッとディアス様がティーポットを差し出してきた。

「ありがとうございます。いただきますわ!」

コポコポとティーポットから良い香りの紅茶が注がれ湯気が立つ・・・しまった?!熱くてすぐ飲めないわ!

さっきは多少ぬるくなったから一気飲み出来たけどコレは飲んだら火傷するわね。

「リリー飲まないのか?」

私がカップをジッと見ていたらディアス様が顔を覗き込んできた。私は少し恥ずかしいがボソリと呟いた。

「・・・飲もうと思っていたのですが紅茶が熱すぎて飲めないのですわ」

それを聞いたディアス様が微笑ましそうな顔をして私を見ていた。

「もうっ、恥ずかしいので見ないで下さい!少しくらい熱くても飲めますわ」

多少、舌を火傷してもすぐ魔法で治せる!私はカップに手を伸ばした。

「待った。今飲んだら舌を火傷するよ?はい、こっちを飲んで良いから」

カップに伸ばした手を掴まれ、替わりにディアス様が飲んでいたカップを渡された。

「え、これはディアス様が飲んでいたカップですわ。私は自分のカップに入った紅茶を飲むので大丈夫ですわ」

グイッとディアス様にカップを返そうとしたら受け取ってもらえなかった。

「リリー気にしなくて良い、火傷するくらいなら俺のカップの中身をあげるからそっちを飲んで?それとも飲ませて欲しいのかな?」

一瞬にしてディアス様から危ないオーラが出た。これは回避しなければ私が危ない!すぐさまカップの中身を飲み干した。

・・・うん、喉が潤ったわ。あと、間接キスしてしまった!くっ、初間接キスはもう少し甘い雰囲気が良かった・・・。

「ご、ご馳走様でしたわ。おかげで喉が潤いました。ディアス様のカップ、空になってしまったので私がお替りを入れておきますね?」

ティーポットからディアス様のカップに紅茶を入れ差し出した。

「残念、リリーに口移ししたかったのに飲まれちゃった。まぁいっか、潤ったみたいで良かったよ」

少し残念そうにしていたが直ぐに切り替え言った。あ、いい加減本題を話さないと先に進まないわね。

「ディアス様、少しやって欲しいイベントがあるのですが聞いていただけませんか?」

「・・・イベント?」

「はい、私のいたキャンベル領でモンスター討伐イベントを開催したいと思いまして、兵士達の戦力強化にもなるしキャンベル領は定期的な討伐が減るので良いこと尽くしだと思うのです」

「そのイベント、俺も参加有りか?」

ディアス様が興味津々で聞いてきたが答えは参加不可だ。

「駄目です。ディアス様が参加したら勝負にならないじゃ無いですか」

「そうか。駄目ならしょうがない、ならば俺は実況に回ろう。勿論リリーは解説役だ」

ディアス様、切り替えが早すぎです。それに私が解説って何を話すのだろう?

「分かりましたわ。では、モンスター討伐イベントinキャンベル領の話を各部署に通知して下さいね?早めに催したいのでお願いします」

「ああ、分かった。二、三日中には通知を出して開催しよう」

やっとディアス様に話せましたわ!よし、これで討伐にみんなと一緒に行ける!

「楽しみね。私、解説頑張りますわ」

「ああ、頼んだぞリリー。俺も実況を頑張るからな」

イベント当日に大変な事に気づき慌てるなんてこの時は気づきもしなかった。


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